トラフ「空気の器」の本。
付録は「ミナ ペルホネン × 空気の器」

静かに、ゆるやかに、季節が動いていることを実感します。家から近くの駅まで歩きながら、歩道に落ちる街路樹の影を(ブルーノ・ムナーリの絵を思いうかべつつ)目にするのが大好きなのですが、影もゆっくり「春」に近づいている。ちょっと気が早いかな?

本日とりあげるのは、刻々と変化する季節の空気や光と楽しみたい、「空気の器」。トラフ建築設計事務所の鈴野浩一さんと禿(かむろ)真哉さんのデザイン。

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2_kawa110126.jpgハーマンミラーストア( http://www.hermanmiller.co.jp/storetokyo/ )での「空気の器」展示。「空気の器」は3枚1セットで¥1260(かみの工作所)。公園のような場をつくりたかった、というトラフの意欲作、ハーマンミラーストアの空間もぜひ。場所は、丸の内MY PLAZA。丸の内ブリックスクエアや三菱一号館美術館も近くです。Photos: TORAFU ARCHITECTS

先日、昨年12月に丸の内にオープンしたハーマンミラーストアのデザインについて、鈴野さんと禿さんに話をうかがっていました。ショールームではなく直営ショップとしては世界初となるハーマンミラーストア。その一角で展示されていたのが「空気の器」です。

ビジュアルブック『空気の器の本』(美術出版社)の発行を機とする特別ディスプレイ。私も改めて、「空気の器」の楽しさ、鮮やかさを堪能しました。

「空気の器」は今から1年前、「かみの工作所」の企画で6組の建築家やデザイナーが参加した「トクショクシコウ展」(AXISギャラリー)で披露されたもの。トラフの二人、建築家らしく2次元(平面)から3次元(立体)へと変化する造形を、それも薄い一枚の紙を用いながら、自立する美しい立体造形を見せてくれたのでした。

3_kawa110126.jpg『空気の器の本』¥1365。美術出版社、21×21cm、32ページ。監修:かみの工作所、デザイン:山野英之+関田浩平(TAKAIYAMA inc.)。デザイナーがつくる紙のデザイン雑貨を紹介する付録つき書籍「design × paper」シリーズの第1弾。次も楽しみ。Photos: Courtesy of Bijutsu Shuppan-Sha Co., Ltd.

素材は円形の薄い紙。施されている細かな切り込みは、なんと0.9mm間隔だとか。それを広げ、かたちを整えていくことで器が生まれます。かたちも使い方も自由自在。

キャンディの入れものなどの器として使ったり、ワインボトルなどを彩るラッピングとしても。表と裏が違う色や柄になっているものは、紙を広げる方向で見え方が変わります。光源や耐熱性キャンドルケースと組み合わせれば、影が周囲に広がり、本当に美しい。
「ワークショップをすると必ず頭にかぶる人がいるんです(笑)」と鈴野さんと禿さん。なるほど、この軽さ、かぶってみたくもなりますね......!

本のなかには「空気の器」が600個も宙に舞い、幻想的だった昨年秋のスパイラルでのインスタレーションの写真も(そのワークショップの記録に、ありました、子どもが「空気の器」を頭にかぶっている写真!)。「みんなの使い方」も楽しい。デザインに興味がある方なら、もちろん紆余曲折あったプロダクト開発ストーリーをお見逃しなく。

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5_kawa110126.jpg『空気の器の本』より。角度によって両面の柄がミックスして不思議なグラデーションに。

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7_kawa110126.jpg『空気の器の本』より。器になることで張りや強さを備えるのもおもしろい。

そして、嬉しいことにこの本は特別付録つき。「ミナ ペルホネン × 空気の器」が1点、添えられているのです。皆川 明さんによるminä perphonenのファブリックから「ソーダウォーター」が一面に、もう一面は、皆川さんの描きおろしドローイング。

トラフは以前からminä perphonenの企画展デザインやショップなどを手がけていて、そうした関係から生まれた、文字通りの特別バージョン!

私もお世話になっている美術出版社のエディター、宮後優子さんから興味深い話を聞きました。「ミナ ペルホネン版では、5種類の紙 × 表の柄9種類 × 裏の柄2種類の、合計90種の試作をつくって検討しました。最終的な本のかたちになるまで、トラフやグラフィックデザイナーの山野英之さんたちと、製本段階での試行錯誤も繰り返しています」

トラフ、皆川さん、山野さん、かみの工作所、出版社、と、関わったひとたちの情熱。それでいて、誕生した品のなんともいえない軽やかさと、無限の可能性。

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9_kawa110126.jpg特別付録「ミナ ペルホネン × 空気の器」。紙の面によって見える柄が違います。視覚的な繊細さはもちろん、手に乗せたときの「ふわっ」とした軽さにもびっくり。Photos: Bijutsu Shuppan-Sha Co., Ltd., TORAFU ARCHITECTS

使う人のアイデアでさまざまな姿を見せてくれる『空気の器』。「ハーマンミラーストアをはじめとする空間デザインや建築でも、フレキシブルで、変化できる場をつくりたい」と鈴野さんと禿さんが口にしていたことを思いだしました。

自由で、おしきせでなく、心地よく変化を遂げていき、軽やかで。トラフのデザインの最大の魅力が、「空気の器」とこのビジュルアルブックからも、確かに伝わってきます。

10_kawa110126.jpg見るほどにトラフの建築のなかにいる気分 にもなる「空気の器」。わが家ではまず窓辺にひとつ。器を通して季節の 移り変わりをさらに楽しむことにします! Photo: Noriko Kawakami


トラフ建築設計事務所
http://www.torafu.com

「空気の器」、『空気の器の本』(取扱店舗情報も)
かみの工作所
http://www.kaminokousakujo.jp

Noriko Kawakami
ジャーナリスト

デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立。デザイン、アートを中心に取材、執筆を行うほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションも手がける。21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクターとして同館の展覧会企画も。

http://norikokawakami.jp
instagram: @noriko_kawakami

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