時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノこそ、いい物語があります。今回は、シャネルのジュエリーの話をお届けします。
file : 075
CHANEL
CHANEL N°5
女性の心をエンパワーメントする、ミステリアスな5という数字。
マドモアゼル シャネルのお気に入りの数字、あの「5」をあしらった新作ファイン ジュエリーがパリから到着。ダイヤモンドのフリンジが揺れて輝くこのイヤリングは、フリンジのパーツを耳たぶの後ろ側から下がるようにして着けるデザイン。このパーツは取り外し可能だから、フリンジのある状態、フリンジのないシンプルなスタッドイヤリングの状態、そして片方にだけフリンジを付けたアシメトリーな状態のスリーウェイで楽しむことができる。
着こなしに合わせてさまざまなシーンで活用できるように工夫されたデザインは、とてもシャネルらしいものといえそうだ。マドモアゼルは、美しいジュエリーを宝石箱の中にしまいっぱなしにしてただ眠らせておくのは、きっと好きではなかっただろうから。
そして数字の5といえば、誰もが思い浮かべるのは、あまりにも有名なシャネルの香水「シャネルN°5パルファム」。そのネーミングは、伝説的調香師エルネスト・ボーが作った5番目の試作品だったことからマドモアゼルがそう名づけたとも、マドモアゼル自身のラッキーナンバーをとって名づけたともいわれている。
マドモアゼルの星座は、獅子座。それは黄道十二宮の5番目の星座。初めての香水「シャネルN°5パルファム」を発表したのは、1921年の5月5日、マドモアゼルは、毎年のオートクチュール コレクションも5日に開催したという。そして自らが永遠に眠るための墓石にも5頭のライオンの浮彫をデザインしたほど。彼女にとって5は単なるラッキーナンバー以上にこだわりのある、マジカルで意味深い数字だったのだ。
また5の数字には、もうひとつのオマージュも隠されている。マドモアゼルがかつて暮らしたカンボン通りのアパルトマンに飾られているシャンデリアだ。
彼女のお気に入りだったこのシャンデリアは、天然のクリスタルなどが光を放つ、とても美しい品。そしてよく見ないとわからないほど巧妙に、シャネルのイニシャルのCや、5の数字がさりげなくデザインされているのだ。
マドモアゼルのドラマティックな人生を支え、輝きを与え続けたお気に入りのモチーフたち。それはきっとイヤリングを身に着ける人にもパワーを与えてくれるはず。5という数字は、人生を駆け抜けて生きてゆく女性たちを勇気づけるモチーフなのだから。
photography: Ayumu Yoshida styling: Tomoko Iijima text: Keiko Homma editing: Mami Aiko