自然と野生動物が相手だからこそ、
環境対応の優れたエコリゾートでした。
「The Elephant Corridor（ジ・エレファント・コルドール）」
シギリヤ／スリランカ

すでに訪れた世界の観光地の中でも、とても印象的で、時々思い出してしまうような忘れられない場所があるものです。スリランカもそんなデスティネーションの一つ。特にユネスコの世界遺産となっているゴールフォートや、シギリヤは忘れられません。首都のコロンボから163kmの位置にあり、古代都市として知られるシギリヤは1982年にユネスコの文化遺産として登録されています。ライオン・ロックと呼ばれる巨岩は余りに有名ですが、ここでご紹介するリゾートホテル「ジ・エレファント・コリドール」からも、その巨岩が遠望できます。周辺がジャングルなだけに、巨大な一つ岩は胸がドキドキするほど迫ってきます。

左）リゾートのメイン棟は2階がレストラン。通路を通してシギリヤの巨岩が望める。（右）世界遺産、シギリヤ・ロック。

エコリゾートとして出発した「ジ・エレファント・コリドール」は、その周辺を熱帯林に囲まれ、目の前には、雨期になると巨大な湖と化す湿地帯が広がっています。ホテルを訪れたときはまだオープンして間もない頃でしたが、サステイナブルな環境ホテル運営を望むホテルの支配人が「可能な限りの自然と人間との共存を望みたい」と語っていました。スリランカの長期内戦は自然破壊をもたらしてしまった･･･と、周辺に残る自然を守りたいと話していたのを覚えています。

敷地内に点在する客室用ヴィラ

（左）ヴィラの表玄関。（右）ヴィラ内部の様子

（左）ベッドルーム。双眼鏡は野生動物や野鳥を見るため。（右）プライベート・プール。

ホテル周辺には野生動物や150種に及ぶ野鳥が生息していると言われ、80万㎡以上もの敷地にヴィラや客室、レストラン棟が点在しています。驚きは、ホテル名にもありますが、運が良ければ、周辺を野生の象が移動するといい、その時には危険で外出はもちろんできませんから、リゾートでは「象予報」を発令し、部屋にこもって象が移動するのを見るわけです。リゾート名の「コリドール」とは'廊下'のような通路を意味しますから、ここでは象の移動の道なのですね。残念ながら、私は素敵なヴィラに居ながらにして象を見ると言う願いは叶いませんでした。

メイン棟の2階にあるガラス張りのレストラン

（左）パブリック・プール。（右）リゾート前に広がる沼間、野生動物の水飲み場

自然の真ん中に立つリゾートですから生態系にも考慮し、建材や塗料なども自然に優しい物や、ケミカルフリーを使用しています。またインテリアも家具調度品も再利用のもの、近辺では電気自動車を利用し、ナチュラリストも常駐しています。レストランではオーガニックフードが出され、その中心となるレストランからは真ん前にライオン・ロックがくっきりと見渡せます。（K.S）