THE WESTIN MIYAKO KYOTO "京の桜"を愛でる......老舗ホテルのスパと名シェフのフランス料理に満悦!
ホテルへBon Voyage 2022.03.21
文/せきねきょうこ
2020年に創業130年(創業1890年)を迎えた「ウエスティン都ホテル京都」は、古くからホテルファンに愛されてきたばかりか、地元からの支持も高く、世界中から多くの賓客を出迎えた歴史ある社交場として知られてきました。
今回訪れた2月にホテルのスタッフから聞いた言葉は、そんなストーリーの一端を物語っていました。「うちのホテルでは『結婚式をするならココ!』と言う方がいらっしゃいます。親子三代での挙式も……」と。時を超えて愛され続けてきたホテルならではの逸話は数えきれません。伝統や格式は、時を重ね、ホテルのたゆまぬ努力とモチベーションの高さが礎になり信頼に繋がるのです。その老舗ホテルが、2019年11月から大規模改装・改修工事をスタート。2021年にグランドリニューアルを成し遂げました。

ホテル全体のリニューアルコンセプトは、未来を見つめる中で国内外にその名を轟かせたいという思いから、「The Queen of Elegance」と掲げました。これは次世代へのメッセ―ジであり、また常に上質を目指して進化するホテルサービスを目指すラグジュアリーホテルでありたいという願いが現れているように思います。

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2021年4月6日、一足先にオープンしたスパ「華頂」は、敷地内で掘削した天然温泉「京都けあげ温泉」を使用。華頂山や琵琶湖疏水との調和をコンセプトに掲げ、レトロな南禅寺水路閣をイメージした曲線がデザインされています。この京都随一の大きさを誇る2100平方メートルのスパには、男女別のエリアにそれぞれ半露天風呂、内風呂、ジャグジー、サウナが設置され、日本のモダニズム建築の黎明期を支えた先駆者、村野藤吾らしい曲線が採用されています。男女の内湯、スパのラウンジに見える緩やかな曲線美など、クラシカルとモダンが交錯する曲線、R型にデザインされたウェルネスエリアは、心まで和らげる優しい印象を感じます。
スパの完成よりも少し前の2020年7月11日、ホテルには、もうひとつの特徴的な施設がリニューアルオープンしていました。それは村野藤吾設計による数寄屋風別館「佳水園」です。”女将”の存在、客室平均の広さ70平方メートル、贅沢な廊下の造りなど、日本家屋ならではの伝統和風建築独特の感性に包まれます。また自然の岩盤を利用したという佳水園庭園、村野藤吾デザインの白砂を敷き詰めた中庭、敷地内の探鳥路など、傾斜地が利用された広大な敷地のホテルだけに、ホテル本館とは全く別の世界が広がっています。
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もうひとつ、見逃して欲しくないのがホテル自慢のグルメ処です。朝食から楽しめるオールデイダイニングのブッフェレストラン「洛空」、アフタヌーンティーが人気のティーラウンジ「MAYFAIR」、そしてフレンチの名料理長ドミニク・ブシェ監修のフランス料理、Dominique Bouchet Kyoto「Le restaurant」です。本国フランスのパリ本店でミシュラン1つ星を獲得しているフランス人シェフが、この老舗ホテルの3階に54席を備えたエレガントな店舗を展開しています。

京都の野菜類や季節の旬を彩る魚料理、ドミニク・ブシェのシグネチャー料理である牛肉料理など、京都の老舗高級ホテルを舞台に”伝統と革新”、”フランスと京都”のエスプリを込めて提供。同じ3階にはドミニク・ブシェの初監修となる、Dominique Bouchet Kyoto「Le Teppanyaki」がオープンしています。次回は是非、フランス人名料理人監修の鉄板焼きを賞味するのが楽しみでなりません。

THE WESTIN MIYAKO KYOTO
京都市東山区粟田口華頂町1(三条けあげ)
Tel: 075-771-7111
www.miyakohotels.ne.jp/westinkyoto/index

Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com