一歩足を踏み入れると、様々な国の国旗がずらっと並び、まるでオリンピックの興奮を彷彿させるかのような空間。ここは、神宮前のポール・スミス スペース ギャラリー。今月の27日まで、ポール・スミスがデザインしたロンドン オリンピック公式記念切手のエキシビジョンが開催中だ。
英国マン島郵便局からの依頼で実現したというこのプロジェクト。話を聞くべく、先月来日中であったポール・スミス氏をキャッチするため、会場を探してみるも姿が見えず...。
「ハロー!」と声が聞こえる方へ振り向くと、我々を驚かそうと旗の隙間に隠れていたポール氏が、とびきりの笑顔で迎えてくれた。
「マン島の切手は、スタンプコレクターのなかでは有名で、とても面白いスタンプを作るんだ」
世界的に活躍する自転車レーサーでポール氏の友人でもあるマーク・カヴェンディッシュの出身地、マン島。そこは、公道を閉鎖して開催される自転車レースでも知られる島だ。少年時代、自転車のプロレーサーになる夢を持っていたポール氏への交渉には、とてもユニークなプレゼントも含まれていたという。
「リクエストをもらったのは2010年ごろ。僕が自転車好きというのを知っていて、マン島のサイクルレースのコースで有名な橋の破片を『とってきました』と持ってきて...もしかしたら、今、橋は穴が空いてるかもしれないね(笑)」
このスペシャルなオファーを快諾し、プロジェクトはスタートする。ポール氏は記念切手のデザインを、どのように作り上げたのだろうか。
「公的なものなので、クイーンの顔の向きやサイズ、オリンピックロゴの使用方法も厳しい制約がありました。あと、7つの競技を決めるのに、とても時間がかかりました。最終的には、オリンピック委員会にアドバイスをもらい、イギリスのなかで人気のあるスポーツ7種目に決めました」
ヨット、サイクリング、水泳、テニス、ボート(競技)、陸上、アーチェリーの7種目の切手。
「最初は、いろんな競技でデザインを進めていたし、1つの競技でも...例えばテニスのラインの位置だったり、実はもっともっとたくさんのデザインがあって。最終的に、グラフィックが一番きれいなものをセレクトしました。その後もシートの写真やスペシャルコレクターズブックを作ったり、気がつけば大きなプロジェクトになっていきましたね」
スペシャルコレクターズブック『London 2012 Olympic Games - The Isle Of Man Stamp Collection』。
マン島郵便局のオンラインではスペシャル・コレクターズ・ブックや、シート、ポストカード、2012年1月1日00:00:01の消印が押してあるファースト・デイ・カバーなど約10種類のセットが販売中だ。
「出来上がって、78歳のノッティンガムに住む友達に、切手を見せたら"目が悪いのであんまりよく見えないよ"といいながら、水泳の切手を見て"このビリヤードのデザイン素敵ね"って(笑)。この7種目で、自転車、ヨット、カヌーの3種目は競技とは関係なく、ポール・スミスらしい独自のカラーリングをしました。ポジティブなデザインとカラーで力強いグラフィックに仕上げた切手を、みんなが気に入ってくれると嬉しいです」
楽しいエピソードを交えながらのインタビューもそろそろ終盤、ギャラリーに展示されているヴェロドーム(自転車競技場)の写真を指して、競技場の設計やオリンピックのキックオフゲームである自転車競技の予想も少年のように目を輝かせながら話をしてくれた。目前に迫ったロンドンオリンピックには、日本に居ながらロンドンへ思いを馳せる人も多いはず。ぜひ、ポール・スミスデザインの切手を、メモリアルに加えてみてはいかがだろうか。
Paul Smith SPACE GALLERY
東京都 渋谷区 神宮前5-46-14
Tel 03-5766-1788
営)12:00-20:00
休)水
www.paulsmith.co.jp
※ポール・スミスがデザインしたロンドン オリンピック公式記念切手のエキシビジョンは5月27日(日)まで。
切手の販売店舗とオンラインショップ:
ポール・スミス スペース、渋谷店、丸の内店、代官山店(メンズ、ウィメンズ)、仙台店、福岡店、三条店、金沢店、ポール・スミス コレクション青山店、渋谷ヒカリエ シンクス店
マン島郵便局オフィシャルサイト
◆フィガロ・チャンネルでは、ポール・スミス氏のメッセージ動画を配信中!!