ピュアな眼差しの裏に秘められた、確固たる意志と飽くなき向上心。俳優・木戸大聖。Netflixシリーズ「First Love 初恋」に出演し、一躍国内外から注目を集めることになった彼を、この先どんな旅路が待っているのだろうか。
ヴィンテージ感あふれるジャケットとアクティブなナイロンショーツによるコントラストが、男性と少年
双方の表情をうかがわせる木戸のパーソナリティと重なる。ジャケット¥283,800、シャツ¥232,100、ショートパンツ¥360,800/ 以上メゾン マルジェラ(マルジェラ ジャパン クライアントサービス) ソックス、シューズ/ともにスタイリスト私物
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Bon Ton(=社交界)をテーマにした、柔らかなホワイトのツイード素材を使ったノーカラージャケット&パンツのセットアップ。ブラックリボンのパイピングと錨モチーフが刻印されたゴールドのボタンが彩る。ジャケット¥445,500、パンツ214,500、サンダル(参考商品)/以上グッチ(グッチ ジャパン) Tシャツ/スタイリスト私物
GREMLINS and all related characters and elements © & ™ WBEI.(s23)
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ムッシュ ディオールの故郷であり、彼の伝説的な庭園がある長閑な町グランヴィルにオマージュを捧げた今季は、ナイロンジャケットにもその光景が。“幸運の花”として知られ、ムッシュも愛したスズランの刺繍がメッシュポケットの内側に施されている。ジャケット¥440,000、ショートパンツ¥250,000(予定価格)/ともにディオール(クリスチャン ディオール)
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表にはファーのように起毛させたモヘア、裏にはなめらかなウール。ダブルフェイス仕立てになるよう贅沢に編み上げたふわふわのニットが、あどけなさの残る木戸を優しく包み込む。前身頃と袖に入ったグラデーションのシェブロン柄は、インターシャ編みによるもの。ニット¥284,900/ボッテガ・ヴェネタ(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)
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ノスタルジックなギンガムチェック柄をマクロサイズにアレンジしてオーバーサイズのシルエットで仕立
てることで、トレンチコートをモダンに昇華。1950年代のレトロデザインを再解釈したスタイルで、過去と現在の交錯を表現した。コート¥385,000、パンツ¥170,500、ブーツ¥220,000(すべて予定価格)/ 以上プラダ(プラダ クライアントサービス)
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テレビをつけたら自分が映っている、
という状態をずっと夢見ていました
「普段、着ることがないようなファッション性に富んだデザインやブランドの服を着られて、めちゃくちゃ楽しかったです」
早朝から始まった極寒の中のファッションシューティングを終えた木戸大聖は、疲れも見せず爽やかにインタビュールームにやってきた。あどけないキュートな笑顔が魅力的だが、そのまっすぐな眼差しには芯の強さもうかがえる。昨年12月から配信が開始され成功を収めたNetflixのシリーズ「First Love 初恋」では、佐藤健が演じた主人公・並木晴道の若き頃を演じ、注目を集めた。
「出演が決まったのが2020年の2月。その後すぐにコロナ禍に突入したこともあり、21年5月から22年3月まで撮影していました。長い時間をかけて、映像にもこだわりじっくり作られたからこそ、観た時に繊細さが感じられる作品になったのだと思いました。とても刺激を受けましたね」
反響の大きさもこれまで経験したことのないものだったと語る。
「TVドラマや映画だと、その上映や放映のタイミングがいちばん盛り上がりを見せると思いますが、配信はもっとジワジワくる感じ。第2、第3の波もある。ドラマが配信される前は1.3万人しかいなかったインスタグラムのフォロワー数が、2カ月で26万人を超えました。海外の方からのコメントも多くてびっくりしています。自分の芝居が国境を一瞬にして超えて誰かに届くなんてすごい。『元気をもらえた』、『自分の初恋を思い出した』とか。読めない言葉ばかりなんですが、自動翻訳で、コメントの意味をひとつひとつ読み取っています」
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俳優になろうと思ったきっかけは、木村拓哉主演のドラマだったという。
「母親がドラマを観る人だったので、子どもの頃から木村拓哉さんが主演している月9ドラマをよく一緒に観ていたんです。木村さんは、いろいろな職業の役を演じられますよね。それに影響を受けて僕は、『アイスホッケー選手になりたい!』とか『パイロットになりたい!』って、ドラマが終わる度にその職業が将来の夢になっていたんです。でも、その職業をすべて叶えられるのって、もしかしたら役者という仕事なのかもしれない、と思い始めたのが小学生の時。テレビをつけたら自分が映っているという状態を、ずっと夢見ていました」
具体的に夢に向かって動き出したのは18歳になった頃。現在の所属事務所の社長と出会い、外部生として週一回の演技レッスンを受けることを勧められた。
「すぐに事務所には所属できず、結果的には2年ほどの下積み期間がありました。ただただレッスンを受ける日々。ワークショップに参加してみたりもしましたが、精神的には辛かったですね。大学にも通っていたので、周囲のみんなが就職活動をしているのに、いつ事務所に所属できるのかの保証もない。やっぱり僕が思っているより相当難しいのかな、と諦めかけたこともありました。お芝居自体も自分ではコツが掴めたという実感もなく、そんな時は木村さんだったらこんな風に言いそうだなとか、ほかの役者さんだったらどういうセリフになるのだろうとか、悩んだこともありました」
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悲願の事務所所属。
憧れるのは大先輩、小栗旬。
晴れて所属できた事務所は、小栗旬、田中圭ら人気俳優が多く在籍する。先輩たちとの交流の中から学ぶことは多いというが、特に小栗旬はその俳優としての在り方の指標となるロールモデルだという。10代、20代は青春ドラマなどで人気となるが、舞台などでも地道にキャリアを積み、最近では幅広い役柄をこなす。NHKの大河ドラマでも主役を張り、ハリウッド映画にも挑戦している。
「旬さんが事務所の若手俳優たちを集めて、相談会のようなものを開いてくれるんです。マネージャーさんも抜きで、ひたすら話を聞いてくれて。常にチャレンジし続ける姿勢も尊敬しますが、そうした人間性にも憧れています」
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ゴルフにバイク、
休日はアクティブに過ごす。
物怖じしない性格は、年上からも可愛がられている。3年前から始めたゴルフは、一周りも二周りも年齢が上の先輩たちと一緒にラウンドすることも多いのだとか。
「時間ができればゴルフに行きたいです。上手く打てた時、自然の中でまっすぐ飛んでいくボールを見る時の快感がたまりません。誕生日にアメリカザリガニの柳原哲也さんにパターをいただいたことがきっかけで始めたのですが、コースに出てからまだ日も浅いので、スコアは100ちょっととまだまだです。スポーツは中学時代にバスケットボールをやっていたこともあって好きなのですが、ゴルフは年の差が関係なく一緒にプレイできるのがいいですね。旬さんとも……あっ! 旬さんのお父さんとも、ご一緒させていただいたこともありますよ」
近々の目標はバイクの免許の取得。「First Love 初恋」の中にも「日本のマーヴェリックになる!」というセリフが出てくるが、トム・クルーズ演じるマーヴェリックが、KAWASAKI のバイクを颯爽と駆る姿に触発されたのだという。
「将来、そういった役が来た時にスタントマンを使わず、自分で走れたら最高ですね」
Netflixシリーズ「First Love 初恋」
監督・脚本/寒竹ゆり
出演/満島ひかり、佐藤健、八木莉可子、木戸大聖、夏帆ほか
Inspired by songs written and composed by Hikaru Utada/ 宇多田ヒカル
Netflixにて全世界独占配信中
1996年12月10日生まれ、福岡県出身。2017年俳優デビュー。18年からNHKBSプレミアム「おとうさんといっしょ」で3年間レギュラー出演を果たした後、映画・舞台など幅広い活動の中で22年11月からNetflixで配信中のドラマ「First Love 初恋」で、佐藤健が演じる並木晴道の若き頃の役を務め注目を集める。
@taisei_kido_
【合わせて読みたい】
▶︎「First Love 初恋」担当プロデューサーが語る舞台裏。
*「フィガロジャポン」2023年4月号より抜粋
photography: Yuto Kudo styling: Kodai Suehiro hair: Tsubasa editing: Kenichiro Tatewaki interview & text: Atsuko Tatsuta