先頃、パリ・グラン・パレ・エフェメールで開かれたシャネルの2022年春夏のプレタポルテ コレクションのショー。今回は、少人数のゲストを招待してのリアルショーとして開催され、その映像は世界に向けて配信された。
2022年春夏のプレタポルテ コレクションの発表に先立って公開されたティザームービーのひとつはこれ。クラシックムービーのようなモノクロームの世界を撮影したのは、フォトグラファーデュオ、イネス&ヴァンノードだ。カメラを構え写真家を演じるモデル、ヴィヴィアン・ローナーを主役にポエティックな映像に仕上げた。
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ファッションとは、服、モデル、そしてフォトグラファー。
コレクションのショーの舞台となったのは、パリ・エッフェル塔の正面にあるグラン・パレ・エフェメール。
ショーのトップを飾ったのは、ティザー動画でも主役を務めたモデルのヴィヴィアン・ローナー。ランウェイをぐるりと囲んだ大勢のフォトグラファーの視線を受けながら、颯爽と闊歩する姿が印象的だ。
今シーズン、ヴィルジニー・ヴィアールが着想源のひとつに選んだのが“フォトグラファーたちの視点から表現されるシャネル”。「ファッションとは、服、モデル、そしてフォトグラファーですから。かつてカール・ラガーフェルドもシャネルのキャンペーンを自ら撮影していました。そして、今日、私はフォトグラファーたちに呼びかけます。私を支え、インスピレーションを与えてくれる、そんな彼らの視点で表現されるシャネルが大好きなのです」とヴェルジニーは語る。
2022春夏、そのアイデアを具現化するため、グラン・パレ・エフェメールに当時の懐かしさを感じさせるランウェイを再現。夏を呼び込むエレガントでシンプルなスイムスーツやリラックスしたムードのオーバーサイズのジャケット、そしてピンクやモーブのツイードショートドレスなど、メゾンのアイコンをちりばめた。ビッグサイズのショッパーやチェーンをあしらった柔らかなキルティングバッグも見逃せない。フレアヒールのメリージェーンとバックルサンダルは「パイレーツシューズを思わせます。私はいつも、そこはかとなくロマンティックで、ちょっとミステリーを感じるものが好きなのです」
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コレクションの世界観を創り上げた、フォトグラファーデュオ。
今春夏のコレクションで、ヴェルジニーの世界をムービーや写真でヴィジュアル化する大役を担ったのがフォトグラファーデュオ、イネス&ヴァンノードだ。ともにオランダ出身のイネスとヴァンノードは夫婦で、世界中のファッション誌や広告で活躍している。
今回は、ショーの動画撮影も担当する傍ら、客席の最前列でポーズを決めるモデルの姿もモノクロ写真で捉え、アーティな世界を披露してくれた。さらにリリー=ローズ・デップやブラックピンクのジェニー、レベッカ・デイアンなどがカメラを構えるという同じポーズをした動画を含むコレクションイメージの撮影も彼らが行った。
カメラを構える仕草はヴェルジニーにとって特別なもの。彼女は「それは記憶を呼び起こす、魔法のオブジェでありセンシュアルな仕草。1980年代のショーでモデルがランウェイを闊歩し、フラッシュが瞬く音が大好きでした。私はあの高揚感をもう一度、表現したいと思ったのです」と語っている。
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家族のような温かなムードで会場を盛り上げた来場セレブリティ。
会場のグラン・パレ・エフェメールには、リアルなショーを体感しようとシャネルのアンバサダーや親しい友人たちが駆けつけた。その中には、クリステン・スチュワートやカロリーヌ・ド・メグレなどいつもの顔ぶれに加え、ブラックピンクのジェニーの姿も。「シャネルのショーは家族が集まる感じね。イネス&ヴァンノードの撮影は素晴らしかったわ。今日のショーでの彼らも特別でユニークだったわ。今日のショーの舞台のような90年代を彷彿とさせるシャネルのショーやファッションショーが大好き。これまでに見たことのない本当に楽しいショーだったわ」とはリリー=ローズ・デップ。
text: Tomoko Kawakami