シャネルのキーワード20 雪に包まれたコレクション。
シャネルを紐解く24のキーワード 2019.03.14
今年2月19日、この世を去ったカール・ラガーフェルド。鬼才でモード界の宝であったカールの遺作となった2019/20年秋冬 プレタポルテ コレクションが3月5日、パリ・グランパレで発表された。
Fall-Winter 2019/20 Show Impressions — CHANEL
1分間の黙祷のあと、遥か彼方に雪山を臨む、一面雪に覆われた山間の村を再現したランウェイでショーが幕を開ける。オープニングを飾ったのは、カールと親交があったカーラ・デルヴィーニュ。千鳥格子のオーバーコートにハイウエストのワイドパンツ、さらにはボリュームのあるニットなどもミックスした冒頭のルックは、黒やグレー、白などシックなカラーパレットが主役に。
メゾンのコードであるツイードのジャケットには、ウールのブレードを飾ったり、フレア襟やトロンプルイユのボレロを重ねたりするなど、遊び心が光る。雪山らしいスキールックは、都会的なスタイルに落とし込んだ。賑やかな柄がアクセントのニットに羽織るカラフルなダウンジャケットで、コレクションに彩りをプラスする。
フィナーレ。 photo : OLIVIER SAILLANT
ラストは純白のシリーズ。シャネルのアンバサダーも務める女優のペネロペ・クルスもランウェイに登場し、カールのラストショーに花を添える。このショーのフィナーレで観客に挨拶したカールの後継者、ヴィルジニー・ヴィアール。その彼女の目は、涙で潤んでいた。


カール・ラガーフェルドの声が会場に響き渡った後、ファーストルックを飾ったのはカーラ・デルヴィーニュ。冒頭はホワイト・グレー・ブラックのコーディネートが続く。 © CHANEL


モノトーンやベージュといったシャネルのカラーパレットに、フューシャピンクなど鮮やかな色が加わる。 © CHANEL


シャネルのアンバサダーを務めるペネロペ・クルスもランウェイに登場。
Mot-clé 20 / シャネルのキーワード 20
コスチュームパール costume pearl
“洋服に合うジュエリーを選ぶこと”が大切だと考え、ハイジュエリーだけでなく、コスチュームパールなどを飾ったジュエリーにいち早く、着目したのがガブリエル・シャネルだった。
© CHANEL
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そのDNAはカール・ラガーフェルドにも受け継がれ、いまでもシャネルのコスチュームジュエリーは人気が高い。中でも、コスチュームパールを使ったものは、しばしばコレクションにも登場し、メゾンのアイコンひとつといえる存在に。カールの遺作となった2019/20年秋冬のプレタポルテ コレクションでも、雪山の白銀の世界を歩く美しいルックにコスチュームパールのジュエリーをミックス。都会的で気品のあるエレガントな装いが完成した。
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カールを想い、雪山に集ったセレブリティ。
時代を超え、多くのセレブリティに敬愛されていたカール・ラガーフェルド。彼の最後のコレクションにも多くのセレブリティが駆けつけた。モデルという大仕事も引き受けて、白いバラを一輪、手に持ちランウェイを歩いた女優のペネロペ・クルス。さらには、アナ・ムグラリスやキャロリーヌ・ドゥ・メグレ、マリオン・コディヤール、日本からは小松菜奈の姿も。
「彼と過ごした時間は本当に素晴らしいものだったわ」と女優でシャネルのアンバサダーのクリステン・スチュワート。女優で歌手のジャネール・モネイは「まるで別世界にいるような、素晴らしいショーだった。カールの気配を感じたの。彼はきっと今日、ここにいたわ」と興奮気味に語った。
シャネルのアンバサダーを務めるキャロリーヌ・ドゥ・メグレ。 © CHANEL
シャネルと縁の深い女優マリオン・コティヤールもモノトーンの装いで来場。 © CHANEL
texte : TOMOKO KAWAKAMI, graphisme du titre : SANKAKUSHA