サステナビリティ視点でも愛を注げる工芸品。

以前、コスメキッチンの展示会で、木製の花瓶というか装飾オブジェを見かけました。そのブースは、先日、東京・表参道にショップをオープンしたばかりのDAMDAM。ブランドの共同オーナーのテリアンさんは、日本でずっとファッションのPRや輸入に関わるお仕事をなさっているハンサムなフランス人男性なのですが、数年前、満を持して美容ブランドDAMDAMを立ち上げました。日本各地の工芸にも興味を持ち、意欲的に木製のオブジェなどを発掘しているテリアンさんの審美眼にかなったその花瓶(のようなもの)が私の心にずっと残っていて、「木の自然な風合いを大切にして、少しワイルドだけれども端正な"何か"をいつか必ず買おう」と思っていまして......やっと出合えて、即購入したのがこちらです。

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価格は5万円弱。サイズによって2万円代から6万円代後半まで、さまざまです。

作家は臼田健二さん。北海道の下川町におそらくアトリエがあるのだと思います。その周辺で育った木のみを使って、森の息遣いを伝えたいとうつわを作られています。

こちらと出合ったのは、青山のスパイラスビル2階にあるスパイラルマーケットにて。橅、楓、胡桃など多彩な素材がありました。サイズだけでなく素材によっても価格は異なってきます。

スパイラルマーケットで時間をかけて、いろんな素材、サイズ感、模様として出てくる木目、横から、上から、いろんな角度から確認して、こちらを選びました。

何を入れるか? なんでもいいのです。利便性だけ考えればチャームやキーホルダーでも。うつわinうつわにしてガラスを置き、花を生けることもできます。何も入れずにただただ飾るだけ。それも素敵です。

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角度によって違う表情が見つかる、これも自然がくれた贈りものです。

真上から見ると、年輪が綺麗で時の経過を感じられます。縁の焼き色も手作りの風合いにあふれています。ただし、表面はとても滑らかな手触りです。よく磨かれ、クルミオイルで仕上げられていて、しっとりしています。

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最近こんなことを考えています。自分がこの世からいなくなる時、すべてのものが誰か適切な人に譲られたり、再利用されたり、自然に還ったりするといいな、と。この木工作品は、私が居る間は私の目を楽しませ、触れた感覚で心地よくさせてくれる大切なオブジェですが、私が不在になる時、他者の手に渡らなかったとしても、すっと土に還ってくれるものです。

フィガロジャポンは最新号9月号でもアールドヴィーヴルを特集していますが、そんな目線で見ても合格です。そして、究極的にサステイナブルな工芸オブジェと思い、愛でています。

フィガロエディター KIYOMI MORITA

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