'おとぎ'のような懐かしい世界
素朴な田園風景に佇む日本の宿
「おとぎの里 米屋」須賀川温泉/福島県
ホテルへBon Voyage 2009.06.12
福島の須賀川温泉まで行くには、東北新幹線で'郡山'が下車駅となります。そして、郡山が東京から意外と近いことにも驚かされました。駅前から旅館までは、タクシーで10~15分ほど。東京から東北までも、もうあっという間に旅のできる時代になっているのですね。
須賀川温泉は平成4年にオープンした新しい温泉であり、宿も「おとぎの里 米屋」の1軒だけです。温泉は肌に良いとされる'美肌の湯'でもあり、入浴中から肌がすべすべするのを実感できました。懇々と湧き出るお湯は51.6度。その湯量は、「良質温泉とされる目安の30倍」(旅館資料)もの量といいますから、掛け流しの温泉にたっぷりと浸かれるというわけです。
身も心も温まる豊富な湯量、須賀川温泉(左)客室内の温泉風呂(右)快適な足湯
「おとぎの里 米屋」の周辺はブランド米の'稲田米'を生産しているといい、宿の周辺も無農薬米の田んぼが広がり、どこか懐かしさの感じる田園風景に心癒される思いがします。初夏の時期、田んぼの風景は育ち始めた若々しい稲の緑に溢れ、吹く風も清々しく、東北の奥座敷らしい環境でもあります。知る人ぞ知る須賀川温泉ですが、アイデア満載、笑顔のサービスは'客の心をグッと掴んで放さない'、そんな印象でした。
美しいサクラの季節に、女将さんを囲んだスタッフ
2007年春、完全リニューアルを終えた本館「おとぎの丘」はすっかりスタイリッシュな趣に変身していました。木をふんだんに用いた和の現代建築が周辺の自然にとけこんでいます。天然温泉掛け流しの専用露天風呂が設置され、モダンな室内の家具はすべてオリジナルだといいます。一方、民芸品に飾られた'おとぎの小道'で繋がっている別館「おとぎの里」は、全10室。もともとこの宿の原点はこちらの別館にあり、別館の客室は和モダンの本館とは趣が異なり、それぞれおとぎ話がテーマになっています。しっとりと落ち着きのある別館の客室も顧客のリクエストが多いといいます。
それぞれ客室のひとつ
(左)地産池消の旬の素材がテーブルを飾る(右)自慢のワインセラー
館内全体に漂う温かな雰囲気は豪華な料理にも現われていました。それぞれが個室で頂く夕食は、地産池消の旬の素材がずらり。サービスを担当してくれるスタッフの'おとぎ噺'も加わり、美しい彩の料理が次から次へと運ばれてきます。とりわけ、米どころならではの'絶品ご飯'には脱帽です。日本人で良かった!と誰もが思うに違いありません。(K.S)
おとぎの宿 米谷
福島県須賀川市岩淵字笠木168-2
☏ 0248-62-7200 FAX 0248-62-7131
http://www.e-yoneya.com
部屋数/23室
施設/大浴場、足湯、ラウンジ、食事処(本館別館1箇所づつ)、
土産物ショップ、エステルーム、その他、
料金:(2名1室1名料金)1泊2食:おとぎの里21000円~、
おとぎの丘27000円~、(詳細に関しては要問い合わせ)

Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com