おしゃれで、初心者から上級者まで楽しめて、サスティナブル。そんな新しい編み物のスタイルを提案する英国発ニットブランドWOOL AND THE GANGを知っていますか? ブランド創始者でクリエイティブディレクターを務めるジェイド・ハーウッドに、アイデアが生み出される背景について、話を聞きました。
ジェイド・ハーウッド/JADE HARWOOD
セントラル・セントマーチンズ大学でテキスタイルデザインを専攻し、卒業後、バルマンの刺繍デザイナーとしてコレクションのデザインに携わる。2008年にWOOL AND THE GANGを立ち上げ、コレットでの販売をきっかけに注目を集める。ヴィヴィアン ウエストウッド、ジャイルズ、MINIなどのブランド、アーティストとのコラボレーションも多数。ファッション性の高さだけでなく、生産者を守り、環境や動物保護への取り組みも重視した作品が特徴。刺繍とニットを融合した新しいスタイルも展開中。
www.woolandthegang.com
― WOOL AND THE GANGの糸の名前は「Crazy Sexy Wool」「Feeling Good Yarn」「Ra-Ra Raffia」など、どれもユニークですが、どうやって名付けているんですか?
「糸に出合って、その特徴から考えるんです。音楽からヒントを得たり……。私にはネーミングセンスがあると思っています(笑)。10年前、WOOL AND THE GANGを始めたとき、糸にこういう変わった名前をつけているブランドはなかったので、それがかっこいいと思って始めたんです」
ジェイドがネーミングでいちばん気に入っている「Crazy Sexy Wool」は、柔らかく極太で簡単に編むことができるだけでなく、100%再生可能なオーガニック素材が使用されている。カラーレンジも25色と豊富!
― デザインパターンに関しては、どこからインスピレーションが生まれるのですか?
「ロンドンや世界を旅してトレンドをキャッチしているけれど、最近はインスタグラムからアイデアを得ることが多いですね。そこにテキスタイルの専門知識を合体させて、パターンに落とし込むというやり方をしています」
それぞれの糸の魅力に合ったデザインパターンを用意。編み物ビギナー向けのものからハイレベルなパターンまで、レベルもさまざま。この「BILLIE JEAN YARN」という糸はデニムの製造工程で生じる廃棄物からアップサイクルされたもので、化学物質や染料を使わずに作られるため、節水にもつながっている。
― YouTubeでの編み方動画は、初心者にもわかりやすく作られていますね。
「画面を通して1対1で教わっているような感覚が得られるように、丁寧なものにしています。デザインパターンに記載しているステップに関しても、内容を繰り返しチェックし、わかりやすいものになっているか確認するようにしています」
― ジェイドさん自身の編み物にまつわる思い出は?
「7歳の時、祖母から編み物を教えてもらったことがきっかけで、そこから大学に通うまでの間、編み物は私のライフワークの一部になっていました。ちなみに最初に編んだのは、テディベアのブランケット。でも編んだのは端っこだけで、完成しなかったんですけどね(笑)」
― この先のWOOL AND THE GANGのチャレンジは?
「ペットボトルからリサイクルした繊維を使って、新しい糸を作っているところです。これは間もなく発売になります(※日本での取り扱いは未定)。軽くて柔らかくて、スポンジみたいな素材で、かぎ針編みのバッグやクッションカバーなど小物を編むのに向いているんですよ」
もとは刺繍デザイナーだったジェイド。可愛いモチーフの刺繍を手軽に楽しめるエンブロイダリーキットも手がけている。