時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノこそ、いい物語があります。今回は、ルイ・ヴィトンのジュエリーの話をお届けします。
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LOUIS VUITTON
LV DIAMONDS
ウォッチ & ファインジュエリーのアーティスティック・ディレクター、フランチェスカ・アムフィテアトロフによるデザイン。日本(松屋銀座店、阪急梅田店 ウォッチ & ファインジュエリー)とアメリカ(ロデオドライブ店、5番街店)での限定販売。リング「LV ダイヤモンド」(PT×ダイヤモンド センター1.0ct〜)¥2,794,000〜/ルイ・ヴィトン(ルイ・ヴィトン クライアントサービス)
メゾンのアイコンがまぶしく輝くモノグラム・フラワーの星。
リングのセンターに輝くのは、ありきたりのダイヤモンドじゃない。1896年、ジョルジュ・ヴィトンがデザインしたという、あのアイコニックな「モノグラム・フラワー」──それをダイヤモンドで表現したのがこの「LV モノグラムスターカットダイヤモンド」。最新のイノベーションとテクノロジーを駆使し、ルイ・ヴィトンはダイヤモンド原石に備わったポテンシャルを余すところなく引き出すスペシャルな星形のカットを生み出したのだ。
このリングは、モダンな造形美がメゾンのシグネチャーを思い起こさせる。1920年代から30年代にかけて、ガストン゠ルイ・ヴィトンがスーツケースにあしらったアールデコ調のシンボル「V」。プラチナですっきりと描き出されたV字のラインに「LV モノグラムスターカットダイヤモンド」がセットされると、たちまちリングが圧倒的な存在感を放ち始める。
宝石のことをよく知っているジュエリー上級者なら、このカットの贅沢さにきっと驚くはず。結晶の形がきれいに整った大粒のダイヤモンド原石でなければ、こんな斬新なカットは施せないのだから。普通ならそうした希少な原石は、サイズがなるべく大きくなるように研磨するものだけれど「LV モノグラムスターカットダイヤモンド」の場合は、サイズよりも輝きの美しさを最優先して研磨している。53面のファセット(切子面)を持つこの特別な星形のカットを手がけることができるのは、とびきり優れた腕を持つ、世界でも限られたダイヤモンド研磨職人だけなのだという。
いまから200年以上前の1821年にメゾンの創業者ルイ・ヴィトンは生まれ、14歳の時にフランスとスイスの国境沿いにある故卿を旅立ち、2年かけてパリを目指して徒歩で旅し、人生を切り拓いたという。
旅をしているのは「LV モノグラムスターカットダイヤモンド」も同じ。採掘された鉱山から、研磨のアトリエへ。そしてリングにセットされ、店頭へ。メゾンはこうしたダイヤモンドのクリーンな旅路を追跡するレポートも発行。ブロックチェーンという先端デジタルテクノロジーを使って、ダイヤモンドひと粒ひと粒のライフサイクルにアクセスできるようにしたのだ。
地球の奥深くで生まれ、いまは地上で輝くダイヤモンドの星。その長い旅は、まだ終わらない。誰かの幸福な指に辿り着くまで。
*「フィガロジャポン」2022年11月号より抜粋
photography: Ayumu Yoshida styling: Tomoko Iijima text: Keiko Homma editing: Mami Aiko