時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノにある、いい物語を語る連載「いいモノ語り」。
今回は、ブルガリのブレスレット「ブルガリ トゥボガス」の話をお届けします。
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BVLGARI
TUBOGAS
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シンプルながらもインパクト満点、鮮烈なオーラを放つ造形美。
名門ローマンハイジュエラーから、新作「ブルガリ トゥボガス」が登場。ゴールド本来の艶やかな輝きを最大限に引き出したスタイリッシュなブレスレットがお目見えした。イエロー、ピンク、ホワイトゴールドの3色をミックスしたデザインと、ピンクゴールドにダイヤモンドのスタッズをあしらったエッジーなデザイン、そしてイエローゴールドのみのプレーンなデザインなど、どれも洗練された飽きのこない美しさ。セカンドスキンのように気負うことなく、手元にいつも着けていられるのがうれしい。
この新作ブレスレットをより魅力的なものにしているのは、留金のないミニマルなシルエット。高度な職人技を駆使したオリジナルな製法により驚くほどフレキシブルな仕立てになっていて、自分で簡単に着脱できるのが特徴。細長いゴールドのラインをコイル状に巻きつけて作るため、繋ぎ目がなく、ゴールドという素材が持つ柔軟性によって優れた弾力を生み出している。専用のマシンを駆使してゴールドのラインを巻きつけていく仕事は極めて精密なもので、熟練した職人の腕前が必要とされる。実際に身に着けてみると、なめらかな肌ざわりでフィット感も極上だ。
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この印象的な「トゥボガス」の技法の開発にブルガリが着手したのは1948年のこと。トゥボガスとはガスチューブを意味するイタリア語で、かつて加圧式ガスを送るためにローマ中に張りめぐらされていたガス管を想起させることから、この名がつけられたのだそう。インダストリアルな機能美と、イエローゴールドが放つ永遠の輝きが一体となった「トゥボガス」は、第二次世界大戦後の復興に沸くローマの輝かしいシンボルとして、瞬く間にヨーロッパやアメリカへと広まっていったという。
こうしてブルガリのDNAの一部になった往年の「トゥボガス」に敬意を捧げ、技にさらなる磨きをかけて、よりエッセンシャルな美貌を目指したのが今回の新作。着け心地のよさと魅力豊かなルックス、そしてコンテンポラリーな感覚と職人の伝統とが一体となったジュエリーが新生「ブルガリ トゥボガス」なのだ。ブルガリらしさ、ローマらしさにあふれたこのブレスレットは、時代を超越したエターナルなスタイルが何よりの魅力。スリークなその輝きは、ゴールドがこれほどまでに心を躍らせるものだということを、身に着ける人にあらためて教えてくれるのだ。
*「フィガロジャポン」2025年2月号より抜粋
photography: Ayumu Yoshida styling: Tomoko Iijima text: Keiko Homma editing: Mami Aiko