神秘のパゴダ群のお膝元
イラワジ河の辺に佇むリゾートホテル
「バガン・ティリピセヤ・サンクチュアリィ・リゾート」バガン/ミャンマー
ホテルへBon Voyage 2009.05.29
私のライフスタイルは旅を抜きにしては考えられません。国内外、いつでもどこでも旅は私を元気にし、心に潤いを与えてくれるのです。そんな旅を終え、家に戻ってからどうしても忘れることができず、すぐにまた飛んで行きたくなるところが時々あります。ミャンマーもそんな国のひとつでした。初めて訪れてから余り時を経ないまま、また呼び戻されるようにニ度目のミャンマーへと旅をしました。
バガンの遺跡地区
初めてのときも,二度目の旅行のときも、リバークルーズに参加しました。それほどに魅力的だったのは、イラワジ河をクルーズしながら世界三大仏教遺跡のひとつ、「バガン仏教遺跡群」を見たときのことで、忘れられない光景が目に焼きついてしまったのです。川辺の原野に広がる無数の'パゴダ群'を目にしたときに、船のデッキに立ち尽くした私は、あんぐりと口を開いたまましばらく呆然としていたような思い出があります。それは、夢か幻か...大袈裟ではなく、鳥肌の立つような神秘の光景だったのです。バガンの遺跡地区に点在するそれらのパゴダや寺院の数は2000基以上とも言われています。確かに、アンコールワット、ボロブドゥールと同様に、仏教遺跡の迫力が漂っていました。
ミャンマー(1989年以降の日本語正式表記「ミャンマー連邦」)は、以前は「ビルマ」と呼ばれていました。今でもヨーロッパの一部ではビルマと呼ばれ表記されることもありますが、ミャンマーが正式名称です。また、かつてのヒット映画「ビルマの竪琴」で舞台となったことでも知られています。現在、ミャンマーの観光にはビザが必要であり、また日本からは直行便も無いためアプローチには乗換えが必要ですが、あのバガンのパゴダ群の光景を思い出すたびに旅心がくすぐられてしまうのです。
(左)リゾートから見るイラワジ河の夕景(右)バガンの遺跡地区
ミャンマーは現在も国交が厳しく制限されていますが、そのミャンマーと古くから信頼関係を築き、投資を重ねてビジネスを成功させている日本企業「株式会社エクセ」の存在があり、日本人がミャンマーを訪れるのに、彼らの存在はどれほどに心強いものかを思い知らされます。それはまず彼らが古都バガンに、個性的で素晴らしいリゾートホテル「バガン・ティリピセア・サンクチュアリィ・リゾート」を所有し、首都ヤンゴンにはミャンマー随一の高さを誇るというオフィスと展望レストランの入ったビルや、デイリーユースのできるレジデンスまで所有していることからも察することができます。リゾートホテルは、クルーズで知られた大河'イラワジ河'を見晴らせる最高のロケーションにあります。日本人滞在者はまだ少ないといいますが、ハイダウェイ・ホテルの愛好家にはたまらない魅力でしょう。

その「バガン・ティリピセア・サンクチュアリィ・リゾート」の歴史は1970年代に始まります。政府が、当時、バガンで唯一のホテルとしてオープンしたものですが、その後、前述の日本企業「株式会社エクセ」の運営となり、1996年7月10日オープン。改装、改築が重ねられて、現在の美しいリゾートホテルとなりました。ホテルはミャンマー国内でも最高級クラスを誇り、ミャンマーの文化伝統を香らせるエキゾチックなリゾートホテルとして、'知る人ぞ知る'というのが現状です。ヨーロッパからのゲストが多いとのことですが。仏教に関心のある人や歴史探訪の趣味を持つトラベラーなら、このロケーションでの滞在は感動的なはずです。バガンもホテルもまるで映画のセットのよう⋯。タイムスリップしたような空間で異国文化をたっぷりと満喫できます。
晴れた日のガーデン・レストラン
ホテルの総客室数は76室。ほかにレストラン、ビジネスセンター、ティリピセヤ・スパ、ショップ、そしてバガン最大の屋外プールなどがあります。建物は客室も含めてチーク材や天然石材が使用され、ラグジュアリィな館内はどこか優しい空気に包まれています。また、3万坪という広大な敷地に手入れの行き届いた緑の庭園が広がり、庭からはもちろん、客室からもとうとうと流れるイラワジ河が一望できるのです。
(左)ホテル内、レセプションエリア(右)敷地内のオーガニック菜園から新鮮野菜がテーブルに並ぶ。
(左)リバースウィートの寝室(右)リバースウィートのバスルーム
(左)プール(右)スパのトリートメント用、ツインルーム
夕景の中のイラワジ河、プールとホテルの庭
ちなみにイラワジ河は'リバークルーズ'で世界的に知られ、クルーズ中は、ドラマチックな川沿いの風景を眺めたり、下船して小さな村や寺院を訪れたり、そこでの子供たちとの交流など異国情緒に溢れています。オリエントエクスプレス社の豪華船「ロード・トゥ・マンダレー」は余りに有名ですが、私が実際に二度のクルーズを経験したクラシカルな木造船「パンダウⅣ号」も豪華で、最高に楽しい思い出となりました。
イラワジ河をクルーズし、バガンに立ち寄り「バガン・ティリピセア・サンクチュアリィ・リゾート」に滞在する、これはミャンマーの最も贅沢な旅コースかもしれません。このパンダウⅣ号は英国'パンダウ・クルーズ社'の小さなクルーズ船ですが、ミャンマーがサイクロンのひどい直撃を受けたとき、英国のNGO医師団がパンダウ号に乗り込み、真っ先にイラワジ河デルタ地帯への救援に向かい活動を開始したといいます。
ミャンマーの現状や国としての情報の少なさから、一般の人々には旅のデスティネーションの選択肢にほとんどない状況にあります。でも、実際に村や町で出会った子供たちの澄んだ眼差しを思い、素晴らしい遺跡群を頭に浮かべると、また今からでも飛んで行きたくなるほどです。旅は、民間文化交流にとどまらず、お金では買えない感動的な思い出を作ってくれます。ミャンマーを旅して得たことは、文化の尊さ、未知の世界を見る興奮、そして人の素朴な優しさ⋯なんだか人の原点を見るような感動でした。(K.S)
Bagan Thiripyitsaya Sanctuary Resort
(バガン・ティリピセヤ・サンクチュアリィ・リゾート)
Bagan Archeological Zone, Old Bagan,
Mandalay Division, Union of Myanmar.
☏(+95-61)60048~60049 FAX(+95-61)60033
http://www.thiripyitsaya-resort.com/
部屋数/76室
料金/US$.85~US$.320,(季節、ルームタイプによって異なる)
日本での連絡先/「バガン・ティリピセヤ・サンクチュアリ・リゾート」
東京事務所(株式会社エクセ内)☏03-3288-2371
****************************
イラワジ河リバークルーズ問い合わせ先/
株式会社オーシャンドリーム ☏042-773-4037
http://www.oceandream.net/

Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com