大阪での週末。デザイナーの
柳原照弘さん、高橋理子さんと
デザイン・ジャーナル 2010.09.02
トークイベントの仕事で、久しぶりの大阪滞在。楽しく仕事をさせていただいた翌日は、大阪を拠点として世界的に活躍するデザイナーの柳原照弘さんに、彼が空間デザインを手がけた和菓子の店、「日月餅(にちげつもち)新町店」を案内してもらいました。
柳原さんは、雑誌『フィガロ』の今年の流行予測で紹介したデザイナーのひとりです。活動のひとつ、彼がクリエイティブディレクションを手がけたカリモクの家具を、「FIGARO.jp」のNEWSでも見ることができます。
「日月餅」の空間。商品が並ぶ長いカウンターの一角は、店内で和菓子をいただけるテーブルに。その奥がギャラリースペースとなり、こちらも来店者の楽しみとなっています。Photo: Noriko Kawakami
空間をきちんとお伝えしたくて、フォトグラファー、太田拓実さんが撮った竣工時の写真を2枚、お借りしました。モルタルや黒皮鉄板が用いられるなど、こだわった空間。それでいて、さりげなく心地よい空気。デザイナーの才能あってこその見事な バランス。
Photo: Takumi Ota
お店で和菓子をいただけます。盆や器のひとつひとつが美しくて、その点でも感激。ふたつきの箱は「FIGARO.jp」にも登場いただいた倉本 仁さんのデザイン。彼も『フィガロ』今年の流行予測で紹介したひとり。Photo: Noriko Kawakami(以下も)
桃がそのまま入っていた桃大福! 他の和菓子も美しくて、おいしくて。器に盛っていただいたのは、くるみ餅。夏はくるみ餅にかき氷をまぶすという粋な食べ方もあるそう。
今後ますます期待したい柳原さん。その彼が空間や家具、パッケージをデザインし、器のディレクションも行っている「日月餅新町店」で、「デザイン・ジャーナル」に登場いただいたことのあるアーティスト、高橋理子さんの手がけるHIROCOLEDGE(ヒロコレッジ)の作品展示がされていたのでした。
嬉しいことに、この日は高橋理子さんのパートナー、中村裕介さんも一緒でした。二人とも、トークイベントを聞きに、わざわざ東京からかけつけてくれたのです......! こうして元気で楽しいメンバーで大阪大集合。日月餅の和菓子を味わいながらの近況報告会に。
円と直線で構成された現代的な柄がHIROCOLEDGEのデザイン。てぬぐいの販売もされています。日月餅での展示は9月末まで。
高橋理子さんと柳原照弘さん。
まずは柳原さんの近況を。10月1日〜3日と開催される「DESIGNEAST 01」のディレクターのひとり。その準備で今は大忙しです。DESIGNEAST(デザイン イースト)とは、若手デザイナーらが発起人となってスタートした、大阪発のデザインプロジェクト。トークやワークショップ、デザインラウンジ等のプログラムが予定されています。
「今回は『ソーシャル・サステナビリティ』がテーマ」と柳原さん。彼と同世代のデザイナーが大勢参加することにも注目を。海外からもデザイナーが来日し、この「デザイン・ジャーナル」で紹介したエンツォ・マーリ、ガブリエレ・ペッツィーニや、ピーター・マリゴールドの名前を参加デザイナー名のなかに発見!
リンクが多くなってしまう今回の記事ですが、マーリ先生&ガブリエレを紹介した記事はこちらで、ピーターはこちらでご覧ください。
そしてこの時期、高橋理子さんも大阪での新たな展示を予定しているとのこと......! 嬉しい情報を次々、いただきました。期間は10月1日から11日まで。「GUILD GALLERY 39(原口陶磁苑)」を会場として、有田焼の窯元、原口陶磁苑との協業で生み出される新作テーブルウェアが展示、販売される予定です。会場の情報は、こちらのウェブサイトにもうすぐアップされるそう。
大阪にある柳原さんのスタジオ、ISOLATION UNIT/にて。
この日、柳原さんの事務所にも訪問しました。
ペンキで壁が塗られているその印象か、広々とした空間だからか、海外のデザインスタジオを訪ねた気分になってくるのは不思議。公園に面した一角にはキッチンコーナーがつくられ、ここも気持ちのよいつくり。食事の時間にはいつも柳原さんやスタッフが料理の腕をふるっているのだとか。そんなワークスタイルも海外のデザインスタジオのようです。
スタジオ内のキッチンコーナー。おすすめオリーブオイルを指さす柳原さん。
『フィガロ』でも紹介した「PASTA JEWELY」。パスタに金属を施したネックレス。
土曜日の朝でしたが、スタッフがコンピュータ前で作業に集中していた柳原さんのスタジオ。スタジオにはプロダクトの試作品や空間リノベーションを行っている住宅などの模型もが置かれ、多数のプロジェクトが進行している様子が伝わってきます。(高橋理子さんとの、海外でのプロジェクトも進んでいるようです。乞うご期待!)
キッチン前に大集合。一番右がヒロコレッジの中村さん。エキサイトイズム編集部の木熊さん(左)やマックスレイの谷田さんも。
スタジオはインターナショナル。スタッフのデヴィッドは5カ国語を操るのだとか。
デザインを大切に考え、情熱を持って活動を続けている、若いけれどもしっかりしているクリエイターたち。たとえ短時間でも、雑談をまじえて皆の考えを聞かせてもらえる時間はなんとも楽しい。さらに元気になって東京に戻りました。
皆さんの「秋」の活動は以下でチェックを!
柳原照弘さん
http://teruhiroyanagihara.jp/
高橋理子さん/HIROCOLEDGE
http://www.hirocoledge.com
日月餅新町店
http://nichigetsumochi.jp/
「DESIGNEAST 01」
http://www.designeast.jp/

Noriko Kawakami
ジャーナリスト
デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立。デザイン、アートを中心に取材、執筆を行うほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションも手がける。21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクターとして同館の展覧会企画も。
http://norikokawakami.jp
instagram: @noriko_kawakami