豪華すぎる?アグリツーリスモ
トスカーナで憧れのヴィラに泊まる
「IL BORRO(イル・ボッロ)」アレッツォ/イタリア

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 ここはフィレンツェから車で約1時間。列車ですと、タクシーも常駐していない田舎の小さな駅で降り、駅で無線タクシーを呼んでホテルまで走ることになります。アレッツォという小さな町の郊外にある「イル・ボッロ」が今回の主役です。

sekine0605_j.jpgアクティビティのひとつ、気球と乗馬

 イル・ボッロ(ボッロ村)はトスカーナ地方に多く残る中世の城砦村のひとつで、丘の上にある城壁で囲まれた小さな村の名前です。1993年、世界的ブランドである'フェラガモ'のファミリィが、廃墟寸前まで朽ち果てていたこの村とその周辺地区を購入し、10年以上の月日をかけて現在の美しい観光地域に再生しました。現在、イル・ボッロの'ボッロ村'には、小規模ながら観光客用コンドミニアム、靴屋、土産屋、ブティック、アートショップ、教会などが復元され、メインとなるヴィラのある地区も含め観光地として人が訪れているのです。

sekine0605_b.jpg手入れされたメイン・ヴィラの中庭

 このイル・ボッロを経営するのはフェラガモ家の息子のひとり、サルバトーレ・フェラガモ2世です。誰もが知る世界的なファッション・ブランドの後継者には、サルバトーレの双子であるもうひとりの息子、ジェームス・フェラガモが継いでいます。

 サルバトーレは、ニューヨーク大学スタンレー校出身という国際派であり、かつて公認会計士だったこともあるといいますが、現在は故郷のトスカーナでこうして観光やワイン生産に労を注ぎ、自ら'田舎暮らし'を愛し、'アグリツーリスモ'を提案し続けているのです。イル・ボッロ全地域には、'ボッロ村'の他に、フェラガモ家の別荘であるヴィラ、観光客向けのファームハウス、広大なワイン生産用のブドウ畑、牧場、森など自然が残り、もちろん、オリジナル・ワインを生産しているワイナリィがあります。

sekine0605_c.jpgイル・ボッロのメイン・ヴィラ

 特別なゲスト用という瀟洒なピンク色のメインの館は1週間単位で泊まれますが、この館を借り切ると料金は数百万円とか。ただし客の多くはフェラガモ家の特別なゲストが多いようです。この館の寝室は10室。バトラー、メイド、専用の料理長がつき、大きなリビングとダイニング、サウナや屋内外プール、ビリヤードなど、豪華な設備の中でいたれりつくせりを考えれば...それほど高くは無い?! のでしょうか。

sekine0605_d.jpgメイン・ヴィラ「BORRO]の館内

sekine0605_e.jpg(左)メイン・ヴィラの寝室のひとつ(右)メイン・ヴィラの室内プール

sekine0605_h.jpg離れのヴィラ「Pin Di Chiocchi」

sekine0605_g.jpg離れのヴィラの共有プール


 とはいえ私などには身分不相応。イル・ボッロでは最低3泊から滞在可能というファームハウス・ヴィラ「Poggio Piano」に泊まりました。ファームハウスの敷地にはヴィラが3棟あります。そのメインとなる2階建てヴィラには上下階2軒づつ4つの客室があり、別のヴィラの部屋数も入れるとファームハウスは計7室。私の泊まった客室は2寝室、2バスルーム、大きなキッチン、ダイニング、巨大なリビングルームという間取りでした。この中に友人と2人だけで広すぎるくらいでした。クラシカルな木造の窓からは、どこまでも続くなだらかな丘陵や、ブドウ畑や糸杉の並木道が見渡せ、絵に描いたようなトスカーナ地方の風景は見ていても飽きません。早朝の霧の中、ブドウ畑の中を散歩したり、すべての窓を開け放し、大きなソファに埋もれてシエスタを満喫したり、美味しいワインとトスカーナ郷土料理を楽しんだり。ゆっくりと流れる時間の中で、今思い出しても夢のような滞在でした。(K.S)

sekine0605_i.jpgヴィラ滞在のゲストが利用するイル・ボッロ村のレストラン

IL BORRO(イル・ボッロ)
Loc Borro 1, 52020 San Giustino,
Arezzo, Italia
☏(+39)055-977053 Fax(+39)055-977055
www.ilborro.com
部屋数/ファームハウス・ヴィラ4棟(各3~4室)
メイン・ヴィラ「The BORRO VILLA」「CGIUCCI ALTA VILLA」
ボッロ村内にアパートメント4室(2名~6名用)
施設/村で1軒のレストラン「オステリア・デル・ボッロ」、ワイナリィ、他、
料金/(1週間)EUR.1350~2800、(1泊)EUR.200~1500(メイン・ヴィラを除く)
*タイプと季節によって大幅に違うため要問い合わせ
連絡は直接現地へ

Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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