新しい年をホテルで迎えるなら? 年末年始に泊まりたい宿3選!

文/せきねきょうこ

あっという間の1年が過ぎようとしています。いま、木々の葉は随所で紅葉を魅せ、周囲を赤や黄色に染め上げています。そして次にやってくるのは、いよいよ、年末年始のロングバケーション! 思うように旅ができず、トラベラー達はもう旅に出ようと待ち望んでいることでしょう。そんな旅好き達に、新年を迎えるに相応しい、とっておきの宿3軒をそっとお教えしましょう。

アマネム

伊勢志摩の清浄な空気に包まれ、アマネムで厳かに迎える新年。

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半島の先端を占める美しいロケーションに広がるアマネムの全貌。

日本に2軒目のアマンとして誕生した「アマネム」は、英虞湾の美しい海と森に包まれ、2016年3月に誕生しました。早いもので、大きな話題となった開業以来、すでに6回目の大晦日とお正月を迎えようとしています。伊勢志摩国立公園内という変わらぬ美しい環境で迎える新年は、ことのほか人の心を新たかにし、山の向こうに鎮座する伊勢神宮の神聖な空気感とともに、アマネムの持つパワーや温泉の力、日本の伝統を踏襲したクラシカルな“お正月”を迎えるために、心穏やかで温かな元旦を演出してくれます。まさにアマネムの名の意味が示す通り、”平和なる歓び”を感じる滞在となることでしょう。

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贅沢な設えのヴィラ内部、写真はリビングエリア。全体が白木の木彫で造られた内部は穏やかに落ち着ける。

アマネムの客室は全部で24 室のスイートと4棟の2ベッドルーム・ヴィラからなり、すべての部屋に温泉が引かれています。除夜の鐘、初日の出、初風呂、そしてお雑煮やおせちのご馳走の待つ元旦の朝へ……。時がゆったりと流れる特別な日に、アマネムで過ごす人々には幸多き新年であるようにとスタッフ一同が祈念してくれるでしょう。アマネムの建つ大崎半島の先端は、リアス式海岸が続く風光明媚な景勝地。好天ならば、初日の出を見る景色は絵葉書よりも感動的な美しさを見せてくれるのです。

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初日の出を待つ英虞湾の様子。

そして森の中に2000㎡も敷地面積を誇り、水をテーマにするアマネム自慢の「アマン・スパ」では、ミネラル分豊富な天然温泉を楽しめるプライベート温泉や、日本随一のスケールを誇るサーマル・スプリングが楽しめます。お正月早々に、スパのトリートメント・スイートで薬草療法や数々のオリジナルなトリートメントを受け、健康な1年であらんことを心に刻む休暇となることでしょう。

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豪華な山海の幸が詰まった御節(おせち)。かつて御食つ国(みけつくに)と呼ばれた伊勢の豊富な食材がお正月料理に。

さらに伊勢志摩地方は、万葉の時代より神事に用いる地元の海産物を天皇に献上し、“御食つ国(みけつくに)”と呼ばれていました。それほどに上質な食材も豊富にあり、また食文化が栄えていた地域です。新年の年初め、元旦を迎えるにあたり、アマネムで提供される御節料理を満喫できるのは幸せです。アマネムが放つ伊勢志摩の伝統のお正月は、もしかしたら、日本人が常に理想に描く伝統的で正統派のお正月を演出してくれるかもしれません。

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めでたい元旦には着物姿のスタッフからお神酒が振舞われる。

アマネム
三重県志摩市浜島町迫子2165
Tel:0599-52-5000
www.aman.com/ja-jp/resorts/amanemu

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石山離宮 五足の靴

悲しいほどに美しい、1年最後の夕焼けに乾杯!

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天草にキリスト教が伝来したと同時に西洋の文化が伝わった。「五足の靴」のテーマは、16世紀「キリスト教が伝来した中世の天草」を表現。

情緒あふれる熊本県天草の町の高台に、伝統と新しさを見事に融合させたラグジュアリーな旅館「石山離宮 五足のくつ」がひっそりと佇んでいます。開業は2002年7月。2005年10月には新たに「Villa C」が新築され、ラグジュアリーな旅館はより充実したヴィラホテルのように、エキゾチックなムードの旅館として存在感を放っています。九州最西端の異国情緒あふれる街で、アジアの中のNIPPONを愛おしむ新年はいかがでしょう。

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全15棟の客室ヴィラ。写真はプレミアム「ヴィラC」の贅沢な内観。

もともと天草には、その昔からキリシタン伝説や歴史が宿っており、館内はそれらの歴史にインスパイアされたデザインが施されています。私たち旅人は、ただエキゾチックな旅情をくすぐられるのですが、地元には実際の歴史香としてキリスト教会も多く残り、文化的にも早くから西洋と関わった様々な事象が伝えられています。そんな天草に誕生して早くも20年近い時が経ちました。変わらぬ人気の旅館では、季節の良い時期には、テラスで東シナ海を望みながらチェックインができ、海風に頬を包まれるお茶タイムも快適です。館内には、開業以来すっと賛美歌が小さく静かに流れ、まるで教会内部の礼拝堂と見紛うような美しいコリドールも造られています。

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すべての部屋に設置されている源泉掛け流しの天然温泉「下田温泉」。その湧出量は1分当たり2,000リットルも有り県内有数。

客室の多くはプライベートな特別感を漂わせる贅沢な造りであり、部屋のタイプは4種類、全15棟が揃っています。すべての客室のデザインが異なり、いずれも「キリスト教伝来の16世紀の天草」をイメージしており、各客室には温泉の露天風呂も設置されています。温泉の開湯は700年も前のこと。下田温泉といい、環境庁(当時)から熊本県初の『国民保養温泉地』に指定されるほど泉質の良さや効能のすばらしさに定評があるといいます。「石山離宮 五足のくつ」の名前の由来は、地元の海岸地帯に多く産出される天草陶石から、陶石の採れる山を「石山」と呼ぶことに由来しています。なかでも最も興味深いのは、宿の敷地内に通る小径にまつわる逸話です。日本の近代文学に多大なる足跡を残した北原白秋、吉井勇、与謝野寛、平野萬里、太田正雄ら5人の詩人が、当時長崎、天草、阿蘇へと旅をしながら、1907年に、それぞれが執筆者匿名で書いた紀行文が新聞に掲載されました。その際に歩いた縁の小径の一部が、まさにこの宿の敷地内を走っているのです。現在は「文学遊歩道」として整地され、宿と共に守られています。

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イカやタコを使った炊き込みご飯「イカ飯」など、「五足の靴」の会席料理を目当てに泊まるゲストも多い。お正月にも新鮮な地産地消の料理を提供する。

こんな歴史を思いながら、1年の始まりに天草でお正月を迎えるのはいかがでしょう。東シナ海で水揚げされる美味しい冬の味覚、お正月を迎えるための高級食材や天草のブランド鶏「天狗大王」を始め、ゲストを歓ばせる豪華な料理がずらりと並びます。海に沈みゆく大晦日の感動的な夕陽、早朝の初温泉、お正月料理など、気持ちも新たかに贅沢な1年の始まりを祝う神聖な元旦は感動的です。

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エキゾチックな豊饒の海、天草ならではの歴史や文化を見つめてきた美しい海の夕焼け。大晦日に1年の感謝を込めて見つめる夕陽は感動的。翌朝の太陽はもう新年を迎える。

石山離宮 五足のくつ
熊本県天草郡天草超下田北2237
Tel:0969-45-3633  
https://rikyu5.jp/

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箱根 翠松園

富士の麓で箱根の森に包まれる、リゾート旅館で迎える優雅な新年!

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壮麗なエントランスの構えは新しいが、三井財閥の別荘として造られた邸の門として威厳を保つに相応しい。photo: 箱根 翠松園

標高600mの箱根小涌谷付近の森に包まれ、和のリゾートと謳う瀟洒な旅館が佇んでいます。壮大な門を入ると見えてくる、美しく手入れの行き届いた庭。そして歴史的な日本建築と、新たに建てられた客室棟。いつの季節も四季の移ろいを映し出す箱根らしい佇まいの宿です。

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日本建築内、ロビーとして使われる趣のある内観。photo: 箱根 翠松園

ここは三井家の旧別荘地(旧三井翠松園)。敷地内には登録有形文化財に指定される大正14年築の日本家屋が残されています。文化財らしい邸は、現在では二度と建築できないだろうと思われるオーラを放ち、その前には、三井家の華麗なる歴史を見つめてきた樹齢300年の古木が凛とした姿で立っています。

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国の登録有形文化財指定「三井翠松園」の日本建築は、現在「箱根・翠松園」の料亭紅葉に。現在、ロビー、レストラン、バーなどに利用。photo: 箱根 翠松園

庭の中央に佇む登録有形文化財の邸は、意匠デザインと富士屋ホテルの施工を手掛けた河原徳次郎により造られました。木造2階建ての邸内はメインダイニングとなるレストラン「紅葉」、「Bar伊都」が造られ、静謐な時の流れの中で過ごせます。邸内を飾るアンティークの調度品や伝統工芸品も邸にぴたりと嵌り、ゆらゆらと波打つ繊細な大正硝子の窓や、江戸唐紙、染司よしおかの草木染なども映画のシーンのように見えてきます。

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ラグジュアリースイートツイン122.7㎡「尚/ねがう」の露天温泉風呂は半露天造り、大きな湯舟でゆったりとプライベートに温泉三昧。photo: 箱根 翠松園

料亭紅葉を囲むように配置された客室棟は全室スイートの23室。それぞれ趣の異なる客室には自家源泉かけ流しの露天風呂が設置され、お正月早々からゆったりと贅沢な温泉三昧が可能です。風光明媚、清浄な空気、霊峰富士山、いずれも新年を迎えるに相応しい尊い条件です。

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同じく「尚/ねがう」の贅沢な客室。ダイニング、リビングエリア、テラスにはハンモックも。photo: 箱根 翠松園

現代的な居心地の良さを追求しながら、大正時代の伝統が薫る旅館「箱根 翠松園」。きめ細やかなバトラーのサービスを受けながら、贅沢で穏やかな年末年始を。プライベートな”おこもり”の新年もいいものです。

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お正月料理の本格的‘おせち料理’のお重とお屠蘇。新年を祝う滞在では厳かな伝統料理に舌鼓。photo: 箱根 翠松園

箱根 翠松園
神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷519-9
Tel:0460-86-0852
www.hakonesuishoen.jp

Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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