海のない山岳国に水上ヴィラ。
まるで気分は地中海リゾート!
~Hôtel Palafitte ~
ニューシャテル/スイス

 スイスは海のない国、ヨーロッパの山岳国として、観光国家を支える美しいアルプスや湖で知られた小さな国です。そこに、誰もが考えも付かなかった水上ホテル「ラ・パラフィット」が生まれたのは、2002年4月のことでした。
 ちょうどその時、エコロジーを基本にしたテーマ'ディスポーザブル&リサイクル'をコンセプトに掲げ、「スイスEXPO.02'」が開催されたのです。このヴィラは、万博に参加するエコホテルとしてのデモンストレーションでもあり、その時の宿泊施設としても使われるために造られました。このエキスポはスイス独自のものであり、四半世紀に一度の割合で行われる大掛かりな国内博覧会でした。2002年5月15日~10月20日までの博覧会終了とともに、このホテルも消えて無くなる予定でした。そのために壊しやすく、また再利用ができるよう'ディスポーザブル'な造りだったのです。

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フランスとの国境に近いニューシャテル湖の朝焼け。水上のパヴィリオンからも朝も親にかすむ湖が海のように映る。

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水上パヴィリオンに設置されているバルコニーから、観光船が行き交う朝の爽快な湖の景色。

 こうして生まれたホテルの客室は40室、その内、湖上に張り出した水上パヴィリオンは24棟あり、湖岸の川沿いに湖に面して16棟のパヴィリオンが並んでいます。期間限定の建物とはいえ、贅沢な5ツ星クラスのホテルでした。パヴィリオン内はそれぞれに68㎡もあり、ポータブル付きの2回線電話、PC、カラーコピー機、CD、DVD、プラズマTVなど、ビジネス仕様としても対応するインテリジェントルームの趣です。ジャグジーバス付きの浴室にはシャワーブースもトイレも別に設置された、使い勝手の良い造りです。

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室内は意外と広く落ち着いた印象。

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基本は木造建築のため、広いバスルームの床もフローリング。

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室内に造られたデスクスペース、ワイファイも無料。

 そして14年の時を経た今、万博が終わった時点で壊す運命だったホテルは、今尚人気のホテルとして健在です。この「ホテル・パラフィット」が現存している理由もその人気にありました。万博後の白熱した議論の上、関係者は、「壊すのは忍びない。エキスポ終了後も存続を......」という意向が強く、観光局、市議会を巻き込んだ論議の末、好運にも残されたというのです。滞在者は、観光船が行き交う、海のように美しい湖を見ながら、山岳国でありながらオーシャンリゾートのような趣を楽しんでいます。(K.S)

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木道を通って水上パヴィリオンへ。並んだパヴィリオンの玄関。

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ホテルにはきちんとしたレストランがあり、好天の日には大きなテラスでも食事が可能。


Hôtel Palafitte
Route des Gouttes-d'Or 2, CH-2008 Neuchâtel, Switzerland
Tel:+41-32-723-0202 Fax:+41-32-723-0203
http://www.palafitte.ch
部屋数:40棟(水上、湖畔)
料金:湖畔の川沿いCHF750、水上CHF850、
施設:レストラン、バー、テラス、ミーティングスペース、ロビーラウンジ

photos:Hotel Palafitte

※無断転載禁止

Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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