エキゾチックなリバークルーズは
インドシナに漂う植民地時代の香り
「La Malguerite(ラ・マルグリット号)」 メコン川クルーズ/ベトナム

sekine100903_a1.jpgメコン川に浮かぶ「ラ・マルグリット号」

 インドシナ地域を流れる大河メコンは、その水源が中国青海省に始まるといいます。チベット自治区から中国、ミャンマー、ラオス、カンボジアを流れ、ベトナムから海へ達するという、延長4023kmもの巨大な河なのです。その河の一部、ベトナムとカンボジアという仏領インドシナをクルーズする豪華船「ラ・マルグリット号」に乗船しました。クルーズ船は、まさに動くホテルのよう・・・。
目が覚めると違う街に着いている、本当に贅沢な旅なのです。今回は、かつて仏映画「ラマン」でも知られたフランス人女流作家、マルグリット・デュラスが少女時代を生きた舞台のクルーズでした。

sekine100903_i.jpg乗船するゲスト。これから数日間は一緒に過ごす旅をする

sekine100903_b.jpg(左)船内の美しい階段(右)アンティークで統一されたキャビン内のインテリア


sekine100903_c.jpg(左)総チーク造りのクラシカルなキャビンは、植民地時代を彷彿とさせる(右)スウィートキャビンのバスルーム

「ラ・マルグリット号」は、2009年秋に巨大なサイクロン被害で破損していましたが、現在は以前よりも豪華に、そしてラグジュアリィな客船としてリニューアルされています。1930年代をイメージして造られたこの船は全長71.6m、客室となるキャビン数は46室あります。チーク材で造られた内装は温かで懐かしい雰囲気が漂い、キャビン内の家具や調度品もアンティークや、当時の面影を残すデザインに統一されています。滞在した上層階のキャビンには可愛らしいバルコニーもありました。

船内には、他に、ブリーフィングや催し物が行われるサイゴン・ラウンジ、レストラン、バー、マッサージルーム、ショップ等の他、もちろん、トップデッキにはプール、ジャクージ、ラウンジがあり、アクティビティに参加しない人でも、のんびりと船で過ごす快適な施設が整っています。

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(上)トップデッキのプール(下)広いテラスが快適なワンベッドルームヴィラの内観

sekine100903_e.jpg(左)毎日違う美味しい料理が出されるレストランとバー(右)夕食の用意に忙しいシェフとスタッフ

 クルーズ中に大きな楽しみとなる食事は、基本的に3食ともに船内のレストランで提供されます。食事のバラエティーとプレゼンテーションの素晴らしさにも驚きましたが、美味しさにも感動しました。私だけではありません、ゲストの誰もが、毎回の食事時間を本当に楽しみにしていた様子がわかりました。種類が豊富な中でも、特にベトナム料理、アジア料理は絶品でした。メコン流域は、ベトナム随一の穀物地帯としても知られ、農産物はもちろん、魚類、瑞々しく豊かなフルーツまで、私達が食事に飽きてしまうことなど1度もありませんでした。思い出にも大きく影響するほど、旅の食事は本当に大切だとつくづく実感させられました。

sekine100903_h.jpg(左)日のあけやらぬ早朝、朝もやにうっすらと見えてくるメコン川の景色(右)毎日、こうしたボートに乗り換えて違う街に上陸する

 行く先々での下船も楽しみでした。コロニアルな街の見学やベトナムの特産物を作る工場、植物園、アートの工房見学、また、歴史的背景を探るウォーキングなどもプランにありましたが、なんと言っても私にとってのハイライトは、船名にも付けられた仏人作家マルグリット・デュラスが生きた少女時代の背景を訪れることでした。教師だった母親の教えていた小学校訪問、マルグリットが貧しさの余り、富豪だった中国人男性の愛人となった日々を想い、今や博物館となって保存されているその愛人の生家を訪ねるなど、発展と共にやや色褪せてしまった歴史の舞台ですが、訪ねた先々で、マルグリットの生きた少女時代を感じることができました。かつてフランスで暮らし、現地の大学で学びながら、辞書を片手にデュラスの小説を読みふけった青春時代を想い出しながら・・・。(K.S)

sekine100903_f.jpg(左)旅のハイライト・デュラスの愛人の実家を訪ねる(右)かつての愛人宅は現在博物館になり、マルグリット・デュラスの写真も飾られている




sekine100903_g.jpg La Malguerite (ラ・マルグリット号)

2009年秋にリニューアルし、グランドオープン。 インドシナのメコン川、トレン川を、ベトナムのホーチミン からカンボジアのシェムリアップまで7泊8日でクルーズ。

仏人作家マルグリット・デュラスに因んだ船名。 世界的ベストセラー「ラマン(愛人)」の舞台、サーデックに寄港。

総キャビン数:46/全長:71.6m
施設:レストラン、ラウンジ・バー、オープンデッキ
(パノラミック・ラウンジ)、プール、マッサージルーム、
ショップ、他

★船旅に関する日本での連絡先
株式会社オーシャンドリーム tel:042-773-4037

Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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