hhstyle.com 石野田さんから、
ヴィトラ新作チェアの紹介を

いつもお世話になっている方がたにも、このコラムに登場していただきたいなあ。
......そう考えていたところ、タイミングよく、取材でお世話になっている方に登場いただけることになりました。家具ショップ、hhsytle.com (エイチエイチスタイルドットコム)の広報、石野田輝旭(てるあき)さんです。

今年春、外苑前の店舗をリニューアルしたhhstyle.com。その際に披露されたデザイナー、Jasper Morrison(ジャスパー・モリソン)の新作家具を、石野田さんが改めて説明くださることに。

hh1 kawakami0815.jpgいつも丁寧な説明をしてくれる石野田さん。この日も爽やか。Photos: Noriko Kawakami

デザイナーの存在が目立ちすぎず、でも、プロの視点が細かな部分に至り徹底されているジャスパーのデザイン。結果、すっと生活になじんで、使いやすいものばかり。さすが、といつも感心してしまいます。

私の仕事用椅子も自宅の椅子もジャスパーのデザイン。気づくと照明器具から電気ケトルまで、周囲にジャスパーのデザインが増えていました。気に入ったものを長く使っていきたい私にとっては、どれもなくなると困ってしまう、大切な品々です。

hh2 kawakami0815.jpgヴィトラの「HAL(ハル)」シリーズ。外苑前、hhstyle.comの展示から。

今回の新作「HAL」もジャスパーらしい誠実なデザイン。イームズのシェルチェアで知られるヴィトラ社より、シェルチェア誕生から60年過ぎて開発された、シェルを活かした椅子のシリーズです。

「今回もよく考えられていて、プラスチック一体成型のシェル部分と脚(ベース)部の組み合わせで、豊富なバリエーションが用意されているんです。リビングルームはもちろん、オフィスにも、カフェやレストランにもなじみますよね」と石野田さん。

hh3 kawakami0815.jpgHAL、ファミリー集合写真です。個性いろいろ。楽しい。Photo © vitra

スタッキング(つみ重ね)できる「HAL TUBE」、木の脚の「HAL WOOD」(こちらは特に私が気になったもの)をはじめ、カンティレバー、バースツール、アームつきなどさまざま。座面も座りやすく、今回もジャスパーがこの椅子の開発に真摯に向き合ったことが伝わってきます。こうしたデザインに会えると本当に嬉しい。

hh4kawakami0815.JPGひっくり返してしまって、ちょっと失礼......! つくり手の才能や細やかな配慮は細部に、ふだんは見えない部分に現われるもの。くつろいで座ったときの姿勢など、さまざまな座り方に心地よい座面の検討など、開発には3年を費やしたそうです。

hh5 kawakami0815.jpg店内で。ジャン・プルーヴェのテーブルや棚、ランプとジャスパーの「HAL」。形も色も、他のデザイナーの品々と静かに調和する。これもジャスパーデザインの大きな魅力。

hh6 kawakami0815.jpg美しいこの椅子。もう1枚の写真も紹介しましょう。Photo © vitra

石野田さんが紹介してくれたもうひとつの椅子は、「ID Chair」。

先月仕事場を移転したばかりの私の目下の課題が、限られた空間ながらも心地よいワークスペースの実現(その後、なかなか進んでいないのですが......)。そのこともあり、「巨匠Antonio Citterio(アントニオ・チッテリオ)、渾身のデザイン」が、どのような考えで実現されたのかは、やはり気になるところ。

hh7 kawakami0815.jpg端正なチェア。Photo © vitra

この「ID Chair」、仕事用チェアだけあって、機能をカスタマイズできるように用意されたパーツが豊富。こちらもフレームやアーム、カバーの色など、組み合わせの楽しさが用意されているのですが、その数が半端ではありません。なんと「約8000通りの組み合わせ」だそうで(!)、その名の通りに「ID」、なのです。

デスクが多数並ぶスペースで、ひとりひとりの椅子が微妙に違う光景もすてきだなあ、と、私の頭のなかでイメージが広がっていきます。

hh8 kawakami0815.jpg解説中の石野田さん(逆光の写真ですみません)。「体重に応じて自動調整するシンクロナイズド・ウエイト・アジャストメント機能を搭載しています。また、前傾からリクライニングまでの動作を支える機能で、からだへの負担を最小限にしているんです」

hh9 kawakami0815.jpgヴィヴィッドな赤やグリーン、イエローの他に淡い水色など色彩も幅広く。シャープな仕事用チェアですが、ステッチはじめ、チッテリオ様のデザインらしくエレガント。

と、店内を案内してもらった最後に石野田さんが見せてくれたのは、このコラムでも以前にとりあげたことのある「Chairless(チェアレス)」特別版。A BATHING APE®とhhstyle.comの特別バージョンが誕生していました。

ちなみにこのチェアレスをデザインしたチリの建築家、アレハンドロ・アラヴェナの展覧会が、建築のギャラリー、ギャラリー間(乃木坂)で10月1日まで開催中です。世界が注目する気鋭建築家。興味のあるかたは、今回の展覧会をどうぞお見逃しなく。

hh10 kawakami0815.jpg両手を自由な状態にして、長時間座ることのできる画期的なプロダクト「チェアレス」。大地が椅子代わり。芝生の上で読書など、アウトドアで過ごす際にも便利。
© NOWHERE Co.,Ltd.All right reserved 1993/2011

hh11 kawakami0815.jpg チェアレスの使い方。(店内でのこの展示コーナーは現在、変わっています)

今回も丁寧な説明をしてくれた石野田さん。家具、インテリアのプロですが、プライベートでは本格的なアウトドア派。週末は「サイクリングやマラソンなど、仲間と一緒に体を動かし、そのあと皆で食事を楽しむのが、定番の過ごし方」とか。ちなみに外苑前のオフィスにも、イタリア製自転車で颯爽と、1時間かけての通勤だそうです。

夏はもう終盤ですが、石野田さんの今年のヴァカンス計画は? と、ふと興味を持ってしまいました。「秋のイベントに向けて新しいカタログを製作中なので、今年は夏休みをとれなさそうです(笑)......でも、週末を利用して山や海に出かけ、リフレッシュしたいと考えています」。チェアレスを活用しているとも教えてくれました。

hhstyle.comでは、11月、新作家具の発表を予定しているそうです。石野田さんから改めて新作の話を聞かせてもらえること、楽しみにしています。

http://www.hhstyle.com/


Noriko Kawakami
ジャーナリスト

デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立。デザイン、アートを中心に取材、執筆を行うほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションも手がける。21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクターとして同館の展覧会企画も。

http://norikokawakami.jp
instagram: @noriko_kawakami

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