とうとう来た!「魔の2歳児」期をどう乗り越える?

写真・文/CHICO SHIGETA(SHIGETA主宰・ホリスティックビューティーコンサルタント)

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全世界共通の「Terrible 2」(魔の2歳)と呼ばれるこの年齢期。2、3歳を中心に、子どもによっては、4歳くらいまで続くこともありますが、いわゆる「イヤイヤ期」の子どもたちとの接し方について今回は書いてみたいと思います。

絶対的な正解が存在しない「子育て」の中で、特にこのトピックについて最も大切だと思うことは、子どもにどう接するかの前に、「私」のハンドリングだと思います。親にとって結構タフなこの時期、ご主人や、ご両親が近くにいれば、「ひとつのチーム」として子どもと接してひとりで抱えないこと、しっかり手抜き、息抜きをして「余裕がなさすぎる私」という状況に追い込まないこと、そして何より、これは永遠に続かないと知ること。

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「イヤイヤ期」は、人間の成長の中で通る道です。(その度合いも個人差があると思いますが)私が脳科学から行動学を読み解くクラスで学んだ時、先生はこうおっしゃっていました。「ハイハイしていた赤ちゃんが立ち上がって、走り出すようになる。これは、どう意味かわかりますか?重力に逆らうことを体で始めることなんです。この、まさに「逆らう」行為がイヤイヤなんですよ」

まるで落雷にでも打たれたかと思うくらい衝撃でもあり、ものすごく腑に落ちました。これをスイスに学びに行った時、娘たちはちょうど7カ月くらいでした。これを知っているのと知らないとでは、私の「魔の2歳児」の付き合い方には雲泥の差があったと思います。

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まず、私は仮説を立てました。「重力に逆らって頑張って体を支えようとしている」時期なのであれば、娘たちが早く自然に体を支えられるようになればいいんじゃないか?じゃあ筋力を早くしっかりつけてあげたら、イヤイヤ期は短くて済むのかもしれない!と歩くトレーニング、トランポリンや水泳など、もちろん楽しいことが前提ですが、たくさん体を使わせることを積極的に行いました。

特にイヤイヤ期は、体を使わせることで子どもたち自身が「発散」して、無駄にエナジーを家に持ち越さないことも大切なのかなと思います。いまはお住いの場所によっては、まだ公園に行くこともままならないかもしれませんが、早く子どもたちが簡単に思い切り体を使って遊ぶ環境が整うとよいですね。

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そして次に「耳を傾けること」です。2歳、3歳でもほとんどの場合「イヤ」には本人なりの理由があるので、それを聞いてあげるということです。(これを聞くためには私たちに心の余裕が必要なのです。)なぜイヤなのか聞き出して、「あー、わかるよー。そうだよね、行きたくないよねー。でもさ、いまこっちに行けたら、その次にあなたが行きたいところに行こう」と目を見てしっかり聞いて簡潔に提案してあげることで、落ち着くことも多々ありました。(もちろん、単なるイヤだイヤだで大暴れのこともあります。)

子どもの要求は多くの場合瞬間的なので、次の瞬間には自分がイヤイヤしていたことなんて忘れていますから、気をそらすための要素を考える「クリエイティビティ・アンテナ」をはりめぐらせるのが私たちのいちばんの頭のひねりどころかもしれません。

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パリの先輩ママたちにも魔の2歳児への接し方について意見を聞いてみました。子どもたちが泣いたりわめいたりして止まらない時、まるで自分自身が「ダメなママン」であると思ってはいけない。これは、あくまでも「神経系統の成長の過程」であり、一生続くわけじゃない! としっかり認識すること。でも、こちらがヒステリックに叫びそうになった時には……「深呼吸」が大切!と口を揃えて言っていました。

「大丈夫、大丈夫って言いながら思い切り3回呼吸するの」と言っていたパリジェンヌママンの友人は、この2歳児のパッサージュを、シートベルトを締めるような気持ちで臨んだそうです。上の男の子は4歳までイヤイヤ期が続いたそうです。もうひとりの友人は、ふたりの子どもの内、ひとりはヒステリックに叫ぶタイプで、もうひとりは抱っこ魔でとにかくシクシク泣いたそうです。子どもによっても表現の仕方が違うのですね。

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誰しもにとってウェルビーイングが大切なように、ママンにとっても、もちろん同じです。そして子どもが小さい時期はむしろもっと大切かもしれません。でも自分に意識を向けるなんて時間を作るのは至難の業です。

「リラックスをする」とは言わないまでも出来る限り自分だけでなんとかしようとせずに、「手を抜く」、「息を抜く」、周りに手伝ってもらうことを気にせず行ったらよいと思います。

私はひとりで1日中ふたりの娘たちと向き合う時、しかも仕事が忙しくてとても料理も楽しめない時には、1日の3食デリバリーや外食にして、一切食事を作らないこともあります。それよりは子どもと遊ぶ(遊んだら片付けも手伝うわけだし)ことだけを集中することもあります。

その日「食事の支度を一度もしなくていい」という意識があるだけで、全然イライラしない自分を観察してみて気づいたのは、「私たちは次にやるべきことを考えているからイラつく」ということでした。やるべきことをなくしてみたら、意外と気楽に子どもたちと向き合える自分を発見したのです。

そういう心の余裕こそが、私たちのような小さなお子さんを持つママンたちのウェルビーイングの第一歩なのかな?と思います。

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「私はどうして毎日イライラ子どもに接してしまうのかな?」と感じてしまった時は、自分に余裕がない時。ひとりで抱え込んで余裕がないというサインだと思います。パートナーや家族と相談して、子育ての仕切りを見直すこと、家事の手間の効率化や手を抜くこと、シッターさんにお願いするという選択肢も前向きに考える時かもしれません。

日本では、「自分の子どもを人に預けるなんて!」とシッターさんにお願いすることに肯定的ではない女性もまだ少なくないような気もしますが、大切なことは「ママンがハッピー=子どもがハッピー」です。でもこのハッピーは、無理やりママンが自分だけ犠牲になるような面持ちで無理に笑顔を作るような類のものではありません。(←ここは最重要事項です)

パパやパピー(おじいちゃん)、マミー(おばあちゃん)も、ご近所さんも、シッターさんも含めて、自分たちが関わるすべての人々をひとつの小さな社会の単位と考えながら、その社会のレイヤーに揉まれて、人に合わせたコミュニケーション法を子どもが学んで行くことができると思うのです。

エナジーが炸裂する2歳、しかもイヤイヤ期の子どもは、誰にとってもハードコア。(もちろん楽しい時間も満載ですが!)だから大人が順番に遊ぶことで、大人ひとりひとりの疲労感も軽減できますし、それぞれが楽しい時間を共有した記憶が残るのではないでしょうか。

子どもはイライラしているママンに怒られながら時間を過ごすよりは、楽しい人と一緒に遊んでもらったらフレッシュですし、「はぁ、またイライラぶつけちゃったな」と私たちの心のウェルネスにとっても、お互いに前向きではないかと思います。

そして、そうこうしながら必ず終わりがやってくるのが「魔の2歳」。しばらくすれば、それが笑える思い出話に転換するのも、あっという間の出来事のはずです。 

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SHIGETA主宰、ホリスティックビューティーコンサルタント。美しい肌と体を育むためには心身のバランスこそが不可欠と考え、長年フランスおよび日本にてビューティーメソッドを探求。その経験と実績をもとにバイタリティー・コーチング®を考案。現在は、パリのセレブリティやアーティストのためのパーソナルコーチとして活動するほか、大手化粧品会社や美容機器会社のコンサルティング及びブランドスポークスマンとしても活躍中。近著に『「リセットジュース」を始めよう~パリ美人のダイエット』(講談社刊)など、著書多数。ナチュラルでホリスティックなライフスタイルウェブマガジンSpring Stepの編集長も務める。

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