玉森裕太、赤裸々な男。

フィガロオム 2025.09.01

圧倒的な透明感と、被写体としての美しさ。アーティストとして俳優として、成熟したキャリアを保ち続ける35歳、玉森裕太。彼の多面的な魅力に私たちはあらがえない。

玉森裕太

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軽やかなデニムのセットアップで、自由に羽ばたく。シャツ¥190300、パンツ¥170500、ピアス¥68200、リング¥144100、左腕のブレスレット¥326700、右腕のブレスレット¥259600(参考価格)、ネックレス¥326700(参考価格)/以上ボッテガ・ヴェネタ(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)

終始、玉森からは"余裕"というものが漂っているように見えた。決して手を抜いているということではない。目の前のレンズに、質問に、一生懸命こたえる姿勢はプロフェッショナルだ。撮影では慣れた様子でポーズを決め、惜しげもなく筋肉を披露するサービスも忘れない。

インタビューではまるで自分の中の自分と対話するように、真摯に赤裸々に答えていく。多彩なキャリアとアーティストとしての矜持。そのふたつを上手なバランスで渡り歩く、35歳の玉森裕太に聞いた。


"自分の感情をストレートに表現するのは、
あまり得意じゃない"

ー 前回ご登場いただいたのは4年前。撮影や仕事に対する心持ちや姿勢に変化があったのでは。

でっかいピアスをした時ですね(笑)。その頃とは、本当に仕事に対する考え方も取り組み方も全然違ってきています。年齢とともに自分らしい表現をしていきたい気持ちも芽生えてきました。ファッション撮影って、楽しさもありますが緊張感もすごく大きい。洋服の世界観を理解してどんな動きで見せるのがいいのかとか、考えることの多い仕事のひとつです。気分の作り方や表情ひとつにしても、求められるものを的確に表現したいし、しないといけないと課題を感じています。

ー 半袖のカットで、筋肉に現場がどよめきました。

よかったです、鍛えていて(笑)。数年前、韓国の方みたいな身体つきが服も着こなせてかっこいいなと思っていた矢先、ドラマでボクサーの役をいただいて。それからずっと鍛え続けています。

ー 俳優としてもコンスタントに作品が続いています。

自分じゃない人生を経験できるのは新鮮で楽しいので、演じることは大好きです。でもめちゃくちゃ悩むし難しい。もともとネガティブな気質だし、いつまでも考えすぎるタイプなんです。台本を読んで、相手がこうなら自分はこうしようとか、事前に考えすぎちゃって。いざ現場に入ったら役者同士だから違うことのほうが多くて。決め込みすぎて、いいキャッチボールができないことが違和感になるので、考えすぎないのも大事だなと思います。100%で演じて も満足できないことも多いので、いまは自分の中で監督がOKと言ったらそれを信じる、と決めました。シリアスなシーンでは共演者の方と現場で話す余裕もなくなりますし、本番ですぐ切り替える器用さもまだないかもしれないですね。

ー 10代、20代から活躍されていますが、どんな30代を思い描いていましたか?

20歳の頃、10年後にはもっと人気者になっていたいとか、こんな仕事をしていたいとか、夢やビジョンは持っていました。でも30歳になって蓋を開けてみると、「まだ全然、ここまでしかできてない」というギャップを感じて。目標が大きすぎて自滅するタイプかもしれない(笑)。もちろんいまも目標はたくさんあります。こんな場所でライブがしたいとか、個人では映画で賞を獲りたいとか、夢は変わらず持っています。30歳を過ぎて自分のあり方や心境に変化は結構ありましたね。最近は、健康でありたいな、とか。あ、俺、年とったんだなって思います(笑)。

ー 人として、これだけは大事にしたい、と思っていることがあれば教えてください。

ふたつあって......。ひとつは、何かを成し遂げたり成功した時は、自分じゃなくてみんなのおかげ。失敗したら自分のせい。多分親に言われたんですけど、その姿勢は忘れずにいます。あとは、普通でいたいなって。感覚もですし、人としても。こういう環境にずっと身を置いていると、自分の性格が変わってしまいそうな気がする場面もあるので。シンプルに、感謝の気持ちを忘れないとか。小さい頃に親から言われたことは結構覚えていて大事にしています。

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"クールそうと言われるけど、
楽しいことも、ふざけることも好きです"

ー Kis-My-Ft2として初のデジタルシングル「A CHA CHA CHA」を8月にリリース。明るくご機嫌なサマーチューンですね。

いままでのキスマイの夏ソングに比べると大人っぽい曲です。音楽やパーティを楽しむ余裕感のある曲なので、ドライブとか、これを聴いて夏の余韻を楽しんでもらえたら。

ー 玉森さんにとって理想の夏の楽しみ方って?

日焼けを気にしないでいいなら、家族とサーフィンに行きたいですね。小学生からほぼ毎週、家族で行ってたので。

ー 大人な夏のパーティ感があるPVでした。プールでの撮影もありましたが、撮影中も日焼けには気を付けていた?

はい、めちゃめちゃ気を付けてました(笑)。天気も良かったので、待ち時間は日傘をさして。普段から日焼けだけはしないようにしています。日焼け止めを塗って、屋外ではなるべく日陰を歩いて。でも正直、気持ちは半々なんですよ。男としてそこまで気にしていたくない自分と、仕事のためにやらなきゃという自分と。

ー ご自身では自分をどんな人間だと分析しますか?

クールそうとよく言われますが、自分のことは、めちゃくちゃ適当な人間だと思います。楽しいことも、ふざけることも好きですし。ただ、すごく真剣な時も、考えてなさそうとか、ケロッとこなしてそう、とかよく言われます。心の中で「そんなわけないじゃん! すごく考えてるし」って。真剣さが伝わらない。これって得してるのか、損してるのかどっちなんですかね? 頑張ってる感はあまり出さないほうです。

ー 後輩にもすごく慕われている印象がありますが。

慕われてるんですかね? ぐいぐい来られるとどう対応していいかわからなくて、近寄られたぶん俺も離れていく、みたいな(笑)。うれしいんですけどね。やっぱり自分の感情を表現するのが下手なんです。

ー キスマイはデビュー15年目。輝き続ける原動力は。

それはもう、ファンの方がいてくれることですよね。ファンの方が求めていることを、敏感に感じ取って表現しよう、と常に考えています。メンバーも同じ気持ちだと思います。ライブの演出や楽曲とか、ファンの方の反応は気にしますね。

ー ライブ中、玉森さんは曲終わりにキメ顔で抜かれることが多い気がするのですが、カメラを意識して待っている?

その分析、恥ずかしいですね(笑)。カメラに抜かれるのがわかるもあればわからない時もあって。合間のサビとか全員で歌ってる時は、わかってないふうな顔はしてますけどいつ抜かれてもいいように意識してます。手の内を見せちゃいましたね(笑)。

インタビュー後、写真を見ませんか?と声をかけると「恥ずかしくて自分の写真はあまり見ないんですよね」と照れくさそうに躊躇した玉森。が、気付けばモニター前で熱く話し合うスタッフの輪に加わり、結局20分近く、話に耳を傾けていた。求められるものにこたえよう、という意識の高さが垣間見えた撮影後のひとときだった。クールだけど熱い。彼はこのスタイルでずっと進化し、輝き続けるのだろう。

Yuta Tamamori
1990年、東京都生まれ。Kis-My-Ft2として2011年にデビュー。俳優としても活躍し、「あのクズを殴ってやりたいんだ」(24年)やスペシャルドラマ「グランメゾン東京」(24年)など数々のドラマにも出演。Kis-My-Ft2初のデジタルシングル「A CHA CHA CHA」を8月11日にリリース。

*「フィガロジャポン」2025年10月号より抜粋

photography: Yusuke Miyazaki (Sept)  styling: Kei Shibata  hair & makeup: Nobukiyo  text: Naho Sasaki

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