コンテンポラリー デザインで彩られた、オランダ王国大使館 大使公邸のインテリアを拝見。
デザイン・ジャーナル 2014.01.09
青空に包まれ、新年の幕があきました。2014年が皆様にとってすばらしい一年となりますよう!
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
きょうは、昨年後半、とくに気になったインテリアのプロジェクトをご紹介したいと思います。
都内にあるオランダ大使館 大使公邸のインテリアやアートが一新されました。

Photos: Courtesy of the Embassy of the Kingdom of the Netherlands in Tokyo
私も来日したオランダのアーティストやデザイナーの講演会、室内楽の演奏会などで、こちらの大使公邸にうかがうことがあります。落ち着いた家具が置かれ、心地よく、これまでも大好きな空間でしたが、それらがコンテンポラリーデザインやアートに変えられ、新しい空気に包まれるという、これはやはり、とても画期的なプロジェクト!
玄関ホールの右側には書斎があり、他にサロン、ピアノルーム、ダイニングルーム、テラス、サンルームなどがあります。


書斎。カーペットにはショルテン&バーイングスのデザイン、HAYから発売されているプロダクトです。黄色のスツールはクリスティン・メンデルツマのデザインで、手編みによる黄色のカバーが美しい。テーブル上のライトはヘルシンキを拠点とする三宅有洋のデザイン。moooi(モーイ)の品。
マルセル・ワンダース、マーティン・バース、ショルテン&バーイングス、ベルトヤン・ポット、スタジオ・ヨブ......などなど、世界的に活躍するデザイナーのデザインが大集合。どの部屋でも、家具とアートの調和に心が配られていることがわかります。

ピアノルームです。シャンデリアはスタジオ・ヨブの名作「ペーパー・シャンデリア」、椅子は、マーティン・バースの「スモーク・ダイニング・チェア」。いずれもmoooiの品。黒、白、赤の構成にも注目を。



「ゴールデン・ルーム」と名付けられたサロン。こちらも美しい色! シャンデリアはベルトヤン・ポットの「ヘラクレム」(moooi)。壁に並べられた鮮やかな陶器など、インテリアのヒントが随所に。


サンルーム。目にする角度によって様々なデザインが楽しめます。

ソファは、NLホテル・アムステルダムのインテリアも手がけているエドワード・ファン・フリートの「Sushi collection」(Moroso)。
ちなみにこの大使公邸は1928年に完成した建物で、当初はオランダ大使館として用いられていました。左右対象の新古典主義建築。階段部分のステンドグラスやシャンデリアは建設当時にオランダから運ばれたものだとか。また、大使館の庭園は毎年、特別公開も行われ、多くの人々が訪れています。歴史を誇るうえに、一般に紹介される機会も積極的につくられている、ひらかれた大使館。その心がすばらしいなあといつも思っていました。
そして今回、オランダにゆかりのあるクリエイターのデザイン、アートで大使公邸を一新するということも、デザインを愛する国らしい、深い愛情が伝わってくるところです。生活を楽しむための造形、色彩、表現における美意識やユーモア......。そうした様々な魅力が、一新された空間では、結晶のようにキラキラと輝いています。プロジェクトが完成した際、大使館の皆さんがなんとも嬉しそうな笑顔で、作品を一点一点丁寧に説明してくださったことも、強く印象に残りました。


サロンとダイニングルーム。以前からあるシャンデリアと現代デザイナーの家具が調和しています。




サンルーム。1つめのサンルームと同じくレイモンド・プッツの照明器具が天井に。テーブル上の小物など、アートギャラリーを訪ねているような感覚に。
ご紹介できていなかった昨年のすばらしいプロジェクトより、新年のコラム、始めてみました。
2014年も引き続き「これは!」と思ったプロジェクトを掲載していきたいと思います。今年の出会い、楽しみです。

Noriko Kawakami
ジャーナリスト
デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立。デザイン、アートを中心に取材、執筆を行うほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションも手がける。21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクターとして同館の展覧会企画も。
http://norikokawakami.jp
instagram: @noriko_kawakami