同郷のホテル王へのオマージュに
地域を挙げて提供の「セザール・リッツ・メニュー」
「Hotel Castle(ホテル・キャッスル)」
ブリッツィンゲン・ゴムス谷/スイス

sekine110729_b.jpgホテルの庭から見える雪を抱いた名峰「ヴァイス・ホルン」

 スイスの中南部、ヴァリス州(フランス語ではヴァレー州)は、日本ではなかなかぴんとこない名前かも知れませんが、あの名峰'マッターホルン' (4478m)のある州でもあり、最近では日本でも人気のサース・フェーや、氷河特急が走る州と言えば、誰もが'なるほど'と思うでしょう。3つの鉄道会社を繋いで全線280kmを走る夢の観光列車氷河特急は、ここで紹介するブリッツィンゲン村も通過しているのです。とはいえ、ブリッツィンゲンは小さな山の駅。氷河特急は通過のみですが、ローカル線に乗るのも、単線なので方向を間違えないように注意が必要で、電車が近づきそうになったら、ブザーを押して「乗ります、止まってください!」の合図をしなければなりません。ブザーを押さなければ、ホームで待っていても列車は通過してしまうのです。

sekine110729_a.jpg丘の上に堂々と聳えるスイスらしいホテルの全景

 さて、その駅から急坂を登り詰めること車で数分。歩けば大変な距離ですが、知らせておけばホテルの誰かが必ず迎えに来てくれます。いざホテルに到着すると、夏でも涼しい風が吹き抜け、自然の穏やかな風景が心を和ませてくれます。目の前にはスイス一美しい森に覆われた山々が連なり、ゴムス谷が広がっています。遠くには真っ白に雪を被るヴァイスホルン(2653m)が望めるのも印象的です。

 ホテルは4ツ星ですが、気取らない温かさで人気のファミリーホテルです。ご主人と奥様がオーナーのプライベートな雰囲気が、多くのリピーターに繋がっているようです。また、2つ隣の駅、ニーダーワルトは、世界のホテル王「セザール・リッツ」生誕の土地であり、今も彼の生家が残っています。ゴムス谷一体では、このホテル王へのオマージュを兼ね、ミレニアムにリッツ生誕150年を迎えたのをきっかけに、ゴムス谷にある各ホテルやレストランで、コース料理「セザール・リッツ・メニュー」を提供し始めました。

sekine110729_d.jpgシンプルで清潔な客室は角部屋、アパートメントタイプでサロン、ダイニング、キッチン付き

sekine110729_c.jpg(左)バスルーム(右)サロンスペース、広いベランダも快適


セザール・リッツはいうまでもなく世界の豪華ホテルとして知られた「ホテル・リッツ」の生みの親。彼が若かりし頃、ウェイター時代に気鋭の料理人G・A・エスコフィエと知り合い、ふたりの協力関係により、後々ホテル・リッツやカールトン・ホテルなど、次々と豪華ホテルを開業するに至った経緯があります。その偉大な功績は世界的に知られることとなりますが、ゴムス谷地域では、彼らの功績を称え、敬意を払って忠実に当時の'食のコンセプト'を再現した料理を提供しています。特に、ホテル・キャッスルの「セザール・リッツ・メニュー」は大好評。週末などは、外からもそのメニューを食べに来るゲストでレストランは賑わっています。

sekine110729_e.jpg(左)レストランの一角に作られた「セザール・リッツ」テーブル(右)ディナーメニュー「セザール・リッツ」のこの日のメイン料理

sekine110729_f.jpg(左)クラシカルなムードの快適なレストラン(右)スイスの山岳地方独特の朝食、チーズやハムが豊富

また、最近では娘のスヴェニアさんがセラピストとなり、ハイシーズン中はアーユルヴェーディック・マッサージを提供しています。ドイツやインドネシアで学んだという技術力は確かなものでした。またこのスパ・エリアにはジャグジー、サウナがあり自由に楽しめます。夏はハイキング、マウンテンバイク、有名な峠越えのドライブ、そして冬はスキー、アレッチ氷河を越える山歩きも可能な地域だけあり、ここのご主人グシュベントナー氏は、山のガイド資格、スキー・インストラクター資格、パラグライダーのインストラクター資格も得ていて、アクティビティが一緒に楽しめるというわけです。家族で支える温かなホテルは居心地抜群。美味しい料理にも魅了され、一度泊まった人は誰もが、リピーターになってしまうでしょう。そんな私も、今回で2度目でした。(K.S)

sekine110729_g.jpg(左)トリートメント・ルームでの施術はアーユルベーディック・マッサージ(右)ウェルネスエリアのジャグジーバス

Hotel Castle
ホテル・キャッスル

CH-3989 Blitzingen Switzerland
Tel +41 (0) 27 970 1700 Fax +41 (0) 27 970 1770
www.hotel-castle.ch
部屋数:44アパートメント(キッチン付き)
料金:(朝食付き、2名利用の1名室料)夏/90~215CHF.
冬/100~225CHF. アパートメントととして:夏/450~1125CHF.
冬/640~1600CHF.
*季節によって閉館する時期があるので要問い合わせ
施設:レストラン、ガーデンレストラン、バー、スパ、ジャグジー、
リラクゼーションエリア、会議室、ボールルーム、
連絡先:info@hotel-castle.ch

Kyoko Sekine

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

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