5月2日、シャネルが2024-25年クルーズコレクションを発表した。今回、シャネルとヴィルジニー・ヴィアールが発表の場として選んだのは、地中海に面したフランスの港町、マルセイユ。多彩な現代文化の交差点とも言われる地中海に面したこの港町に刺激を受けたアクティブで軽やかなコレクションを堪能したい。
多彩な文化の交差点、マルセイユから発信。
ショー会場に選ばれたのは、20世紀の巨匠建築家のひとりである、ル・コルビュジエが手がけた集合住宅、ユニテ・ダビタシオンの屋上庭園だ。
ショーに先駆け公開されたのは、イギリスの人気写真家、ジェイミー・ホークスワースがマルセイユの街を散策しながら偶然に捉えた写真やロリ・バイーアをモデルに起用した数々のイメージ。その写真から、ヴィルジニー・ヴィアールが想い描いたコレクションへのオマージュを垣間見ることができる。
「太陽、建築、音楽、ダンスーーーマルセイユは、大いなる自由に包まれていると感じます。現地の人々の日常にあるライフスタイル、そして、動きを誘うあらゆるものからインスピレーションを受けました。また、海や風を感じながら、ウェットスーツを取り入れてみたいと思ったのです」とヴィルジニー。
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着想源は、マリンスポーツそして深海への冒険。
ランウェイで目を惹き、多数登場したのはマリンムード。ウエットスーツから想起したダイビングフードには、ひと際目を引くプレススタッズをデコレート。それをアニスグリーンのシャネルらしいツイードジャケットや60年代を彷彿とさせるドレスの襟もとにあしらい、フレッシュなムードに仕上げた。そしてヴィルジニーはさらなるインスピレーション源を求めて深海での冒険へ。小さな魚たち、フィッシュネット、貝がら、甲殻類などの刺繍が、ドレスやスーツジャケット、ウエストコート、ファイユ ブラウス、Tシャツ、コンパクトなベストを際立たせる。
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スポーティで軽やかなムードが印象的。
アクティブなマルセイユの日々から刺激を受けた動きのあるスポーティな要素も見逃せない。そうした空気感を盛り上げるのは、ネオプレン素材のようなジャージやツイード、シークイン付きのジャケットだ。さらにマルセイユの建物のファサードの色や格子柄、幾何学的な形がツイードやジャージー素材のロングドレスやチュニック、そして刺繍が施されたポケットにまで取り入れられている。フードやプレススタッズに加え、今回のコレクションでは、スウェットシャツによくある特徴を再考し、魚がプリントされたシフォン生地を用いて独自のデザインも提案。
フードが付いたチェック柄のスリーブドレスやシースルードレスにあしらわれたカンガルーポケットも印象的。この躍動感あふれるコレクションを完成させるのは、刺繍を施したブレードでトリミングしたランニングバミューダショーツや、ツイードのサイクリングショーツ、そしてオーバーサイズのベースボールジャケットといった軽やかなアイテムたち。
肩が強調された白、または黒と白のピーコートや黒のパテントシューズなど、メンズウエアがヒントになったピースも小気味いいアクセントに。加えて、今季はレイヤリングにも遊び心を忍ばせた。シャツの襟やフレンチカフス、ジャケットは、他のジャケットや洋服の上に重ねたり、中に着たりして、アレンジを楽しんだ。
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夏らしいスイムウエアにも注目したい。
今回のコレクションのキーピースと言える、スイムウエア。ブルマーやキュロット、サイドにスリットが入ったドレスなど、夏らしいムードに包まれたアイテムが並び、ワッフル生地のスカートやペチコート、アイボリーのラダーレースやイギリス刺繍のパッチワークをほどこしたボディスーツも見逃せない!足もとには、タオル地を使ったプラットフォームのビーチサンダルを合わせたスタイルも。
今コレクションに際して、ヴィルジニーはこう語る。「マルセイユでは、ふと気づくと、自分の中の感情に触れています。今回、私はこの都市の持つそうした魅力、新しい息吹、そこに満ちあふれているエネルギーを表現したかったのです。そして、ランウェイショーを発表するにあたり、ユニテ・ダビタシオンほどふさわしい場所はないと思いました」
シャネル カスタマーケア
0120-525-519(フリーダイヤル)
text: Tomoko Kawakami, photography: Chanel