クラシカルでスタイリッシュ!
この独創性こそデザインホテルとしての優等生!
「Widder Hotel(ヴィダー・ホテル)」チューリヒ/スイス

 スイス最大の商業都市として知られるチューリヒは、今やアート、建築、食のジャンルでもスイスを代表する都市となりました。最大級の都市とはいえ、人口は約38万人程度ですから、大都会でありながらゆとりのある静かな町でもあります。

 そのチューリヒにはチューリヒ湖に流れ出るリマト川を挟んで、旧市街と呼ばれる歴史的な地区があります。17世紀から19世紀の建物が今も残るこの旧市街の真ん中に、1995年、9軒の家並みをつなげて一つの高級デザインホテルが生まれました。モダニズムとクラシカルなデザインが融合された、ウルトラ・スタイリッシュな「ヴィダー・ホテル」です。石畳の緩やかな坂道に建つホテルは、表向きには一切そのモダンな様子がわかりません。メインの入り口も小さく、とてもシンプル。旧市街に相応しい慎ましやかなエントランスのあるメイン棟は、16世紀に肉屋を営む一家が住んでいた家が使われました。

sekine101112_e.jpg(左)旧市街に建つホテル・ヴィダーの表玄関(右)それぞれに異なるインテリアの客室。この部屋は、天井の梁や、中世のフレスコ画が壁や天井一面に残り、オリジナルのママに修復されている

  しかしながら、1度館内に足を踏み入れると驚きです!! 上質であるとひと目でわかる床材、家具、調度品、そして布類。また、ガラスや石や木など、館内は主に自然素材が使われているだけに、シャープでメタリックなエレベーターが一際目立っています。このホテルは、家主はもちろんのこと、天井も床も、階数も違う9軒の家並みをすべて使ってホテルにするために、スイスのスター・インテリアデザイナーとして知られるミセスTilla Theusのアイデアをもとに、数え切れない職人、アーティスト、建築家達が構想から完成まで10年がかりで、気の遠くなるような努力の元に創りあげた大変貴重なホテルなのです。ホテル名は、1401年頃に建てられた9軒の家の一つ「Haus Zur Widderzunft」(牡羊座ギルドの家)からとって命名され、「ホテル・ヴィダー(Widder)」となりました。

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(上)ゲストルームに置かれるウェルカムシャンペンとフルーツ(左)デュプレックス・タイプの客室(右)スタイリッシュなバスルーム

sekine101112_i.jpg最上階のスィートルームのサロンスペース

 客室は当然大きさも、デザインも、趣もすべてが異なっています。部屋数の少ないブティックホテルですから、リピーターは、その都度部屋を変えて楽しむ人も、毎回同じ部屋をリクエストする人もいるといいます。客室での共通点と言えば、置かれているものがそれぞれに最高品であることです。例えば、私がかつて4度も滞在した部屋(写真最上右)は、壁面と天井に当時のままのフレスコ画が残り、ベッドカバーは贅沢に革製です。さらにバスアメニティはオリジナル品、オーディオとテレビが Bang & Olfusen、コルビジェの革製チェアがすべての部屋に置かれていることでしょう。

sekine101112_b.jpg朝食ブッフェの様子。スイスらしい豊富なハム、ソーセージ、チーズが並ぶ。
スイスのパンも美味しい

sekine101112_c.jpg(左)これが朝食用のインサイド・レストラン。雨や雪、寒い時期にはここで朝食が提供される(右)テラスにあるレストラン。朝食やお茶、軽食に使われている

 買い物をするにも目抜き通り「バーンホフ通り」に至近距離、周囲にもお洒落なブティックが建ち並び、また湖までも歩いて5~6分で行ける最高の立地にあります。館内にあるレストランは、朝食用パヴィリオン、テラス「アル・フレスコ」、メイン「ヴィダー・レストラン」、隣接の「Turmschtuebli」、カジュアルな「Zur schtund」など、それぞれに丁寧に作られる美味しい料理が提供されています。本物志向のスイスらしい質実剛健さもとても快適です。(K.S)

sekine101112_j.jpgスィートルームの屋上ルーフバルコニー。ここからはチューリヒの街全体、
チューリヒ湖まで見える


Widder Hotel
(ヴィダーホテル)

Rennweg 7, CH-8001 Zurich
Tel: +41-44-224-25-26 Fax :+41-44-224-24-24
www.widderhotel.ch
客室数/ 49室
料金/CHF. 560~935、スィートルームCHF.1.420~2.100、
施設/ レストラン、朝食用パヴィリオン+テラス席、ヴィダー・バー、
ライブラリィ、会議室、ビジネスセンター、他

Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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