緑豊かなナチュラルリゾート
施設内を流れる川も「温泉」です。
「Tabacon Grand Spa Thermal Resort(タバコン・グランド・スパ・サーマル・リゾート)」
アレナル/コスタリカ
ホテルへBon Voyage 2010.07.09
「コスタリカ」という名を聞くと、すぐに思い浮かべるのは'コーヒー'ではないでしょうか? その通り、コーヒー生産は現在この国の主要な産業のひとつとなっています。
でも、コスタリカでもっと重要な産業が「観光」であることをご存じでしょうか?
コスタリカがなぜ10年前から観光で注目され始めたのか。今回は、コスタリカならではの最高級リゾートとコスタリカについてご紹介します。
リゾートのプールサイドから見る活火山
コスタ(豊かな)とリカ(海岸)の意味を持つこの国は、1502年、コロンブスの最後の航海で発見された国とされ、1542年から約300年間スペインの支配下にありました。1848年に共和国として正式に独立したのが1848年。鉄道の発達とともに、バナナやコーヒーで経済が潤ったと言われています。国土面積50900㎡(四国と九州を併合した大きさ)。人口は350万人程度の小さな平和国家で、「世界でたったひとつ、軍隊を持たない平和主義の中立国家」を憲法に謳い、世界初の「永世非武装中立宣言」をした国でもあります。スイスは永世中立国として知られていますが、強力な軍隊を持ち国民男性は皆兵制度が存在します。
コスタリカは、今もって経済的には豊かな先進国ではありませんが、治安は良く、他の中南米のようなテロ行為もありません。また、国土の約3割が大自然に覆われた保護区に指定されているのは凄いです。首都のサンホセに降りていく飛行機の中からは緑の森しか見えてきません。そんなコスタリカの現在の主要産業が、エコツアーを主とする観光産業というのも納得です。環境先進国として生きる道を選んだ平和国家であり、今やブームの「エコツアー」が生まれたのもこのコスタリカだったのです。
(左)熱帯雨林と活火山、大自然の息吹を感じるネイチャーリゾート(右)リゾート内にある川がそのまま温泉になっている
さて、ここで紹介する「タバコン・グランド・スパ・サーマル・リゾート」は、5ツ星の高級リゾート。周辺は熱帯雨林に囲まれ、すぐ近くにはアレナル火山が煙を吐いている、ダイナミックなロケーションにあるリゾートです。それだけではありません、世界でも希な豊かな温泉が湧き出る地域でもあり、「タバコン・ホットスプリングス」(タバコン温泉)は世界的にも知られています。効能は日本の火山性温泉とほぼ変わりませんが、何しろ、敷地内を流れる渓流の水そのものが温泉水なのですから驚きです。ものすごい勢いで流れ出る湯量の元となっているのが「アレナル火山」で、リゾートのすぐ近くにそびえています。1968年に、400年以上の眠りから覚めて大爆発を起こして以来、今も尚噴煙をあげ、時には火の手をあげることもある活火山。当然、この地域はコスタリカでも有名な国立公園となり、自然保護の対象になっています。
(左)敷地の熱帯ジャングルを縫うように流れる温泉のタバコン・リバー(右)タバコン・リバーで温泉を楽しむゲスト
(左)快適な客室内からは熱帯のジャングルが見渡せる(右)客室内のベッドルーム
ジャングル内に造られたバーラウンジ
リゾートではその温泉を利用して大がかりなスパがあり、中でも、コスタリカ初の「テマツカル」(メキシコや一部中米に伝わるアステカ時代の蒸気浴、シャーマンが儀式を司る伝統リチュアル)を提供。シャーマンを介するミステリアスなこのリチュアルでは、シャーマンの祈りと儀式の後、専用のドームに入って蒸気浴。その後はセラピストのマッサージでフィニッシュです。心も体も間違いなく癒されるデトックス効果抜群のトリートメントですが、私は、本場メキシコですでに8回の体験があります。「火と水と薬草の蒸気浴」と言われるテマツカルは、全行程を終えると不思議なほど体が軽くなり、爽快になれるのです。
(左)スパではオリジナルのトリートメントを楽しめる(右)スパ内のバスタブ
(左)オープンエアのスパ・トリートメントルーム(右)スパ内にある蒸気浴用のドーム
リゾートの敷地内では、ハチドリや珍しい蝶が飛び交い、時には幻の鳥と言われる'ケツアル'の種類も目にしました。'火の鳥'のモデルに鳥も何羽も見ることができました。また、アクティビティでタバコン川下りに参加して、木に張り付く様なナマケモノを見つけ、川ではカイマンなども・・・。自然の豊かな環境でのエコツアーは本当にエキサイティング! 自然の驚異を感じながらの旅でした。(K.S)
Tabacon Grand Spa Thermal Resort
タバコン・グランド・スパ・サーマル・リゾート
13km, West of La Fortuna, Arenal.
Alajuela, Costa Rica
tel +506-460-2020 fax +506-460-5724
www.tabacon.com
室料:(1泊2名利用1室料、最低2泊から)
スーペリアルームUS.$300~、デラックスルーム
US.$450~、ハネムーンスィートUS.$508~、
*室料は日替わりなのでその都度要確認
施設:温泉川、12の温泉プール、レストラン、スパ
フィットネスセンター、礁湖、庭園、他、

Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com