伊勢谷友介とREBIRTH PROJECT。
展覧会作品と注目プロジェクト

前回、Arik Levy(アリック・レヴィ)の記事でも触れた展覧会が先週、11月16日に開幕しました。三宅一生さんディレクションの「REALITY LAB--再生・再創造」展。展覧会のための作品から、今回は、伊勢谷友介さん率いるREBIRTH PROJECT(リバース・プロジェクト)の力作を紹介しましょう。

R1_kawa101126.jpgディレクション・アニメーションデザイン: 藤元 明、フレームデザイン: Leif.designpark、フレーム制作:渡邊義徳、Photo: Masaya Yoshimura, Courtesy of 21_21 DESIGN SIGHT(次写真も)

R2_kawa101126.jpg手前の作品は螺旋で構成された螺旋が動き続ける『MAIN STREAM』。「私たちの営みは、同じところに戻るcycleというよりspiralと表現すべき」との解説が。

まずはリバース・プロジェクトについて、彼らのプロフィールから抜き出します。「人類が地球に生き残るためのプロジェクト」。「デザイン・ジャーナル」でも以前、「No man's land」展の記事で彼らの作品に触れたことがあります。

今回、展覧会のテーマをふまえ、伊勢谷さん始めアートディレクターの藤元 明さんが中心となって制作してくれた作品は「新しいリサイクルマーク」。循環を示す矢印マークを私たちは日々、それも素材別に様々なバリエーションで目にしていますが、展覧会会場で紹介しているマーク、見慣れた「矢印マーク」とはだいぶ違っています。

「マークについて研究しています。リサイクルマークの紀源は、1969年にアメリカで学生対象に行われたデザインコンペなんです。その後すでに社会に定着しているリサイクルマークを、『BEYOND RECYCLE(ビヨンド・リサイクル)』の視点で、リサイクルという考え方そのものからとらえ直してみたいと考えました」と藤元さん。

R3_kawa101126.JPG『CYCLES』。「1650万色の輪が若干の途切れを見せながら、交わりながら回り続ける。地球の上で人間が生活している範囲はほんの表層でしかない......線の細さにはそんな思いを込めた」。©REBIRTH PROJECT

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作品はなんとムーヴィング・ロゴ!5種類のロゴ(マーク)が循環し、始まりも終わりもなく動き続けます。実はこの展覧会の打ち合わせを彼らと行ったのは今年夏のことだったのですが、その後、集中して仕上げてくれたすばらしい作品です。フレームもこのための新作、廃業になってしまった門前仲町の材木屋さんからゆずりうけた木材を用いたそう。

11月23日には21_21 DESIGN SIGHT館内で、伊勢谷さん、藤元さん他リバース・プロジェクトの皆さんによるトークイベントを行いました。「衣食住」に関わる活動を引き続き多数展開しているリバース・プロジェクト。その活動についてたっぷり語っていただいたのです。

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2_101210.jpgトークイベントの様子。右が伊勢谷友介さん、左が藤元 明さん。ものすごい熱
気に包まれ、会場からの質問に伊勢谷さんと藤元さんが答えるセッションも30分
以上! イベントレポートはこちらで読んでいただけます。Photos: Courtesy of
21_21 DESIGN SIGHT

米づくりのプロジェクトも行い(魚沼産コシヒカリRICE475)、Leeのデニムのプロジェクト(レデザインデニム)を始め、「衣」のプロジェクトも複数進行中。その数に私も改めて驚かされました。すごい情熱、それにすごい行動力!

「REALITY LAB----再生・再創造」展には「ものをつくる活動やデザインとは、情熱を持って自発的に考え、行動し、リアライズしていくこと」という三宅さんの熱いメッセージが込められています。そして、まさに「行動」重視のリバース・プロジェクト、私も引き続き注目したい活動です。

R4_kawa101126.jpgLeeBIRTH PROJECT。デッドストックの品に新たな価値を与える、というプロジェクト。Leeのデニムにグラフィックが施されています。岡山のレーザー抜染技術が生かされているという点も興味深く。詳細はこちらで。Photo: Courtesy of REBIRTH PROJECT(次写真も)

R5_kawa101126.jpgプロダクト開発も。生分解プラスチックを素材に用いた、土に還るポット。その名も「リバースポッド」。21_21館内ショップでも販売中です。¥1365。

「12月には新宿のコニカミノルタプラザで『Trans-i+(トランスイット)』展を開催します」と伊勢谷さん。こちらも「人類が地球に生き残るために」、「ARTは必要」と。「『再生』の解釈を押し広げる実験の場としての展示」です。

雑誌『Figaro Japon』の連載小説「私の中の男の子」(文:山崎ナオコーラ)の写真を手がけている石川直樹さん(彼もすばらしい才能の持ち主)とリバース・プロジェクトの共作も出展予定です。あわせて注目を!

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さしかえ2.jpg会場風景から。 Photos: Noriko Kawakami


REBIRTH PROJECT
http://rebirth-project.jp/

「Trans-i+ by REBIRTH PROJECT」展
12月4日(土)〜12月20日(月)
http://konicaminolta.jp/plaza/

「REALITY LAB----再生・再創造」展
12月26日(日)まで
http://www.2121designsight.jp/

Noriko Kawakami
ジャーナリスト

デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立。デザイン、アートを中心に取材、執筆を行うほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションも手がける。21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクターとして同館の展覧会企画も。

http://norikokawakami.jp
instagram: @noriko_kawakami

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