レースいろいろ「Love Lace」展と、
「Paper Attic」展。シドニーにて

前回コラムの「東北の底力」展閉幕と同時に移動し、シドニーに滞在しています。
日本のデザインに関するトークなどの仕事で(このコラムが掲載される頃には日本に戻ってしまっているのですが)、市内で開催中の展覧会を紹介しましょう。東北展にひき続きすばらしい手仕事が活かされた表現に、シドニーでも、出会うことができました。

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f2kawakami0809.jpg発電所だった建物を改造したパワーハウス・ミュージアム。機械工学、科学、アート、デザイン......と幅広い分野を網羅しているのが特色。知の宝庫。Photos: Noriko Kawakami

パワーハウス・ミュージアムで先月末に開幕した「Love Lace」。「国際レースアワード」での700に及ぶ応募作品から、受賞者ならびにファイナリスト(20カ国134作家の130作品)を披露する内容で、来年春まで開催中です。

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f4kawakami0809.jpg「LOVE LACE, NOT WAR」......戦いではなくレースを!

展示会場に向かうアプローチからレースの作品が登場します。会場で来場者を迎えるのは、大きなハートマークと力強い文字、「LOVE LACE, NOT WAR」(ラブ・レース、ノット・ウォー)。レースに象徴される穏やかな空気を、改めて実感させられることばです。

ファッションはもちろん、硬い工業素材を緻密に編みあげた作品など、アート、デザイン、クラフトのジャンルをまたがる作品が次々登場。身体や衣服とレース。デザインとレース。空間とレース......各々にレースで覆われるものとの関係が浮かびあがります。

私としては、レースの構造そのものも気になるところ。さらにはレースがその場や空間に描く光と影のコントラスト。美しくてどこかミステリアスで......。「レース」といっても、表現はさまざま。その幅の広さ、私の予想をはるかに超えていました。

f5kawakami0809.JPG会場に進んでいくスロープ部分から建物と一体化するように展示された作品が登場。

f6kawakami0809.JPGエントランスで投影されているプロセス。レースの世界に引き込まれて......。

f7kawakami0809.jpg糸や布地といった柔らかい素材だけでなく、工業素材を編んだレースの表現も。男性アーティスト、デザイナーもふるって力作を応募しています。

その軸となっているのは人々の想像力、そして「手」です。編む、縫う、切る、プリントする......レースの表現方法や加工の仕方、それに素材は実にさまざま。各作家の力作はミュージアムのホームページでも紹介されています。作品の制作、搬入などのプロセス紹介も。楽しみながらレースづくりのあれこれを知ることができる貴重な動画です。

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f9kawakami0809.JPGデジタルテクノロジーによるレース作品も。

f10kawakami0809.jpgファッションに活かされたレースも、もちろんさまざまに。

f11kawakami0809.jpg記憶に残った作品2つ。このミュージアムにはLace Study Centreも設けられています。16世紀後半から現在まで300以上のレースを知る、やはり充実の内容でした。

あわせてもうひとつ、市内で開催中の展示を紹介しましょう。

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市内のobject Gallery(オブジェクト・ギャラリー)を会場とする、Benja Harney(ベンジャ・ハーネイ)の「The Paper Attic」展。「ペーパー・エンジニア」という魅力的な肩書を持つ彼、紙を素材に、夢あふれる世界をつくりあげていました。

この展示を見た翌日、国際交流基金 シドニー日本文化センターでの私のデザイントークを聞きに来てくれた彼に会うことができました。トーク後に会場で少しだけ立ち話。ペーパー・エンジニアとしてできることにいかに情熱を注いでいるのか、語ってくれました。日本の紙にも興味を持っているそう。今後も楽しみですね。

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f15kawakami0809.JPGレコード、アコーディオン、スケート靴、木馬......なつかしいオブジェたちに包まれた部屋。すべて紙なのです。

レースという表現、紙という素材。私たちに身近ですが、つくり手の表現が加わることで可能性は無限に広がっていきます(そして私は、デザイントークで、トラフの「空気の器」をシドニーの皆さんに紹介、といった楽しいやりとりもさせていただき......)。

出会ったデザイナーやアーティストの自由な発想に、今回も新たに気づかされることがいろいろと。「なるほど!」と笑顔で、春のように温かく晴天のシドニーの街を歩いています。さらに考えてみたい点もあり、それはこの夏の私の楽しい自由研究に......!

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「LOVE LACE」 パワーハウス・ミュージアム、2012年4月まで
http://www.powerhousemuseum.com/lovelace/

「The Paper Attic」オブジェクト・ギャラリー(Project Spaceにて)
9月25日まで、http://www.object.com.au
Benja Harneyの作品は http://paperform.wordpress.com/

国際交流基金 シドニー日本文化センター
http://www.jpf.org.au/

Noriko Kawakami
ジャーナリスト

デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立。デザイン、アートを中心に取材、執筆を行うほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションも手がける。21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクターとして同館の展覧会企画も。

http://norikokawakami.jp
instagram: @noriko_kawakami

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