プラダ 青山店で、サイモン・フジワラのアートと出合おう!

インタビュー 2022.10.14

唯一の願望は、真実と感じるものを描くこと。

サイモン・フジワラ|アーティスト

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SIMON FUJIWARA/サイモン・フジワラ
1982年、イギリス・ロンドン生まれ、ベルリン在住。2012年テート・セント・アイヴスで個展『Simon Fujiwara:Since 1982』開催。16年『岡山芸術交流』参加、東京オペラシティ アートギャラリーで個展『サイモン・フジワラ ホワイトデー』開催。
@simon.fujiwara

2020年、最初のロックダウンでサイモン・フジワラが生み出した新しいキャラクター「Who the Bær」。おとぎ話やアニメ、テーマパークの世界観にインスパイアされ、「ハイパー資本主義的な娯楽文化のどんどん意味をなさなくなっている世界に対する子どもっぽいダダイスム的リアクション」として創作された。特定の人格や性格、ジェンダー、セクシュアリティを持たない、アイデンティティ未分化の「Who」はデザインさえあやふやだが、自分がイメージであることだけは理解している。画像イメージ上の「Whoニバース(Whoの世界)」を巡りながら、自分は何者なのかを探っているのだという。

「人物イメージだけで構成されたメタ世界の中で、常にひとりで現れるWhoはかなり内省的な存在です。ロックダウン期間、多くの人と同じように、身体的・政治的・人種的な居場所について考察し、社会と自分との関係を問い直す体験をしていた時に、私がWhoというキャラを創造したことは偶然ではないでしょうね」

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私たちが生きる世界が、虚実曖昧な物語に満ち、空想と現実が混然とした空間だということをコロナ禍は露わにした。これまでも資本主義と消費文化を支える人間の欲求に着目し、個人的な出来事やバックグラウンドと社会的事象とを結びつけた鮮烈な作品を発表してきたサイモンの考察は、どのような変化や発展を遂げたのだろう。

「過去の作品の多くは、〈自己〉という感覚に関して〈事実〉や〈現実〉は存在しないことを説明するものでした。誰もがある程度気付いているはずですよね? 今日の主流となっている〈自己〉という概念は作られたもので、実際には私たちは常に変化し変容しているからです。Whoは多くのイメージに扮し、異なる人格を通過する中で、真実味のある何かに触れていきます。私の唯一の願望は真実と感じられるものを描くこと。そしていま生きていることとはどんな感じなのか、少しでも捉えようとすることだと、ますます強く感じるようになりました。Who the Bærに辿り着くこの10年間、回り道と編集、研鑽を繰り返してきたのだと思います」

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コロナ禍のロックダウン中に生まれたキャラクター「Who the Bær」は2021年にミラノのプラダ財団で初の大型展示の後、ロッテルダムのヴィッテ・デ・ヴィット現代美術センターを経て、ニューヨーク、ロンドン、東京など国際都市でグローバルなビルボードキャンペーンに登場。今回、再構成した作品をヘルツォーク&ド・ムーロン設計のプラダ 青山店で展示する。

美術館あるいは仮想世界でアートに出合う時、私たちはまさに「Who」と同じように、さまざまなイメージと人格を体験することで、「現実」では得ることのできない感動や共感、理解を自分の意識の内に見いだす。誰にとっても困難な内省の時期に、サイモン・フジワラの産み落とした最新のコンセプチュアルアートは、一見ポップでイカれた子どもっぽい振る舞いの中に、不完全で曖昧な自意識とその絶え間ない変容を肯定する姿勢を見せてくれる。

サイモン・フジワラ『Who the Bær』
会期:10月15日〜2023年1月30日
プラダ 青山店(東京・青山)
営)11:00〜20:00
無料

●問い合わせ先:
プラダ クライアントサービス
0120-45-1913(フリーダイヤル)

*「フィガロジャポン」2022年12月号より抜粋

text: Chie Sumiyoshi

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