収束が見えない新型コロナウィルス蔓延の影響でおおよそのメゾンは大々的なランウェイショーを控えている昨今。もちろんシャネルのそのひとつ。もっとも、この世界を揺るがすコロナ禍に迅速に対応し、SNSなどを通してより早く、広く、そして楽しくメゾンの新作やムードを伝えるムービーを積極的に発信しているのもパリの老舗ブランド、シャネルである。
このほど発表された2021/22年秋冬 プレタポルテ コレクションでもショーのフィルムの発表に先駆けて、オランダのフォトグラファーデュオ、イネス&ヴィノードが手がけるコラージュのティザームービーをお披露目。インターネット、そしてテクノロジーを駆使し、シャネルの世界観を余すことなく表現し、世界中の人々にリーチする。まさにいまの時代にぴったりのスタイルを確立している。
スキーリゾートと70年代のパリジャンから着想。
コレクションフィルムのショート版。コンプリート版はこちらから。©CHANEL
パリのグラン・パレに大掛かりなセットを配してのショーが常だったシャネル。今季、改修工事中のグランパレに代わって、新たな発表の舞台に選んだのがパリ左岸にある伝説のナイトクラブ「カルテル」だ。ヴェルジニー・ヴィアールは「いくつものサロンや螺旋階段、バーを小さな家のように回遊できるカルテルに私は惹かれました。そこはモデルが自ら服を脱ぎ着でき、一緒にメイクアップを施し、ガールズナイトのように楽しむことができるのです。同時にセンシュアリティと言えます」と語る。
Look 1、032 ©CHANEL
Look 38、56 ©CHANEL
そのコンパクトな空間で発表されたのが、色濃いコントラストが印象的な新作たち。「私が愛して止まないスキーリゾートの雰囲気と、1970年代からいまに続くクールなパリジャンルックから影響を受け、調和させたコレクションです」とヴェルジニー。シャネルらしいツイードのコートには、軽やかなシフォンのドレスをミックス。さらにブラックのコーディネートにストラスのコスチュームジェリーが輝きを添えるルックの足元には、フェイクファーのブーツを合わせてスポーツマインドを香らせる。「私はコントラストを作るのが好きなの。そこでボリュームのある冬のアイテムにはあえてコンパクトな空間を求めました。いまの時代のせいかも知れませんが、より温かみや活気の感じられる何かが欲しかったのです」
フィナーレはヴェルジニー・ヴィアールとモデルたちが穏やかに街を闊歩した。
スペシャルなフィッティングシーンも披露された。撮影はレイラ・スマラによるもの。©CHANEL
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プレイフルなセレブたちのウェイティング映像にも注目。
ショーのティザーフィルムに続き、メゾンのアンバサダーやメゾンに近しいセレブリティが登場し、ランウェイショー開始時間へのカウントダウンを楽しむ動画も発信。
ネイルをしたり電話をしたり、ショー開始を待ちわびるセレブたちのユニークな映像に釘付け! ©CHANEL
ショーフィルムの鑑賞に招待された小松菜奈やGドラゴンなどアジア勢に加え、マーガレット・クアリーやアンジェルなど総勢14人が集結。画面の前でランウェイが始まるのをワクワクしながら待ち望む時間を共有する内容に。さらには、ショーを鑑賞した後、メゾンのアンバサダーであるキャロリーヌ・ドゥ・メグレが聞き役を務め、ゲストたちに感想を語ってもらう動画も製作。今季もSNSが可能にする新しいアイデアをふんだんに取り入れて、メゾンの魅力を存分に発信した。
ブラックピンクのジェニーは、21年春夏 プレタポルテ コレクションのブラックドレスを着用。ウエストのチェーンアクセサリーをポイントに。©CHANEL
アンジェルは、21年春夏 プレタポルテ コレクションのウエアを着用。シルクのトップに合わせたのはキルティングのパンツ。シンプルな着こなしに耳元のアクセサリーが映えて。©CHANEL
キャロリーヌ・ドゥ・メグレは21年春夏 プレタポルテ コレクションで登場したルック19、刺しゅう入りの黒ジャケットとシルクのブラックパンツを着用。ブレスレットやココクラッシュのリングたちで手元にボリュームを。©CHANEL
小松菜奈は20/21年メティエダール コレクションから、モノトーンのカシミアニットをセレクト。繊細な編み模様のニットに、ネックレスやココクラッシュのリングを大胆に合わせて。©CHANEL
ビッグバンのGドラゴンは、21年春夏コレクションのルック21から、ネイビーコットンのジャケットを着用。アイコニックなパールのジュエリーとボーイフレンドウォッチの重ね付けが上級者。©CHANEL
サウンドデザイナーのミシェル・ゴベールはウォッチJ12を着用。ネックレスのように首から掛けたアクセサリーやブローチやピンバッチで遊び心あるスタイリングを披露した。©CHANEL
texte : TOMOKO KAWAKAMI, graphisme du titre : SANKAKUSHA