PETALS TOKYO 都心で愉しむ、「水上に浮かぶ」非日常なホテルとは?
ホテルへBon Voyage 2022.02.21
文/せきねきょうこ
東京・品川にはさまざまな顔があり、その歴史や逸話が語り切れないほど隠れた街です。その品川エリアがいま、大きな変貌を遂げています。たとえば一昨年、JRの新しい駅「高輪ゲートウェイ駅」が誕生。また、品川駅の東に広がるウォーターフロントは、無機質な倉庫街から、ファッションやライフスタイルに感度の高い人々が集まるスマートでおしゃれな地区へと進化しました。
その開発の中心地区である天王洲エリアの運河に、オランダやドイツ、ポルトガルなどヨーロッパの一場面を想わせるホテルが誕生しています。水上のアートホテルとして生まれたフローティングホテル「PETALS TOKYO」、運河に浮いた小船のホテルです。
天王洲の運河に浮かぶ日本初の本格的フローティングホテル全景。小船は「PETAL1」から「PETAL4」まで全4隻、つまり4棟のスモールラグジュアリーなホテル。中央に停泊する大きな船はイベントスペース「T-LOTUS M」。photo: PETALS TOKYO
日本ではなじみのないジャンルですが、それもそのはず、日本で初めての本格的なフローティングホテルとして、2020年11月9日に開業しました。ホテルの名前であるPETALとは、ご存知の通り“花びら”の意味があり、「水面に浮かぶ蓮の花びらのようである」ことから命名されたといいます。
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運河に浮いている1軒家のような造りのコテージは開放感たっぷり。全4隻(4棟)の船であるホテルルームは、個性的なハンドクラフトの面白さを誇り、4隻ともに全く異なるデザイン。リピーターになれば、その都度違うコテージを選んで泊まる楽しさもあるでしょう。それぞれのラグジュアリーな客室内にいると、一般の高級ホテルとどこも変わらない設備も整い、運河に浮いていることを忘れてしまいます。しかし、近くをスピードボートや水上タクシー、小型観光船などが通るたびに波が立ち、揺れを感じることで、リゾート感に包まれる......。これこそが「PETALS TOKYO」にステイすることで味わえる非日常なのです。
北ヨーロッパの川面で見かけるハウスボートのようなアートな外観「PETAL4」、室内は43㎡。photo: PETALS TOKYO
外観の個性的なアーティスティックさに比べ、コテージ内部はどれも落ち着きのあるラグジュアリーな造りです。ひと部屋ごとにデザインは異なりますが、ひとりでテレワークするにも、友人と週末を過ごすにも、都心でリゾートを楽しむにも素敵なチョイスとなるはずです。
個性派アートのような「PETAL1」の外観。テーマは「Modern &Stylish」。外観からは映画や物語が始まりそうなワクワクが伝わる。photo: PETALS TOKYO
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水上アートホテル「PETALS TOKYO」の誕生は、周囲の倉庫街がアートを主体に“水辺とアートの街”として生まれ変わるプロセスの重要な一角を担っているようです。倉庫街の壁面にはアート作品が描かれ、洒落たカフェやレストランがオープン。また、ホテルの建物に挟まれるように、隈研吾がデザインを監修したイベントスペース、海に浮かぶ「T-LOTUS M」がホテルに隣接し運河に並んでいるため、イベント開催後に宿泊も可能な施設となり、ホテルはいろいろな意味で、この天王洲のウォーターフロント・エリアの中心的存在となっていくような気がします。
「PETAL1」の内観、シャワールームは広く快適。小船とは思えない快適な内装に連泊者やリピーターも増えている。photo: PETALS TOKYO
ホテル自体にレストラン、カフェ、ラウンジ、プールなど付帯施設はありませんが、陸に上がれば、美味しそうな洒落た施設が多くあり問題はないでしょう。ほかのホテルと違って面白いのが、予約の時点でどんな滞在を望むかを確認し、サービスをカスタマイズしてくれるバトラーサービスが提供されることです。景色を楽しみたい、こんなレストランに行きたいなど、リクエストをしてみるのもいいでしょう。むしろいまの時期だからこそ、お気に入りの食事をテイクアウトして、お気に入りのワインやシャンパーニュを傍らに、夕陽を見ながら運河を感じるディナーを船内から愉しむのも最高です。都心で味わうロマンチックでプライベートなサンセットタイムなんて、なかなか味わえない素敵な時間です。
朝食付きのプランで泊まることも可能。夕食も天王洲の人気レストラン「T.Y.HARBOR」や、各種クラフトビールが楽しめる「T.Y.HARBOR BREWERY SHOP」、「breadworks」や「Lily cakes」からのデリバリーも可能。photo: PETALS TOKYO
PETALS TOKYO
東京都品川区東品川2-1先
Tel: 050-5491-2681
www.terrada.co.jp/ja/service/space/petals-tokyo
Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com