2026年1月27日(パリ、現地時間)、シャネルが2026年春夏オートクチュールコレクションを発表。アーティスティック ディレクターのマチュー・ブレイジーにとって初となるオートクチュールのショーは、おとぎの国のようなセノグラフィーに、鳥や自然のモチーフにサヴォワールフェールと詩的なエモーションとが共鳴する幻想的な世界。2025年10月のデビューコレクション、そしてNYでのメティエダールコレクションに続き、その圧倒的なクリエイティビティでゲストたちをファンタジックなのムードに引き混んでいった。
シャネルの核心に触れる、マチュー・ブレイジー初のオートクチュール。
会場に広がったのは、カラフルで巨大なキノコが並ぶ、メルヘンチックな森の情景。そこで繰り広げられた2026年春夏オートクチュールコレクションのオープニングを飾ったのは、透明感のあるシルクモスリンで仕立てられたスーツだ。身体を締め付けることなく、空気を含みながら揺れるその佇まいは、服が「形」ではなく「感覚」であることを印象づける。


マチューは、「オートクチュールは、シャネルの真髄そのもの――メゾンのエッセンスが散りばめられ、あらゆる表現が昇華されています。デザイナーの想いが込められた作品であると同時に、纏う人自身の物語でもあります。纏うことで真のストーリーを紡ぎ出し、個々の物語や感情的な共鳴がもたらされ、女性たちは自分自身の物語を描くキャンバスを手にするのです」とコメント。この言葉は、このショー全体、彼のクリエーションへの想いを形作る骨格となっている。
詩的な表現で描き出される、美しい鳥たち。

今季、多くのルックたちが想起させるのは、さまざまな美しい鳥たちの姿。しかし、それは決して写実的ではなく、どこまでも詩的な表現で描かれている。漆黒のカラスを思わせるルックでは、テーラリングの精度が際立ち、シャープなカッティングでありながら、ラインは柔らかで、流れるように身体に寄り添う。構築感と軽やかさ、その相反する要素が一着の中で共存しているのが印象的だ。


さらに、刺繍、プリーツ、レイヤリング、織り。le19M(ル ディズヌフエム)の職人たちによる類稀なる高度な手仕事は、羽根そのものを使うことなく、羽ばたきの動きを表現。グレートーンでまとめられた鳥、華やかなピンクを纏ったヘラサギ、すらりとしたサギ、色彩を想起させるオウム。それぞれのルックは、色とフォルムによって異なる個性を宿し、女性の多様な姿を重ね合わせていく。

メゾンを象徴するモチーフも控えめながら健在だ。刺繍で描かれたラブレター、No.5のフレグランスボトル、深紅の口紅。それらは外に誇示されるのではなく、ポケットの中、服の内側、あるいはチェーンの先に静かに吊るされる。アイコンバッグの再解釈も含め、シャネルらしいアイコンは語りすぎないことで、かえって強い存在感を発揮することに。
新生シャネルが示す、オートクチュールの現在地。


このコレクションで描かれる女性像は、非常に流動的。まるで鳥たちのように、自由に生きる女性たちは集い、留まり、そして飛び立っていく。そのプロセスそのものが、ショーの構造とシンクロするのだ。そしてそれは、自由は与えられるものではなく、変容の先にあるものだと、というマチューの想いに繋がっていく。マチューは今回、彼にとって初めてとなるオートクチュールコレクションを通して、シャネルの歴史を声高に引用することなく、その精神を纏うことへの感覚へとモダンに翻訳したとも言えそうだ。


またしても、マチューがやってくれた!そう感じさせるのは、伝統を払拭するのではなく、内側から覚醒させ、静かに更新していく彼らしさが垣間見えたから。その彼の確かな手腕がメゾンの未来を手繰り寄せる。シャネルのサヴォワールフェールと、マチュー・ブレイジーの情熱が交差することで、美しくも多彩な未来が待ち受けているのだ。
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photography:Chanel text: Tomoko Kawakami




