The Newt in Somerset ~Somerset/England~ 広大なカントリーサイドの自然とともに、 英国流のもてなしに包まれる滞在を。

ロンドンから車で約3時間、途中、世界遺産のストーンヘンジを右手に見ながら、見わたす限りどこまでも続くなだらかな丘やいくつもの森を超えて快適なドライブでした。今回、目指すはイギリス南西部のサマセット州、ブルトンとキャッスル・ケアリーの中間に位置する歴史的なエステートです。

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エステート到着時に訪れる本館の邸宅「ハドスペン・ハウス」。森の木々に包まれたジョージアン様式の邸宅で、別当の「ステーブル・ヤード」「ファーム・ヤード」もそれぞれに改装が終わりラグジュアリーなホテル&スパに。

ロンドンからたっぷりとドライブを楽しんだ後、到着したのは、世界中のTVで放映された英国貴族のドラマ、"ダウントンアビー"の舞台を思わせるような瀟洒な歴史ある邸宅でした。ここがホテルとしてゲストを受け入れ、まさに私たちが滞在する「ザ・ニュート イン サマセット」です。

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「ハドスペン・ハウス」の裏側からの景色。キッチンガーデンや手入れされた庭園、クリケット場やバドミントンコートなどが造られている。

到着時から広大なエステートに言葉を失いました。「周囲の目に映るすべての情景が敷地内」という説明を受け、ただ驚きとため息ばかりの印象です。1000エーカーもあるという想像を遥かに超える敷地(東京ドーム87個分)は散策をするにも広すぎて、まずは一部を目指すしかありません。しかし、ただ広いことを売りにしているのではなく、サマセットの原始の森や自然環境、そこに生息する動物との共生、そして豊かな土地に感謝をしながらサステナビリティを重視し、ゲストがこの素晴らしい地域性を五感で味わい、満足な滞在ができるよう運営に注意を払っているというのです。到着時から受けたのは、スタッフの大きな笑顔、オープンマインドで温かな歓迎の言葉に包まれ、ロンドンからの遠い道のりを完全に忘れさせてくれました。

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イモリの像。「ザ・ニュート」とはイモリのことで、この敷地内から希少なイモリが見つかったことでオーナーは「ザ・ニュート」と名付けた。

ちなみにニュートとは、ホテルのロゴマークにも描かれているように、この土地で見つかった希少価値の高い"イモリ"のこと。自然が保護されている敷地内には未だ見ぬ多くの小動物が共生しているのです。そして、広大な敷地に客室数は全40室のみ。スモールラグジュアリーホテルとして施設は充実しており、英国内でも多くの人が憧れるエステートだと知りました。

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豊かな緑の中にあるのは、ジョージアン様式の美しい邸宅(本館)「ハドスペン・ハウス」を中心に、敷地内にはゲストハウスが点在しています。徒歩圏内とは言うもののカートで走ること約10分、小さな集落のように点在している場所がいくつかあります。かつて馬小屋だった旧厩舎「ステーブル・ヤード」、さらに旧酪農場を改装した別館「ファームヤード」など、それぞれに客室やレストラン、他の農業施設を伴い点在しているのです。

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エステート内のホテル別棟で酪農場を改装し魅力溢れる17室を備える「ファームヤード」。プール、オールデイ・レストラン、無料のバーも。

本館も別館も、すべての客室のインテリアがまるで異なるのも特徴的です。とりわけ1687年から90年に建設されたハドスペン・ハウス(本館)は、イギリスの「グレードⅡ指定建造物」に登録されている貴重な建物です。いずれの客室も、自分のカントリーハウスに滞在するような寛ぎのある造りで、広い客室やテラス、バルコニーや、部屋によっては室内サウナがつき、また長期滞在者用にはキッチン付きもあり、贅沢な設えが施された趣の異なる全40室が用意されています。

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邸宅の2階に位置するハドスペン・ガーデンビュー・ルームのひとつ。

建物はそれぞれに異なる構造が活かされ、英国の伝統を残しながらもコンテンポラリーな快適性あふれる客室に改装され、クオリティの高い部屋に生まれ変わっています。独立した2か所のハウスはライフスタイルショップと食品、名産品などに分かれ、買い物も楽しい時間となります。さらにこのエステートの重要な目的は庭園、菜園などにあり、興味津々のガーデン・ツアーが開催されています。導くのはここで働くガーデナーの日本人女性であり、私たちには日本語で丁寧に案内してくれます。自然と共に生きることの大いなる喜びを体験し、自然で温かい人のもてなしも、安全で美味しいフレッシュな食材をいただく食事の数々もここで過ごす大きな魅力です。また、何よりも凄いこの大自然豊かな情景は、「ザ・ニュート イン サマセット」の感動的なハーモニーとなっていました。

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こうしてバラエティーに富んだ「ザ・ニュート」の施設は、滞在者だけに解放されているのではなく、12か月有効のメンバーシップに入会すれば、期間中は何度でも入園可能な制度も提供され、ロンドンから日帰りで楽しめる極上のツアーにも参加できるといいます。当然、滞在者専用の体験も数多く揃っています。特に初体験となった「プライベート・ハニー・テスティング」は驚きでした。「ハウス8・セラー」で行われた養蜂場長、ポーラ・カーネル女史によるテイスティングは、学び、試食する1時間、蜂蜜の持つ凄さを知る体験でした。

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「サイダー・プレス&セラー」ではリンゴの生産からすべての醸造プロセスを行う。ツアー後には軽食も提供するサイダー・バーもある。

ほかにも、サイダー・セラー(シードル醸造所)の見学やテイスティングも体験。「ザ・ニュート イン サマセット」では、リンゴの木の剪定から最後の醸造までを丁寧に行っており、サイダー・プレス&セラーでは、サイダー造りの歴史や本格的な醸造プロセスが学べます。何しろサイダー用のリンゴが70種、3000本も栽培されているといい、マイスターのグレッグ・カーネル氏が情熱を注ぎながら指導管理もしています。

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ザ・ボタニカル・ルーム。ハドスペン・ハウスの1階に位置。ガラス張りのスペース「グラス・ルーム」とビリヤードルームを改装し暖炉の燃える「オーク・ルーム」で構成。ジョージ王朝時代の歴史観が残るレストラン。

滞在中の楽しみは食事にもあります。このエステート内では350種以上もの野菜を栽培しており、すべての料理に新鮮な食材が使われています。ハドスペン・ハウス1階の「ザ・ボタニカル・ルーム」は、ジョージ王朝時代の歴史を感じる趣あるインテリアのレストランで、オレンジの木や様々な木々に囲まれたガラス張りのエレガントな「グラス・ルーム」と、ビリヤードルームを改装した「オーク・ルーム」で構成されています。種から育てる野菜のライフサイクルが考慮され、肉類や魚類もエステート内農場産の食材が多く使われます。ワインもセラーに貯蔵されたコレクションから選ばれ、まさにメイド・イン・ザ・ニュート。メニューは古き良き時代のカントリーハウスのキッチンを思わせます。

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ガラス張りで眺望の良い「ガーデン・カフェ」は季節のフルーツや野菜を中心に旬の食材を使って季節メニューを提供。

一方、本館から離れたファームヤードにある「ファームヤード・キッチン」は、オールデイ・レストランとして人気です。薪オーブンで料理する肉、魚、ローストチキン、ピザなどのカジュアルな料理を提供。もうひとつ、庭園の少し高い場所から、まるで絵葉書のように美しい庭園全体を眺められるガラス張りの「ガーデン・カフェ」があり、170席の広い店内では季節の果物や野菜を中心にシーズナルメニューが楽しめます。

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庭園の中央部に位置するバロック様式のウォールガーデン「パラボラ」の全体像。2.7mの兵が約3000㎡の庭を囲み、300種以上の品種を集めた460本のリンゴの木が植栽。

「ザ・ニュート イン サマセット」は、ゲストへのもてなし方や楽しませ方、伝統に配慮しながら現代や未来に向かう底力の強い英国を感じさせてくれました。もちろん、広大な自然の中で過ごすことの特別感と贅沢な居心地の良さは世界の誰をも虜にするでしょう。その「ザ・ニュート イン サマセット」は、2023年、「世界のベストホテル50」の37位に輝き、また「カルロ・アルベルト・ベストブティックホテル」を受賞した最初のホテルにもなりました。

The Newt in Somerset
Bruton, Somerset, BA7 7NG,United Kingdom
https://thenewtinsomerset.com/
日本での問い合わせ:コンシューマーサービス:03-3403-5355 

Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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