いまこそ再び、旅の気分! 話題のニューオープンホテル3選。

文/せきねきょうこ

秋も深まりゆくこの季節、そろそろ迫りくる次の年に向けて旅への活発な議論や広告が世に出始めました。当然でしょう、もうジっとしていることに疲れ果てた私たちはとにかく“旅”に出たいと思っているのです。今回のホテル特集は、一度は泊まってみたい新オープンのホテルをご案内!

ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts

京都洛北、“芸術村”の歴史香を残すホテル。

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京都洛北の森に囲まれてひっそりと息づく新たなリゾート。水盤や温泉を使ったサーマルプールなど、リゾートらしい施設も充実し、大人からファミリーまで楽しめる。photo: ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts

2021年9月、豊かな森と自然に囲まれた京都の奥座敷、洛北に「ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts(以下、ROKU KYOTO)が誕生しました。リゾートは鷹峯三山の山々に囲まれた隠れ家のような静かなロケーションにあります。ホテル名はまだ日本では知られていませんが、それもそのはず。このブランドはヒルトンのコレクションブランドであり、ラグジュアリーブランド「LXR Hotels & Resorts」として、京都を舞台に日本初、さらにアジア太平洋地域にも初進出を果たしたのです。

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レストラン棟の前に広がる水盤と、その中に建つリゾートのコンセプトツリー「台杉(だいすぎ)」。photo: ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts

京都のこの地域には、世界遺産の金閣寺も徒歩圏にあり、茶道とかかわりの深い大徳寺も鎮座。しかし何よりも、この地をいまに伝える華々しい歴史ストーリーは、芸術家の本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)が徳川家康より与えられたのがここ、鷹峯の9万坪に及ぶ土地であったことです。光悦はこの地に多くの芸術家を住まわせ、創作に興じる「芸術村」を造り、都に文化のうねりをつくっていきました。やがて画家である俵屋宗達とのコラボレーションにより、日本文化に大きな影響を与えた「琳派」発祥の原点となったのです。

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「Tea House」の夕景。チェックインも、チェックアウトも、休憩も、ラウンジのように使われる快適なティーハウスで。photo: ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts

「ROKU KYOTO」では、敷地内を流れる天神川のせせらぎ音を聞きながら、ゆったりと過ごせる環境が造られています。ホテルのコンセプトは、「Dive into KYOTO」。400年も前に築いたという琳派発祥の歴史が宿る土地に深く入り込み、京都着物に新しい新たな息吹を吹き込んだ染匠‘しょうざん’所縁のロケーションに滞在できる、そんなラグジュアリーなリゾートのコンセプトです。

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デラックスキング。窓からは鷹峯を望む50㎡の客室で、シンプルながら唐紙を始め、京都工芸品を採り入れた落ち着きのある部屋。photo: ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts

広大な敷地とゆったりと造られた施設に、客室は全114室。5種類のタイプが揃い、いずれも職人の伝統技とモダニズムの饗宴が楽しめます。温泉施設があるのも嬉しい限り。とりわけ、天然温泉を使用したサーマルプールが愉しめるとあって、週末はファミリー層が多く訪れています。

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ROKU Suite。天神川越しに山麓を望む100㎡のスイートはアートワークが印象的な贅沢な部屋。photo: ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts

食は五感を刺激するレストラン「TENJIN」が天神川添いに造られ、好天の日には縁側やテラス席が快適です。ちょうどこの時期、真っ赤に色づく紅葉を目の前に、美味しい食事やアフタヌーンティーで盛り上がることでしょう。広いレストラン内は「シェフズテーブル」、「オールデイダイニング」、「ザ バー」という3つのシーンに分かれています。食事は“食べるアート”と謳い、とりわけシェフズテーブルでは「琳派リフレクション」として革新的な食体験をテーマに、グルメを驚かせる特別なコースが用意されています。

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レストラン「TENJIN」内の“シェフズテーブル”で提供されるシグネチャーのサラダ「薬草園」。料理はシェフがゲストの目の前で盛り付け。レストランは、シェフズテーブル、オールデイダイニング、バーと3つのシーンを設定。photo: ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts

滞在して、食べて、遊んで、癒されて、すべてにラグジュアリーを追求するヒルトンの最高級ブランドが、京都の洛北から世界へと発信されています。

ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts
京都府京都市北区衣笠鏡石町44-1
TEL: 075-320-0111
【公式】ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts 

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パーク ハイアット ニセコ HANAZONO

国際感覚のリゾートに揃う、NIPPONの美食レストラン。

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前に広がるスキー場、ニセコアンヌプリの山並みを背景にした冬のホテル外観、中央と手前がホテル棟、奥がレジデンス棟(60室以上)。photo: パーク ハイアット ニセコ HANAZONO

いまやニセコと言えば、世界的なスキーリゾート地として知られるようになりました。店の看板にも英語表記が多く、冬季シーズンにもなると外国語が飛び交い、改めて国際色の豊かさに気づかされます。そのニセコの比羅夫から車で約20分も走ると、ニセコのランドマークである名峰・羊蹄山が目の前に迫ってきます。その周辺が一大リゾート地として新たに開発の進むニセコ花園地区、今回の主役であるリゾートの舞台です。

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ホテル棟のロビーとレセプションデスク。どこも天井が高く、スペースが広く開放感のある美しいデザインのロビーエリア。photo: パーク ハイアット ニセコ HANAZONO

広大な自然が残る倶知安町花園地区は、いま、国内外の投資家からも熱い視線が向けられ、数々のリゾートプロジェクトが進行中です。その花園地区のとっておきのロケーションに、2020年1月20日、世界的にも知られるホテルブランド「パーク ハイアット」が誕生し、「パーク ハイアット ニセコ HANAZONO」として注目されています。パーク ハイアットは、Hyatt Hotels & Resortsが誇る最高峰ブランドであり、日本では、東京、京都に継ぐ3軒目となりました。

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パークスイートデラックス(温泉付き・98㎡)。最大4名まで滞在が可能。大きなガラス張りのパノラマウィンドウからは羊蹄山や大自然を展望。photo: パーク ハイアット ニセコ HANAZONO

「パーク ハイアット ニセコ HANAZONO」は、目の前にそびえる羊蹄山に対峙し、ホテル前にはスキー場のゲレンデが広がる絶好の地に建てられています。スキーで遊んだ後は、そのままゲレンデからホテルに入れるという贅沢な造りも魅力的です。筆者のようにスキーをしない人にも、このロケーションにあるホテルは四季を通じて楽しめます。たとえば春夏の新緑の季節には、瑞々しい森の緑に誘われ、森林浴や散策やゴルフ、数々のアウトドア・アクティビティで思いっきり自然と戯れ、一方、秋には眩いほどの紅葉を愛でる感激の季節となります。

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冬でも楽しめる25mのインドアスイミングプール。ウェルネスエリアにはフィットネスジムも。photo: パーク ハイアット ニセコ HANAZONO

部屋数は全100室ですが、隣接のレジデンス棟には別に60室が揃っています。ホテルでは、28室のスイート中の9室にプライベート温泉が設置されています。客室の広さは65㎡から始まり、リビングやダイニングエリアに分かれ、長期滞在にもゆったり過ごせる仕様です。館内の施設には、羊蹄山を望む25mの屋内プールやスパ施設、温泉大浴場などが揃うウェルネスエリアも充実。冬季の天候不順にも、館内で飽きずに過ごせるよう充分な施設が整っているのです。

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大人気の鉄板焼きレストランでの和牛の一皿。フランスの優雅なエスプリを融合させた“TEPPANキュイジーヌ”を提供。photo: パーク ハイアット ニセコ HANAZONO

しかし、何といっても驚きは館内に揃う10か所ものレストラン&バーでしょう。ピエール・エルメ・パリとのコラボによる「ザ・ラウンジ」、「チャイナ・キッチン」、イタリアンの「オリヴィオ」、札幌のミシュラン3ツ星レストラン「モリエール」のシェフが新たな料理世界を展開する「モリエール モンターニュ」、ミシュランの星を掲げる金沢・ひがし茶屋街の「鮨 みつ川」、他にも「鉄板」、地元食材の料理の数々を提供する「デリ」、大人の世界を彩る「ザ・バー&シガーラウンジ」、「炉端」(12月より営業再開予定)など、いずれも一流の料理人が技を競いあっています。1週間滞在しても食べきれません!

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北海道の郷土料理や西洋料理を中心に提供。ピエール・エルメ・パリのコラボレーションによりオリジナルスイーツも見逃せない「The Lounge」。photo: パーク ハイアット ニセコ HANAZONO

こうして高級感あふれるホテルは、気取らずに温かでカジュアル、さらにインターナショナルなサービスがとても快適でした。都会の日常を離れて過ごすダイナミックリゾートでの休暇に、きっと誰もが癒され、心に活力を漲らせて帰路につけるのではないでしょうか。

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「ウェルネス アット ザ パーク」内の天然温泉大浴場。冬の時期、ウィンタースポーツ後には体の芯まで温まる温泉はたまらない。photo: パーク ハイアット ニセコ HANAZONO

パーク ハイアット ニセコ HANAZONO
北海道虻田郡倶知安町字岩尾別328-47
TEL: 0136-27-1234
www.hyatt.com/ja-JP/hotel/japan/park-hyatt-niseko-hanazono

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福田屋

作家や詩人を魅了した今津の町、街道添いの旅籠で過ごす休日。

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客質からは邪魔するものも無く見渡せる琵琶湖の夕暮れ時、美しい色が刻々と変わる。photo: Fukudaya

2020年4月、琵琶湖の畔でひっそりと玄関のドアを開け、コロナ禍にあったことで大きな宣伝もせずにいたものの、心配をよそに、その後は一組、また一組と口コミで魅力が伝わり始め、すでにリピーターが次々と訪れるという1棟貸しの“旅籠”があります。

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昔ながらの玄関、引き戸には慎ましく旅籠の屋号「福田屋」が。photo: Fukudaya

ここで紹介するのも少しはばかられるような、知る人ぞ知る旅籠は、きっとリピーターたちには静かなる別宅としてあり続けて欲しいと思うかもしれません。この2年近くに及ぶコロナ禍の中でも、1日一組に限定のお宿ですから、安心して滞在ができることも強みだったのかもしれません。

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館内は日本家屋の洗練された大工の技術が随所に。昔ながらの温かな空気感と懐かしさに包まれる。photo: Fukudaya

旧街道沿いの町として栄えていた琵琶湖畔の今津は、その昔、代官屋敷や御蔵所、問屋、旅籠等が建ち並んでいたといいます。全盛期には問屋が10数軒、旅籠が8軒ほどあったようです、そして140年前頃、執筆家や詩人を魅了した今津の現在は、民宿も多く、ホテルやリゾートもありますが、ここ、1日一組限定の旅籠「福田屋」は、開業以来、特別な存在となりました。かつて街道一の旅籠として、多くの商人や旅人に愛された旅籠福田屋。それを受け継いで、新たな歴史のページを歩み始めた宿には、かつて世界中のファンを熱狂させたリゾート「アマン」を彷彿とさせる、ファミリーのようなもてなしが息づいています。

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寛ぎの居間。家族や仲のいい友人との旅もいい、しかし、時にはひとりで過ごすのも悪くない。主は、常につかず離れず見守ってくれる。photo: Fukudaya

1日1組ですから、それぞれの滞在客にカスタマイズされた料理や、希望に合わせた体験が提供されるといい、わがままが通る宿でもあるのです。旅籠の主はこう言います。「まるで実家に帰ってきたようにホッとくつろいでいただける場所になりたいと思っています」と。この言葉がすべてを表し、リピーターが多いという理由の原点となっているような気がします。

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栄養バランスのとれた“日本の正しい和朝食”、常に作りたてが提供される。photo: Fukudaya

特に食事については、コンセプトが「湖水料理」と言いますが、実は豊饒な土壌で育った地元の旬の野菜、琵琶湖の湖魚、近江牛や日本海の魚介などを中心に作られ絶品の日本料理。食事にもわがままを相談すれば、あれやこれやと可能な限り好みに合わせ用意してくれるのです。

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鮎の季節にはこうして囲炉裏で焼いておやつ代わりに。photo: Fukudaya

宿のホームページに記される1行の文章が、私の中で大いなる食欲と化しました。「宿の囲炉裏に火がともり、紅葉の色が深まる秋になると、新米にキノコ、イノシシ、天然ウナギなど、この季節に旬を迎える近江の食材たちが続々と届きます」。もうこれだけで、西に向かう旅の気分は沸騰点に達します。

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湖を見ながら湖面との一体感を味わえる贅沢な風呂。

琵琶湖の波紋と大空を見に来て!といざなう旅籠で、心整える静かな滞在は、日々の暮らしの中で疲れ切った自分のご褒美でもあり、心のデトックスのような気がします。

福田屋
滋賀県高島市今津町今津76
Tel:0740-22-0029
http://fukudaya.jp/

※無断転載禁止

Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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