2023年春夏プレコレクションのキャンペーンは、モデルのヴィヴィアン・ローナーが主役だ。撮影を手掛けたのは、フォトグラファーで彼女のボーイフレンドであるテオ・ウェナー。2人が現在暮らしているニューヨークの街を舞台にシャネルの新作を纏ったヴィヴィアンが輝きを放つ。
2023年春夏のプレコレクションでシャネルのアーティスティック ティレクター、ヴィルジニー・ヴィアールがミューズに選んだのはスイス人モデルのヴィヴィアン・ローナーだ。強い個性、自立心、そしてクリエイティビティを持つヴィヴィアンは、2020年3月に初めてシャネルのモデルを務めて以来、いまではメゾンのアンバサダーとしても活躍している。
スイス・チューリッヒで育った彼女は、16歳の時にパリでモデルとしてのキャリアをスタート。その後はシャネルのショーなどで脚光を浴び、スターモデルへと急成長する。パリからニューヨークへ活動拠点を移し活躍中のヴィヴィアンが今回、シャネルの2023年春夏プレコレクションの顔として登場した。
そのヴィジュアル撮影を手掛けたのは、ヴィヴィアンのボーイフレンドであるアメリカ人フォトグラファーのテオ・ウェナーだ。あの有名な『ローリング・ストーンズ』誌の創立者の息子としてニューヨークで生まれたテオは、今回の撮影現場として、この眠らない街でヴィヴィアンが実際によく訪れる場所を選んだ。
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「このキャンペーンを撮る前、私たちは何度も何度も長い時間、自分たちの好きな場所について思いを巡らせました。そうすることで、また違う角度から、この街を見ることができました。私たち自身、日々の暮らしに素直に向き合うことができたと思います。それはファンタジーのようでありながら、決して遠い存在ではありません」とヴィヴィアン。ローワーイーストサイドの橋や歩道、それから地元のダイナー、古本屋、インディペンデント系の劇場でポーズをとる彼女をテオの視点で切り取っていく。「ヴィルジニーは、全く異なったダウンタウンのエネルギーを捉えて欲しいと。そのためにさまざまなタイプのニューヨーカーが集う、ワシントンスクエアパークの周辺でも撮影しました」
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2023年春夏プレコレクションは、テーラードの精神とおおらかさのあるアメリカのエッジさでメゾンのアリュールを再解釈している。日頃からオーダーメイドのツーピースを好んで着ているヴィヴィアンの存在もヴィルジニーを刺激したようだ。
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イメージビジュアルの中で、ヴィヴィアンが纏ったデヴィッド・ボウイ風のターコイズのツイードスーツもとても彼女らしいスタイルである。「私はデヴィッド・ボウイが大好き。14歳の時から私のアイドルです。このスーツのアイデアは、肩やスリムなウエストなど、ボウイにインスパイアされたものだと聞きました。私の愛犬、スキッパーと一緒に本屋で撮影しましたが、これらの写真はとても穏やかで魅惑的でありながら、夢の中のようなムードも兼ね備えています。あのスーツに包まれて、遠くにいるような、近くにいるような、そんな気分になりました」。この2023年春夏プレコレクションを通して、ヴィルジニーが再構想し、進化させたガブリエル・シャネルのデザイン哲学である二面性を強く感じた、と話すヴィヴィアン。「ヴィルジニーはクリエイションの中で、フェミニンとマスキュリンの美しいバランスを見出しています。シャネルの本質に忠実でありながらも、目新しく、異なる視点。それはヴィルジニーの世界観であり、彼女を理解し、最高の仕事をする人々が周囲にいることで、すべての体験とストーリーが美しく輝くのです」
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シャネル カスタマーケア
0120-525-519(フリーダイヤル)
text: Tomoko Kawakami, photography: Chanel