時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノこそ、いい物語があります。今回は、ポメラートのジュエリーの話をお届けします。
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POMELLATO
Nudo Gelè
誕生から20周年を迎えたいまも新鮮さを失わないクールな名作。
ミラノのジュエラー、ポメラートにはあまり聞き慣れない肩書の人がいる。「ジェムマスター」と呼ばれるその人は、宝探しをするハンターのように世界中をめぐり、ポメラートのジュエリーにふさわしいジェムストーンを選び抜いて買い付けるのが仕事。最高級の宝石、希少な宝石、話題の宝石、新しい宝石──各地の鉱山やジェムマーケットで出合うさまざまな石が、ジェムマスターの見極めによって大胆にカットされ、ミラノでスタイリッシュなジュエリーに仕立てられるのだ。
そうした目利きのスペシャリストがいるから、ポメラートのジェムストーンは驚くほどバリエーション豊か。ほかのジュエラーが扱わないような個性的な石でも、それが美しく、価値があるなら果敢に採用する。今年で20周年のアニバーサリーを迎えたシグネチャーコレクション「ヌード」は、2001年の誕生当時は全5色だけだったという(5色でも十分多いけれど)。それがいまでは虹を思わせるほど多くの色彩が、リッチなカラーから優しいパステルトーン、シックなニュアンスカラーまで幅広く揃う。カラフルなジュエリーの代名詞ともなった「ヌード」は、現在も進化を続けている。
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最新作「ヌード ジュレ」は、その名のとおり、シャーベットのようにスイートなルック。カットされたジェムストーンの表面にサテンポリッシュを施し、涼しげなフロスト効果を生み出している。実際に手に取ってみると、見る角度によってジェムストーンが微妙に表情を変えることに気付くはず。このコレクションは、実は職人たちの手仕事によって、見えないところに技を凝らしている。スカイブルートパーズを含む3種のストーンを重ねているから、光の屈折と干渉でミステリアスな煌めきを放つのだ。
「僕たちが扱うのは“ニュー・プレシャス”ストーンなんだ」と、ポメラートのジェムマスターは語る。宝石は一般的にプレシャスストーン(貴石)とセミプレシャスストーン(半貴石、準貴石)に分けられるけれど、ポメラートはそんな区別はしないのだという。胸が高鳴るほど魅力的な宝石は、すべてがプレシャスなのだから。
甘くみずみずしいジュエリー「ヌード ジュレ」。多くのこだわりを秘めたニュー・プレシャスなジェムストーンの輝きは、女性たちに煌めく個性を与えてくれるのだ。
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*「フィガロジャポン」2021年9月号より抜粋
photography: Ayumu Yoshida styling: Tomoko Iijima text: Keiko Homma editing: Mami Aiko