時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノこそ、いい物語があります。今回は、エルメスのジュエリーの話をお届けします。
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HERMÈS
Black to Light
リング左から、「サントール」(18KPG×18KWG×ダイヤモンド×ブラックジェイド)¥4,092,000、「ギャロップ」(18KPG×ブラックジェイド)¥4,136,000、「ニロティカス・リュミエール」(18KPG×ダイヤモンド×ブラックジェイド)¥1,122,000(すべて予定価格)/以上エルメス(エルメスジャポン)
エルメスの「ブラック・トゥー・ライト」は、漆黒に艶めく宝石をフィーチャーしたジュエリーコレクション。翡翠(ヒスイ)といえば誰もが明るいグリーンを思い浮かべるけれど、ここで使われているのは黒い翡翠、ブラックジェイド。これをあしらった大ぶりなリングは、インパクト抜群。まるでコンテンポラリーアートを身に着けているかのような気分にさせてくれる。
これらをデザインしたのは、エルメスのジュエリー部門クリエイティブディレクター、ピエール・アルディ。ブラックジェイドとピンクゴールドを大胆に組み合わせ、メゾンを象徴するモチーフを、自由な発想でジュエリーに変身させてしまった。
リング「ギャロップ」はメゾンのルーツともいえる馬の疾走する姿を、リング「サントール」は馬の蹄をかたどったアイコニックな造形。また、リング「ニロティカス・リュミエール」はクロコダイルスキンを思わせる模様を描き出したデザインが個性的。どれも特別なサテン仕上げを施し、マットともシャイニーとも異なる絶妙なテクスチャーを与えたブラックジェイドが何ともグラマラス。彫刻のように洗練されたフォルムで、手元にアクセントをつけてくれるのだ。
「ブラック・トゥー・ライト」コレクションについて、ピエール・アルディはこう語る。「光を鮮明に引き立てる黒をダイヤモンドの輝きと対比させ、フォルムの純粋さや魅力をより際立たせたいと思い立ちました」。闇のような黒があってこそ気付く、温かな光の存在。生命を吹きこまれた黒は、身に着ける人の内側に潜む輝きをも鮮明に引き立ててみせるはず。
photo : SHINMEI (SEPT), stylisme : YUUKA MARUYAMA (MAKIURA OFFICE), texte : KEIKO HOMMA