世界的なスパホテルとして地位を確立
アーユルヴェーダの聖地で人を癒しています
アナンダ・イン・ザ・ヒマラヤ
~ナレンドラ・ナガール(リシケシュ)/インド~

 インドの北方リシケシュは、ヒンドゥーの聖地として、また何よりもヨガや瞑想、アーユルヴェーダ生誕の地と知れば心躍る人も多いのではないでしょうか。私が初めてこの地を訪れたのは、当時話題となったマハラジャの宮殿ホテルが、世界的なラグジュアリーホテル「マンダリン・オリエンタル」のオペレーションによってオープンされた2000年9月の直後でした。2回目となったのはそれから数年後、ちょうどスパブックの1冊目を書くために一人で取材に訪れました。

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敷地内でゲストが最初に通される美しいパラッツォ「本館」。

 リシケシュの町はガンガーと呼ばれるガンジス川の上流河畔にあり、インドの多くの聖地がそうであるように、河畔で祈りを捧げる人、瞑想にふける修行者たちで溢れています。川の流れが急なために沐浴は見かけませんでした。リシケシュへ行くには、デリーからバスで7時間近くかかる方法もありますがお薦めできません。私は前回同様、列車で4時間前後の旅をし、最寄り駅「ハリドワール」で下車。18kmほど離れたリゾートまではホテル専用車を予約しました。

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客室棟、ここまではカートで送ってくれる。

 ハリドワールからリシケシュの町に入ると、ガンジス川の流れに沿ってアーシュラム(宗教施設の道場のような施設で無料、寄付、有料がある)が多く、驚くほど多くの外国人が長期滞在をしています。肉類、アルコール、タバコも禁止、町全体がヴェジタリアンです。「アナンダ・イン・ザ・ヒマラヤズ」は、リシケシュからホテル専用車で40分ほど。リシケシュが海抜345mに対し、ナレンドラ・ナガールは海抜1000m。山道を登り詰めると、大きく空が開けた場所にマハラジャが現在も使っている宮殿が見えてきます。この附近の住所が「ザ・パレスエステート」といわれるのも、かつてマハラジャが栄華を誇り権力を誇示した地域でもあるからです。

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客室「プレミアムヴァレールーム」から見るガンガー(ガンジス川)。蛇行して光る様子は神秘的。

 「アナンダ」とは「健康と自己の満足」を意味するサンスクリット語。敷地内の宮殿は歴史的建造物として認定されて門の入り口附近に建っています。そこに続く広大な土地には、ホテルとなるために建てられた幾つかの棟(客室棟、スパ棟、レストラン棟、プールなど)がゆったりと点在し、その敷地は約100エーカー。客室は70室にスィート6室、新たに加わったアナンダ・ヴィラが高級感を添えています。敷地からは下界を滔々と流れる聖なるガンガー(ガンジス川)が光り蛇行している様子が見渡せ神秘的です。

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「アナンダ・スィートルーム」。Photos/ Ananda

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新設されたヴィラのプライベートプール。Photos/ Ananda

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パブリックプール、奥に見える建物がスパ棟。

 スパが中心のリゾートであり、コンセプトはインド古来の哲学に基づく「肉体と魂の祝杯」といいます。スパには80を超すトリートメントメニューが用意され、その基本がアーユルヴェーダの考えに基づき、さらに西洋のホリスティックトリートメントを採り入れ、心と体のバランスを整えると謳っています。トリートメントルームは24室、他にプールや水治療の施設、ジムが揃い、庭にはヨガや瞑想用に使われるパヴィリオンもあります。セラピストやインストラクター以外にも、スパドクター、ヒーラー、ウェルビーイングの専門家などが揃い、必要に応じて的確な治療が受けられるのが安心です。

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スパ内に造られた歩行バス、石の上を歩くことで足裏に圧をかけ決行促進。

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アーユルヴェーダ施術の"シロダーラ"に使うベッドとオイルの壺。

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庭園にはベンチが置かれ下を流れる川や遠くの山々を見渡せる。

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朝食はカレーとクレープ。カレーは朝から食べるが辛くもなくさっぱりと実に美味しい。

 食事はアーユルヴェーダ食が主役です。特に3つのボディタイプであるピッタ、ヴァータ、カッファを知り、タイプによってカスタマイズされ、無農薬で新鮮な食材による料理が出されます。基本的にはローファット、ローカロリーのヘルシー食。アーユルヴェーダの奥は限りなく深く、一度や2度の施術で終わらせるのではなく、"継続は力"ということなのです。そのスパリゾートは、すでにマンダリン・オリエンタルの手を離れローカルのオペレーションとなっています。(K.S)


Ananda In The Himalayas
The Palace estate, Narendra Nagar Tehri-Garhwal, Uttaranchal, 249175 India
http://www.anandaspa.com/
部屋数:70室+スィート6室+ヴィラ
料金:季節料金、パッケージ料金有り、要問い合わせ
予約:インターネット、もしくは各旅行代理店。
日本からインドへのトールフリー/TEL:+91-124-4516650
アクセス:近年では夏期のみ飛行機「Jet Airways」「Spice Jet」「Air India」がデリーと Dehradun空港間を運行(45分)、空港からは車で40分。列車ではニューデリーからハリドワール駅まで4時間。駅から車で40分。ニューデリーから車(バス)移動はお薦めしていない。

Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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