3000ｍの高地にひっそりと佇む美しいロッヂ
「Amankora Gangtey Lodge (アマンコラ・ガンテ・ロッヂ)」ガンテ／ブータン

　密かなブームから、今や世界的に大きなうねりとなりそうな'幸せの国ブータン'の人気。それを察してかどうかわかりませんが、アマンリゾートの創始者の一人で、現CEOであるエイドリアン・ゼッカ氏は、このヒマラヤ山麓の小さな王国ブータンに長いこと通い、国の信頼と許可を得て、すでに５年近くも前に１軒目となるアマンリゾート｢アマンコラ・パロ・ロッヂ｣をオープンしています。

聖地といわれるガンテの集落。奥の大きな屋根がニンマ派寺院「ガンテ・ゴンバ」。

　そして今やブータン国以内に｢アマンコラ｣は５軒。すべて同名であり、土地の名でロッヂを区別しています。ここに紹介するのは標高3000mもの山と谷が取り巻く小村ガンテにオープンした「アマンコラ・ガンテ・ロッヂ」です。

男性用民族衣装のユニフォーム「ゴ」と女性用「キラ」に身を包んだスタッフたち。

　秘境という名がぴったりのガンテには、世界でも希少種となったオグロヅルが、ヒマラヤを越えチベットから村のあるポプジカ渓谷に飛来することで知られ、村の人々はツルを村のシンボルか神様のように大切に思っているのです。この村に電気も通さないのは、谷を明るくしてしまうことでツルに影響があるのでは？　と、村人たちが協議した上での決定であるとのこと。そのためアマンコラも自家発電であり、夜間の外部の照明はなるべく落とすようにしているというのです。

　そんなガンテ・ロッヂに客室は８室のみ。ロビーラウンジからはどこまでも続くポプジカ渓谷の全貌が望め、ポプジカ渓谷を見守るように、小高い山に聳えるチベット仏教最古のニンマ派の寺ガンテ・ゴンバ大寺院が望めます。

ゆったりとしたベッドルーム。ブータン独自の薪ストーブ「ブカリ」も備わる。

「リビングルーム」と呼ぶラウンジから海抜3000ｍ、ポプジカ渓谷を望む。

スパのシングル・トリートメントルーム

ティータイムには欠かせない絶品の手作りチョコレート。

ガンテのニンマ寺はブータン国内最大のニンマ派寺。寺内だけではなく、町にも在家修行僧が100人以上暮らし、2008年11月には王の戴冠式が行われた。

信仰の厚い人々が暮らす聖地ガンテでは静かな滞在が約束され、気持ちがス～っと楽になって肩の力が抜けていくのがわかります。ブータン名物である熱した石を入れて沸かす｢ヨモギ風呂｣に浸かり、冷たく澄んだ空気に包まれる穏やかな滞在は、きっと、忘れ難い印象を心に刻んでくれることでしょう。（K.S）