hhstyle.com 石野田さんから、
ヴィトラ新作チェアの紹介を
デザイン・ジャーナル 2011.08.15
......そう考えていたところ、タイミングよく、取材でお世話になっている方に登場いただけることになりました。家具ショップ、hhsytle.com (エイチエイチスタイルドットコム)の広報、石野田輝旭(てるあき)さんです。
今年春、外苑前の店舗をリニューアルしたhhstyle.com。その際に披露されたデザイナー、Jasper Morrison(ジャスパー・モリソン)の新作家具を、石野田さんが改めて説明くださることに。
いつも丁寧な説明をしてくれる石野田さん。この日も爽やか。Photos: Noriko Kawakami
私の仕事用椅子も自宅の椅子もジャスパーのデザイン。気づくと照明器具から電気ケトルまで、周囲にジャスパーのデザインが増えていました。気に入ったものを長く使っていきたい私にとっては、どれもなくなると困ってしまう、大切な品々です。
ヴィトラの「HAL(ハル)」シリーズ。外苑前、hhstyle.comの展示から。
「今回もよく考えられていて、プラスチック一体成型のシェル部分と脚(ベース)部の組み合わせで、豊富なバリエーションが用意されているんです。リビングルームはもちろん、オフィスにも、カフェやレストランにもなじみますよね」と石野田さん。
HAL、ファミリー集合写真です。個性いろいろ。楽しい。Photo © vitra
ひっくり返してしまって、ちょっと失礼......! つくり手の才能や細やかな配慮は細部に、ふだんは見えない部分に現われるもの。くつろいで座ったときの姿勢など、さまざまな座り方に心地よい座面の検討など、開発には3年を費やしたそうです。
店内で。ジャン・プルーヴェのテーブルや棚、ランプとジャスパーの「HAL」。形も色も、他のデザイナーの品々と静かに調和する。これもジャスパーデザインの大きな魅力。
美しいこの椅子。もう1枚の写真も紹介しましょう。Photo © vitra
先月仕事場を移転したばかりの私の目下の課題が、限られた空間ながらも心地よいワークスペースの実現(その後、なかなか進んでいないのですが......)。そのこともあり、「巨匠Antonio Citterio(アントニオ・チッテリオ)、渾身のデザイン」が、どのような考えで実現されたのかは、やはり気になるところ。
端正なチェア。Photo © vitra
デスクが多数並ぶスペースで、ひとりひとりの椅子が微妙に違う光景もすてきだなあ、と、私の頭のなかでイメージが広がっていきます。
解説中の石野田さん(逆光の写真ですみません)。「体重に応じて自動調整するシンクロナイズド・ウエイト・アジャストメント機能を搭載しています。また、前傾からリクライニングまでの動作を支える機能で、からだへの負担を最小限にしているんです」
ヴィヴィッドな赤やグリーン、イエローの他に淡い水色など色彩も幅広く。シャープな仕事用チェアですが、ステッチはじめ、チッテリオ様のデザインらしくエレガント。
ちなみにこのチェアレスをデザインしたチリの建築家、アレハンドロ・アラヴェナの展覧会が、建築のギャラリー、ギャラリー間(乃木坂)で10月1日まで開催中です。世界が注目する気鋭建築家。興味のあるかたは、今回の展覧会をどうぞお見逃しなく。
両手を自由な状態にして、長時間座ることのできる画期的なプロダクト「チェアレス」。大地が椅子代わり。芝生の上で読書など、アウトドアで過ごす際にも便利。
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チェアレスの使い方。(店内でのこの展示コーナーは現在、変わっています)
夏はもう終盤ですが、石野田さんの今年のヴァカンス計画は? と、ふと興味を持ってしまいました。「秋のイベントに向けて新しいカタログを製作中なので、今年は夏休みをとれなさそうです(笑)......でも、週末を利用して山や海に出かけ、リフレッシュしたいと考えています」。チェアレスを活用しているとも教えてくれました。
hhstyle.comでは、11月、新作家具の発表を予定しているそうです。石野田さんから改めて新作の話を聞かせてもらえること、楽しみにしています。
http://www.hhstyle.com/

Noriko Kawakami
ジャーナリスト
デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立。デザイン、アートを中心に取材、執筆を行うほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションも手がける。21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクターとして同館の展覧会企画も。
http://norikokawakami.jp
instagram: @noriko_kawakami