南フランスの豊饒な土地に大感激
美しい田舎暮らしに乾杯!
「La risouleto(ラ・リズレット)」エギエール/フランス
ホテルへBon Voyage 2011.07.01
アッという間の1年が過ぎました。私が、昨年夏に贅沢な日々を過ごした静かで小さな町は、プロヴァンス地方の真ん中、BOUCHES-DU- RHONE(ブーシュデュローヌ県)にあるEYGUIERES(エギエール)という小さな町でした。人口7000人程度の静かな町ですが、歴史や文化の探検をするとなかなか奥が深くて面白そうです。そもそも私は、知らないところを訪れることに興味は尽きません。エギエールでお世話になったラ・メゾン・ドットのご家族は大変な日本贔屓であり、初めて会った私を親戚の一員でもあるかのように自然にもてなしてくれ、マダムと娘さんの作る美味しい手料理で快適な日々を過ごすことができました。
(左)シャンブル・ドット「ラ・リズレット」の外観(右)ガーデンの一部
「シャンブル・ドットを始めたいみたいなの」と、このご家族と知り合うきっかけを作ってくれたのは、石川県加賀市在住の日本人女性、ルロワ東出・康江さんという女性でした。ひょんなご縁で知人から紹介があり、彼女のご主人がフランス人でプロヴァンス出身だということでした。康江さんからはさらに、エギエールにあるご主人のご両親の家が、「シャンブル・ドットを本気で始めるつもりらしい。日本人も受け入れたいと願っているので、行ってみてアドバイスを!」ということで、私は幸運な提案までいただきご縁ができたというわけです。ちょうどその春、私の夏のフランス行きが偶然にも決まっていた矢先のことでしたから、それならば・・・.と話が進んで行きました。
オーナー夫妻が旅で集めた世界のお土産を飾った自由な部屋
その時から1年、いよいよ現地エギエールでは準備も整いつつ、3部屋あるゲスト用となる部屋のうち2部屋が整いました。それに伴い、マダムやムッシュの心の準備や受け入れ態勢も万端、すでにヨーロッパ内からのゲストが泊まっているという話です。デビューしたてのとっておきのシャンブル・ドット「ラ・リズレット」のご紹介です。
ステイした部屋、ハイビスカスの間
第二の部屋(わすれな草の間)
かつてフランスのロワール地域の街に何年か住んでいた私。また旅が好きでそのころも南フランスにもよく足を延ばしていましたが、今考えると、「ラ・リズレット」は知らずに、その周辺を旅していたことになります。レ・ボー、アルル、アヴィニヨン、エクサンプロヴァンス、サン・レミ・ド・プロヴァンス、ゴルド、日本でも人気の自然派コスメ'ロキシタン'アトリエのあるマノスク、そしてカマルグ地方のサント・マリー・ド・ラ・メールなど、エギエールの周辺には、車で簡単に行ける観光地や風光明媚な景勝地が点在しています。
かつて、ピーター・メイルという英国人作家が描いた「プロヴァンスの12カ月」という、風土や人情、料理、ワイン、周辺の自然とのかかわりや、プロヴァンスの美しさをみごとに描いた珠玉のエッセイが世界的なヒットとなりました。今もなお、この周辺地域ではその通りのライフスタイルが、ゆったりと、自然のままに残されています。温かな人々も、オープンな気質も、一寸古めいた習慣も、何もかも・・・、彼らは無駄に変えない素晴らしさを慈しんでいるように見えるのです。
(左)階段の隅にいた猫のインテリア(右)ダイニングルームでは家族と一緒に食事
滞在中、マダム・ルロワはほとんど毎日のように、私を車であちこちに連れ出してくれ、プロヴァンスの魅力を約1週間にわたって披露してくれました。またルロワ家の食事の美味しさにも目からウロコでした。美食の国フランスとはいえ、家庭料理でこれだけこだわるなんて、マダムはさすがです。特に、南フランスの郷土料理にこだわってくれたのは本当に嬉しかった! なんとラッキーな出会いであろうと、心から喜んでいます。シャンブル・ドットは基本的に'朝食付きの部屋貸し'が主ですが、ここでは別料金で夕食も可能ですから、是非、美味しい南仏の家庭料理を堪能してはいかがでしょう。
お天気のいい日はベランダで食事
(左)南仏のこの地域の海でしか獲れないという貝やアントレのオンパレード(右)ある日の朝食
エギエールには確かに特別なことなどないのですが、フランス映画「マルセルの夏」で舞台となった小さな町の暮らしのように、そこに落ち着いて休暇を過ごしてみてはいかがでしょう。豊かな自然、豊かな食材、優しい人々、そして光に満ち溢れた大地。人間として本当に大切なことは何だろう・・・時間がゆったりと過ぎゆく中で、虚栄や偽りのない一生を送るための環境の大切さを、身に染みて感じたものです。
小さな村の中心、日曜市の様子
そして、アッという間の別れの日。マダムはパリ行のTGVに乗る私をアヴィニヨンの駅まで送ってくれたのですが、列車が到着したとき、離れがたかったことを今も思い出し、目頭が熱くなります。私にとっても素敵な心の洗濯でした! (K.S)
Monsieur & Madame Richard et Annie LEROI
La risouleto
ラ・リズレット
Chemin des Arènes 13430 EYGUIERES FRANCE
Tel +33-4-90-57-92-83
sites.google.com/a/la-risouleto.org/la-risouleto
E-mail: reservations@la-risouleto.org
部屋数:3部屋(現在は'ハイビスカス''わすれな草'
がオープン、近々にもう1部屋オープン)
160cmのダブルベット、Wi-Fi、テレビを置くことも可能、
シャワーキャビン、洗面台、トイレ
料金:1泊朝食付き室料(税別)1名利用50~60ユーロ
2名利用60~70ユーロ/軽めの夕食1名12ユーロ、2名20ユーロ、
日本語の問い合わせ先:LaRisouletoJapon@gmail.com

Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com