美しい渚がリラックスを誘う、絶景オーシャンリゾート3選!

文/せきねきょうこ

日本の海は島を囲む独特の潮の流れから、エリアによって色を違え、海面の表情も、磯の薫りも違っています。朝陽に彩られるピンクの空と海、夕日に染まる朱色とゴールドの空、7月は、そんな海とホテルの物語を紡ぐ季節。夏休みだからこそ、時計を外して、海とともに過ごす贅沢を。息を呑むような解放感を求めて、ここに“3つの絶景ホテル”を厳選しました。

伝泊The Beachfront MIJORA

自然との対話が生れる海風と共に、暮らすように時を過ごす。

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遠浅で穏やかな赤木名湾の海、刻一刻と色を変える奄美ブルーの海と自然に感動。Photo: 伝泊The Beach Front MIJORA

そっと海に抱かれるように、とびきり美しい海を見ながら、静かに流れる時を過ごしたことがあるでしょうか? 誰にも邪魔されない自分だけの海が目の前に広がる、ここでご紹介するリゾートの絶対的な魅力は、わずかな波音に癒されながら眠りにつき、陽の光と波音のコラボレーションで目が覚める、都会人にとっては、映画のワンシーンのような1日が繰り返されています。

この5月、ユネスコの諮問機関から世界自然遺産登録がふさわしいと勧告された「奄美・沖縄」エリア。今後、7月のユネスコ世界遺産委員会にて正式な登録が目前に迫ってきました。そうなると奄美群島全体は大きく変化すると思われます。世界自然遺産になれば、世界中からの観光客が増える。その時、自然を守り続けることができるのでしょうか、穏やかで清らかな“奄美ブルー”の海は、果たしてそのままでいてくれるのでしょうか……。

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伝泊 The Beachfront MIJORAを代表するヴィラのひとつ「Deluxe Villa」。仕切りの少ない客室内は開放的でゆったりと過ごせる。Photo: 伝泊The Beachfront MIJORA

奄美大島の美しい海をひとり占めする「伝泊The Beachfront MIJORA」は、全室がオーシャンビューの小規模なヴィラリゾートです。鏡のように穏やかな奄美ブルーの赤木名湾に面して13棟のヴィラが並んでいます。

コンセプトは「島の自然と対話する」。「晴れの日も、雨の日も、奄美大島本来の自然を、滞在を通して感じて欲しい」とスタッフは願っています。天気によって、海は厳しくもあり、穏やかでもあり、何ひとつ飾らないあるがままの姿を見せてくれると言うのです。豊かな森の広がる島で、日本の太古の姿を魅せる情景に包まれ、時間に追われる日常から離れる夏休みはいかがでしょう。整備されたビーチとは異なり、古から先人たちが神の教えと共に守り続けた環境を享受できる、そんなかけがえのない海に、今年こそ出かけたいと思います。

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海との境目が分からない、5角形のインフィニティプール。Photo: 伝泊The Beachfront MIJORA

伝泊の代表である山下保博氏は奄美出身の建築家であり、一級建築士事務所アトリエ・天工人を主宰しています。「伝泊The Beachfront MIJORA」は、島に生きる人々との出会いや、ある意味での文化・伝統の復興を願い「山下保博×奄美設計集団」により設計されました。

開業は2019年7月。ヴィラにはテレビはありません。できればパソコンも家に置いておきましょう。その代わり、沖に浮かぶ三角岩に沈む夕陽を眺め、夜空には握りこぶし大の星が輝きます。南十字星は見えるのでしょうか。食事が心配ですか? いえいえ、ここでは「美味しい奄美を食べ尽くす」ことをテーマに、魚も肉も野菜も地産地消の力強い食材が満喫できます。ヴィラに隣接したレストラン「2 waters」では、海に向かうカウンター席で、美の新鮮食材と美味しい創作料理がいただけます。

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レストラン「2 waters」の印象的なカウンター。サンセットが終わる頃、海を見ながらのディナーはロマンチックなひと時。Photo: 伝泊The Beachfront MIJORA

ところで、「MIJORA(みじょら)」の意味はご存知ですか?この施設がある小さな集落「三鳥屋(みどりや)」の古い呼び名だそうです。また「伝泊」とは、「伝統的・伝説的な建築と集落と文化」を次の時代に伝えるための宿泊施設のこと。旅はいつでもアカデミズムを刺激し、未知なる伝統文化や食文化を披露してくれ、何よりも人との出会いを与えてくれます。

伝泊The Beachfront MIJORA
鹿児島県奄美市笠利町大字外⾦久986-1
TEL:0997-63-1910(平日午前9時〜午後6時)
amami@den-paku.com 
https://den-paku.com/the-beachfront-mijora/

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フェリスヴィラスイート 伊良部島 佐和田

心も体も開放されて海と過ごす、そこには美しい海があるのみ――。

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美しいサンセット、毎日色を変える自然の醍醐味に言葉を失いながらシャッターを切る。Photo: フェリスヴィラスイート 伊良部島 佐和田

沖縄の離島である宮古島のひとつ、伊良部島には、無料通行可能な橋としては日本最長の「伊良部大橋」(3,540m)が、2005年1月に開通しました。エメラルドグリーンの海上を走る爽快さは、フェリーとはまたひと味違うプライベート感に包まれます。うねうねと高低差のある刺激的な長い橋を渡り切れば、もう別天地です。

「フェリスヴィラスイート 伊良部島 佐和田」は、地図上で言えば、ちょうど渡ってきた大橋とは、島の反対側辺りに位置しています。ビーチフロントに面するリゾートからは、遮るもののない美しい佐和田の浜から、どこまでも続く大海原と水平線が見わたせます。特にサンセットの美しさは誰もが言う通り、毎日、彩を変える夕焼け空と、ダイナミックな夕陽が水平線に沈みゆく映画のシーンのような光景が楽しめることでしょう。さらにこのビーチが、「日本の渚100選」に選ばれていること、穏やかな遠浅の海が限りなく美しいことで、訪れる人の心を癒してくれます。また、ヴィラの屋上テラスに出れば、息を呑むような自分だけの絶景を見晴らすことができるのです。

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サンセットが終わり黄昏時を迎える頃、これからがディナーの時。暗くなる前にルーフトップに上がり、1日の終わりに感謝。Photo: フェリスヴィラスィート 伊良部島 佐和田

リゾートはこうして最高のロケーションに建ち、ゲスト用のヴィラが1棟ずつ独立していることからプライベート感にあふれ、まるで自身の海の別荘で過ごすような寛ぎに包まれます。すべてのヴィラに温水のプライベートプールが備わっていることで、好きな時に水と戯れるも自由、また潮風に包まれてデイベッドでうとうと……。夏休みの長い休暇ならではの解放感を満喫できる環境です。

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自宅のような落ち着きとリラックスを感じる室内。写真は寛ぎのデイベッド。Photo: フェリスヴィラスィート 伊良部島 佐和田

2018年開業のリゾートは、部屋数全8室、すべてのヴィラが75㎡以上というゆとりの広さが好評です。徒歩で5分の場所には贅沢な“離れ”が1棟新設されました。部屋のタイプは離れを含めて3タイプ、ファミリーで楽しめる最大8名までが一緒に滞在可能な3ベッドルームタイプの離れもあります。キッチンやリビング・ダイニングでは、得意な料理に腕を振るうディナータイムも楽しそう。朝食は、朝食キッチンカー「HORIZON Café」がフェリスパークにやってくるといいます。宮古島の食材が使われた朝食は、8時~10時30分まで。テイクアウトでヴィラに持ち込み、朝の海を前にテラスでのんびり朝食タイム。夏休みらしい最高の贅沢時間です。

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朝食は、朝食キッチンカー「HORIZON Café」で提供。写真は水曜日、金曜日、日曜日に提供の人気プレート「Good Morning Plate」¥1,000。Photo: フェリスヴィラスイート 伊良部島 佐和田

世界の海ではいま、気候変動、海洋生物の乱獲、海洋汚染などが原因で自然体系が崩れていると言われています。海洋国である日本には、こうして世界のどこにも負けない自然豊かな海があり、私達はその海の自然を守り続けなければなりません。この佐和田の浜から見る美しい海を見ていると、先人達から受け継いだ自然を、私たちも次世代に残したいと願わずにはいられません。

フェリスヴィラスイート 伊良部島 佐和田
沖縄県宮古島市伊良部佐和田1725-9 
TEL:0980-74-5100(9時〜18時)
https://nikken-hotelmgt.co.jp/sawada/about/

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ATAMI せかいえ

伊豆山温泉から眺める大海原、“眺める海”に憩う休暇。

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「ATAMI せかいえ」のハイライトでもある紺碧テラスからの絶景。この海の情景に惹かれるリピーターは多い。Photo: ATAMIせかいえ

東京都心から新幹線で50分前後、あっという間に熱海に到着します。駅からは車で5分程度、グッと急坂を上り詰めたあたりに伊豆山温泉があります。その温泉の歴史は古く、いまもなお、熱海伊豆山温泉には114本もの源泉があるといいます。また四国松山道後温泉、神戸六甲山有馬温泉と並ぶ日本三大古泉のひとつとして、1300年以上の歴史がある「走り湯」が存在し、源頼朝・北条政子をはじめ、三代将軍や北条氏早雲などの領主たちが入浴した由緒ある温泉でもあります。

伊豆山温泉の山の上に位置する「ATAMI せかいえ」は、宿にいながらにして言葉を失うほどの“絶景の海”を眺めることができるのです。高級リゾート旅館として知られ、週末利用から休暇、温泉目的、熱海を愛するファンまで幅広いゲストを迎えるATAMI せかいえは、温泉の湧き出す山の深い緑に包まれ、熱海の海、輝く大海原を眺めることのできる絶景の宿です。

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月の道棟最上階に位置する絶景の客質「オーシャンビューペントハウス月の道」。専属シェフによる客室での料理が楽しめる。Photo: ATAMI せかいえ

ATAMI せかいえでは、全25室(増築13室を含む)のすべてが海に向かい、さらに全室にオープンエアバスが設置される贅沢な造りにリゾート感が漂っています。伊豆山温泉の源泉掛け流しの湯を楽しみながら海を感じる、こんな“眺める海”も素敵です。

最大の客室「オーシャンビュー ペントハウス 月の道」(148㎡)にはプライベートキッチンを備え、専属シェフ、専属バトラーサービスが贅沢な滞在に華を添えてくれます。食事の際には客室にシェフ自らが来てくれ、海を背にする鉄板付きのカウンター越しに、私たちのためにだけ料理の腕を振るうシェフひとり占めの贅沢タイムが可能です。

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「せかいえ棟」では日本料理、「月の道棟」では肉料理を満喫。写真は「肉料理ISHIO/ひとしお」から。Photo: ATAMI せかいえ

見逃せない楽しみも用意されています。“体と心を整える”というコンディショニングが提供されているのです。体調不良の原因を導き出し、リラクゼーションや運動療法により健康な状態へと導く施術です。とはいえ、何もしないで広いデッキにゆったりと座り、熱海伊豆山の高台から見渡す海は、時を忘れさせてくれます。夏は、戯れる海も素敵ですが、こうして“大人の海”を眺めて過ごすのも休暇ならではの贅沢です。

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紺碧テラスを俯瞰で見た様子。地球の丸さを感じるほどパノラミックな情景。海は眺めるだけでも充分に感動的。Photo: ATAMI せかいえ

「ATAMI せかいえ」 
静岡県熱海市伊豆山269-1
TEL:0570-011-722(10時-20時)
https://www.atamisekaie.jp

※無断転載禁止

 

Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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