現地時間2023年7月4日(火)、シャネルの2023/24年秋冬 オートクチュール コレクションがパリで発表された。テーマは、メゾンにとって原点回帰とも言える「パリジェンヌ」。世界中から注目を集め続けている彼女たちの姿、そしてパリらしさあふれるキーワードをメゾンのコードにふんだんに落とし込み、披露した。
今コレクションで、アーティスティックディレクターのヴィルジニー・ヴィアールが着想源に挙げた「パリジェンヌ」。描き出したのは、繊細でありながらも自由な発想と生き方で人生を謳歌する彼女たちの生き様だ。
会場は、遠くにエッフェル塔を臨む、セーヌ河岸。アイコニックなピンクのグラデーションで彩られた石畳の上をモデルたちがリラックスした様子で歩き、彩っていく。「私たちはパリそのものを象徴するセーヌ川のほとりにいます。通りや色とりどりの石畳から洗練されたものとシンプルなものの両方が求められていると感じられる場所なのです」とヴィルジニー。花カゴを持ったり、カノティエ(カンカン帽)を被ったり、さらには犬を連れたモデルなど、パリジェンヌのライフスタイルを想起させる演出も目を引く。
ツイードで描く、美しく上質なスタイル。
ショーは、メゾンのコードのひとつであるマテリアル、ツイードのコートで幕開け。ロング丈のマスキュリンなオーバーコートを羽織り、颯爽と登場したのはシャネルのアンバサダーで、パリジェンヌらしいスタイルや生き方を体現している、キャロリーヌ・ドゥ・メグレだ。そして、ブラックに白い刺繍が映えるアシンメトリーになったデザインのツイードのセットアップでは、クラシカルなムードとモダニティが交錯する。
匠の技が光る、色とりどりの花たち。
メゾンが誇る、メティエダールの技が存分に発揮されているのもオートクチュールコレクションの見どころ。ラグジュアリーなオーガンザやレースに施されたのは、見事なまでの繊細でいて大胆な刺繍たち。花々や野性の果実、ストロベリーやブラックベリーをモチーフにしたものものから、刺繍が映えるフェミニンなブラウスをピンストライプのメンズライクなパンツと組み合わせ活気あふれる装いまでバリエーション豊かに登場した。
「相反するものや対照的なもの、たとえばさり気なさとエレガンスを組み合わせる遊び心は、強さと繊細さの境界線に立つようなもの。シャネルでは、それをアリュールと呼んでいます」とヴィルジニーは語る。
ドラマティックなピンク&ゴールド。
細やかなディテールの美しさだけでなく、コレクションのアクセントとして目を引いたのがチャーミングなピンクとリュクスなゴールド。シャネルらしいスカートのセットアップにも煌めくゴールドを用いて、大胆にアレンジ。そして、袖部分に愛らしいピンクのフラワープリントを載せたブラウスには、ゴールドのツイードスカートを合わせてミックスマッチを楽しむ。
軽やかなシフォンのドレスに心奪われて。
ショーの終盤には、軽やかでエレガントな印象のシフォンが主役のルックが登場。光沢のある薄いシフォンを重ねたドレスは、ウエストをマークしたゴールドのディテールをプラス。白と黒、コントラストのあるカラーを対比させるようなルックの登場の仕方にも、ヴィルジニーが語った“対照的なものを組み合わせる遊び心”を感じさせる。そして、フィナーレを飾ったのは、アジア人モデルのシン・ヒョンジが纏った純白のマリエ。常に進化を恐れず自分らしい生き方を模索し続ける、パリジェンヌの姿を見事に表現したコレクションとなった。
シャネル カスタマーケア
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text: Tomoko Kawakami, photography: Chanel