夏休み、涼を求めて地球に優しいホテルへ。

文/せきねきょうこ

酷暑の夏が真っ盛りの日本! マスクを外せないうっとうしい日々に、誰もがそろそろ心疲れています。清々しい場所でマスクを外し、美味しい空気を胸いっぱいに、体も心もデトックスしたいと思っていませんか? 夏休みは、大空の下、酸素一杯の緑に包まれてみましょう。今月は、人にも、自然にも、優しいホテルを厳選しました。

Satoyama villa DEN

懐かしさに溢れる田園風景、古民家で過ごす夏休み。

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ヴィラを取り巻く田んぼの真ん中で寛ぐ。好天ならば北アルプスが望める場所。Photo: Tobira Group

多くの人が懐かしさを覚える里山の風景は、夏休みになじみ深いもの。稲の育った田んぼに囲まれ、カエルが鳴き、セミが笑う。空に浮かぶ入道雲や、時々降る夕立ちに雨宿りをしたり…。昭和という時代を知らない若者でさえ、そんな夏休みを胸に思い描いています。そして、その舞台はいつも里山であることに気づくでしょう。ここ「Satoyama Villa DEN」は、セオリー通りの風景が織り成す田んぼの真ん中に建つ古民家の宿です。なんと気持ちのいいロケーションなのだろうか! きっと誰もがそう思うに違いありません。

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長屋門をくぐると奥には母屋が見える。敷地には他に幾つもの建物が併設。Photo: Tobira Group

この1棟貸しの宿は、由緒ある豪奢な古民家を、ラグジュアリーでスタイリッシュな別荘感覚の宿に生まれ変わらせました。総床面積244.69㎡、文政十一年(1825年)に建てられた土蔵を含む築100年以上の母屋、美しい梁や、いまでは手に入れることさえ難しい柱の数々を残し、当時の高い美意識が感じられる古民家として話題です。

滞在する母屋には、ストーブリビング、ダイニング、キッチンがあります。それぞれがスペースたっぷりの贅沢な造りで、最新鋭のキッチンなども設えてあります。最大で16名までの利用も可能であり、和室4室、洋室1室があり、友人同士、家族同士の大人数でも過ごせる居心地のいい施設です。

 

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緑の見える縁側が快適な日本間、夜は布団を敷いて寝る。2階には洋室も造られている。Photo: Tobira Group

ロケーションは小高い山と田んぼに囲まれた信州松本市中山の田園地区。重厚な母屋を中心に長屋門や蔵、蚕小屋が残され、伝統家屋の魅力を充分に味わいながら、モダニズムも感じられる建物内は、どこもたっぷりと広く、涼しく快適です。古民家の周囲の敷地内には水田や畑があるため、夏休みを田舎の親戚で過ごすような寛ぎ感がたまりません。

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見るからにおいしそうな料理を作るシェフ、この日は扉グループの人気のナチュレフレンチ「ヒカリヤ ニシ」から統括料理長、田邉真宏が。Photo: Tobira Group

食事は、基本的には付いていません。自分たちで用意したり、外に食事に出かけたり。古民家内にはレストランがありませんので、リクエストに応じて(有料)、高級旅館として知られた扉温泉「明神館」(扉グループ)の運営施設だからこそ可能な、腕のいい料理人が出向きます。美味しいプロの料理が用意され、贅沢なプライベートディナーを楽しむのも夢ではありません。夏こそ、環境のいい田舎で、家族揃ってヴァカンスというのはいかがでしょう。

Satoyama villa DEN
長野県松本市中山5471
tel: 0263-31-2301(問い合わせ:明神館)
http://tobira-group.com/satoyamavilladen/

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軽井沢ホテルブレストンコート

木々に包まれる清々しさ、美食、高級感…軽井沢らしさ満載のホテル

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緑の森を抜けると瀟洒なホテルのエントランスが見えてくる。Photo: Hoshino Resort

都心から新幹線で1時間、こんなに都会に近いところに自然がたっぷりの別世界がある、これが軽井沢の大きな魅力です。標高900~1000mに広がる日本随一の人気を誇る老舗別荘地には、いまや高級ホテルが多く点在。お洒落なカフェや土産物店、セレクトショップまで多く、避暑地というより、飽きることのない人気の観光地となっています。

それでもやはり、軽井沢の素敵なイメージを支えているのは、アンタッチャブルな避暑地としての高級別荘が点在し、プライベート感を放つ旧軽井沢地区でしょう。また同時に、昔と変わらぬ浅間山(2568m)の勇壮な姿の麓で、新旧一帯の別荘地らしい優雅な空気感が漂う地域であるのも魅力です。そんな中、星野リゾートが運営する2か所の宿泊施設のひとつ、軽井沢らしい気品に溢れるホテルが「軽井沢ホテルブレストンコート」です。星野リゾートと軽井沢と言えば、近年では、真っ先に『星のや 軽井沢』が挙げられるようになりました。でも、清々しい森に佇む「軽井沢ホテルブレストンコート」は、軽井沢を象徴するエレガンスを湛えたホテルなのです。

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エントランスを入ると広いロビーラウンジがあり、到着後はここで緑の庭園を眺めて一息。Photo: Hoshino Resort

軽井沢は、町を挙げて「将来にも清潔で美しい自然の残る軽井沢町を保とう」という軽井沢憲章に基づいて努力を続け、環境を大切に考えています。星野リゾートもこの軽井沢での2軒のホテルの環境活動が発端となって、星野リゾート全体のエコ活動推進の原点となりました。そんな軽井沢には、昔から“迎賓文化”と言われる上質なもてなしがあり、このブレストンコートにもその精神が宿っています。“瀟洒”という形容詞が良く似合う、軽井沢らしさ満載のホテルとして歴史を刻んでいます。

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ディナータイムにだけオープンする1軒家のレストラン、Nippon Frenchを楽しむ「ユカワタン」。Photo: Hoshino Resort

軽井沢ホテルブレストンコートは、表舞台は昔とあまり変わらずにそこにあります。ただひとつ、大きな変化を挙げるならば、レストラン「ブレストンコート ユカワタン」が別棟として誕生したこと。フランス料理の技術をベースに作られる「Nippon French」の洗練された美味しさや、森の中に誕生した1軒家のレストランであること、料理の内容が森と水が育む命の恵みをいただけること、そしてオリジナルの器にもこだわりがあること…。訪れるたびに旬の食材の繊細な料理に魅了され、四季を感じることに感激してしまいます。

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季節の新鮮野菜がたっぷり、彩も美しい野菜のクロカンとヴルーテ。Photo: Hoshino Resort

私と星野リゾートとの初めての出会いは、環境問題についての関わりからここ軽井沢に始まり、いまにつながる原点があるのです。夏になると、軽井沢の涼しさを求めて軽井沢ホテルブレストンコートが一段と恋しくなってしまいます。

軽井沢ホテルブレストンコート
長野県軽井沢町星野
tel: 0267-46-6200 (受付時間:10:00~19:00)
www.blestoncourt.com

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ゼロ・ウェイストアクションホテル「HOTEL WHY」

環境問題の「WHY」を学びながら、のんびり、ゆったり、深呼吸

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平成11年に「日本の棚田100選」に選ばれている樫原の棚田。200年もの間同じように使われてきた棚田は、世界中のどの棚田よりも美しい。Photo: 上勝町

徳島県の山間に広がる上勝町には、ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)の取り組みを実体験として知ることのできる『上勝町ゼロ・ウェイストセンター(WHY・ワイ)』があります。その敷地に生まれたのが宿泊施設『HOTEL WHY』です。

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上空から見ると、WHYマークであることが見える「上勝町ゼロ・ウェイストセンター(WHY・ワイ)」。右端の丸い建物がホテル棟。Photo: Transit General Office Inc. SATOSHI MATSUO

オープンは2020年5月30日、WHYを「ワイ」と呼ぶホテルは、建物自体に地元のリサイクル材、リユース材が使われていて、円錐形のユニークなデザインが印象的です。客室はメゾネットタイプの4室のみ。滞在する客は朝食付きではありますが、レストランがないため、昼食や夕食は自身で町で買ってきたものを用意するか、外へ食べに行きます。朝食は、上勝町内のブルワリー「RISE & WIN Brewing Co.」からリッチなアイテムが運ばれてきます。なにしろ、近所には、スーパーマーケットもコンビニもありませんから、その点は要注意です。不便だと思うでしょうが、この不便さも魅力だと思えばいいのです。

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円錐形の愛らしい建物がホテル棟。入り口を入ると丸い中庭に4つの部屋に入るドアが。Photo: Transit General Office Inc. SATOSHI MATSUO

ホテルは、複合施設『上勝町ゼロ・ウェイストセンター(WHY・ワイ)』に併設されていることで、ゴミの仕分け、住人の実際の行動、センター内の説明などを聞きながら、ホテル滞在と同時に多くのことが学べます。客室内で出すごみは6分別にし、ゴミを持ち込むセンターでは13種、45分別という徹底ぶりなのです。私自身も、自宅では普段から気を付けているつもりでしたが、まだまだ配慮が足りないと深く反省しました。考えると、食品ロスはなるべく避けていますが、食材を買うと包まれているプラスチック包装カバーや入れ物、発泡スチロールのトレー、紙の箱など、たくさんのゴミが出てることに頭を悩ませました。

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客室にはデッキが造られており、朝に夕に、のんびりと山の空気を吸いながら静かに過ごす癒しの時間に。Photo: Transit General Office Inc. SATOSHI MATSUO

客室は山側のマウンテンビュー2室と道路側に向くロードビュー2室があり、4室共に吹き抜けの造りです。下の階は寛ぎのリビング、デスク、バストイレ、2階には寝るためのロフトスペースがあり、ここに自身でマットレスを敷いて寝るのです。「何もしないことを楽しむ」と掲げるホテルですが、多くを学び、ライフスタイルの意識改革について考えさせられます。また、私たちの出すごみが、巡り巡って生態系に影響を及ぼし、地球規模で変わり続ける環境の変化につながっていると、様々な“気づき”がありました。美しい山が残り、新鮮な空気に包まれ、ホタルの生息する清らかな渓谷の残された徳島県上勝町では、学ぶべきことも、考え直す時間も多くありました。

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新鮮な野菜と共に、上勝町内のブルワリー「RISE & WIN Brewing Co.」から運ばれるバーガー用の食材。スープやヨーグルトなどボリューム満点の美味しい朝食。Photo: Transit General Office Inc. SATOSHI MATSUO

上勝町は、四季がはっきりとした美しい日本の正しい田舎でした。ここでは、日々の暮らしの中で、自然破壊につながる最大の起因であるごみを、私たちひとり一人が、できる限り出さない努力をしなければならないと気づかせてくれました。「なぜ作るか、なぜ売るか、なぜ買うかを紐解く旅」とホテル。夏休みならではの旅となること請け合いです。

HOTEL WHY
徳島県勝浦郡上勝町大字福原字下日浦7番地2
tel: 080-2989-1533(受付時間:9:00~17:00)
www.chillnn.com

※無断転載禁止

Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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