香港でのプチ・アドベンチャー、タイムスリップしそうな漁村と隠れ家ホテルタイオー・ヘリテージ・ホテル
~ランタオ島/香港~
ホテルへBon Voyage 2013.12.24
香港と言えば雑多なごちゃごちゃ感が妙に魅力的な九龍島と、益々エグゼクティブな印象のコンテンポラリィな街のセントラル、古き良き香港の残る湾仔など、ガイドブックにも紹介されるところが見所として、一般的な観光地とも成っています。
そんな香港ですが、実は、"香港も奥が深い"と思わざるを得ない奥地を取材いたしました。私たちが一般に知るガイドブックに載る香港は、表の顔なのです。香港の奥深くには、まだまだ本当に時の止まったままの、20世紀の初頭がそのままに残る村がありました。小さな漁村なのですが、あの国際的な香港に於いて英語が通じず、外国人を殆ど見かけないローカル中のローカルな場所。しかも、国際空港のあるランタオ島と同じ島内とは思えない奥深い場所に、香港随一の隠れ家ホテルが在りました。

タイオー・ヘリテージ・ホテルの正面
そのホテル名は「タイオー・ヘリテージ・ホテル」(Tai O Heritage Hotel)といい、タイオー漁村のある湾に面した半島の突端、山の中腹にあるホテルです。岬の突端にあるのは理由があり、その建物が以前は「海洋警察」として使われていたからなのです。コロニアルな建物は1902年建てられたもので、その頃の香港では海洋警察の建物としても珍しかったといいます。最初は海洋警察として村の安全やもめ事の整理など村の治安を守っていましたが、実際には1996年から2002年まではその本来の目的である海洋警察として機能していました。2009年には香港保存建築物に指定され、2009年には香港歴史的建造物の指定も受けました。

1階の客室が並ぶコリドール風景
ホテルのオープンは2013年春のことでした。内装をすっかり美しく改装し高級ホテルとしての設備を充実させ、レストランや海沿いから中腹まで上がれるエレベータなどを新設し営業開始。驚くべきは、2013年9月にユネスコから「アジア太平洋文化遺産」として承認されたことです。

レセプション内、奥の鉄格子は現在土産物の展示棚で、かつては留置場

2階のレストランに付随するテラス席

(左)ガラス張りのレストラン内 (右)朝食は一般的な洋食のみ
そのホテルの部屋数はたったの8室。実はこの客室を除いて、すべてが一般開放され博物館のように訪問できることから、週末は何かと観光客とすれ違うことも多いのですが客室だけは当然守られています。他に、レストラン1ヶ所、テラスカフェ、そしてレセプション内にかつて留置所だった2ヶ所があり、それが土産物の展示場所になっています。小さな小さなホテルですが、ローカルの人はユネスコの文化遺産と成ったホテルを訪れ写真を撮ったり...。
またタイオー漁村までは歩いて30分強で行けるので散策を楽しむ人も多いようです。その漁村は昔ながらの姿を残し、ホテルと漁村までの間にある一本道は漁師の家の軒下を歩くような部分も残されていたり水上生活者の家があったりと、なんだかとてもディープな風景です。
(上左)客室内はラグジュアリーな設備で白で統一(上右)クラシカルな客室の鍵(下左)タイオー村からの往復ボートが止まる艀(下右)山の中腹にあるホテルの全景

超近代的な国際空港がある島とは思えない時の止まったようなランタオ島の西の端。その飛行場からもアクセスがかなり大変ですが、勇気と時間とそしてご興味のある方にはおすすめしたいホテルでした。(K.S)
Tai O Heritage Hotel
Address: Shek Tsai Po Street, Tai O,
Lantau Island, Hong Kong
Tel: (852) 2985 8383
Fax: (852) 2985 8881
http://www.taioheritagehotel.com/eng/homepage/Homepage
料金:(月~金)室料/HK$.1600~、朝食付/HK$.1700~、(金~日、祝日)室料/HK$.2050~、朝食付/HK$.2150~
問い合わせ先:直接現地か旅行代理店、又はインターネット。

Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com