昨年秋、ついにパリ・オペラ座バレエ団プルミエールダンスーズに昇格したオニール八菜。ご存知の通りバレエ団には階級があるが、パリ・オペラ座では群舞のカドリーユをスタートに、群舞の中でも中心的なパートを受け持つコリフェ、独立したパートを受け持つスジェ、そして主役に続く主要な役割を務めるプルミエールダンスーズ、そして頂点がエトワールとなる。コリフェからプルミエールまでは毎年1回の試験で選抜されたダンサーだけが昇格となるが、八菜は入団以来、とんとん拍子に毎年昇格し続けている期待の新星。スポットライトに磨かれ、これからますます輝きを増すであろう彼女に話を聞いた。

― 昨夏、足首を痛めたと聞きましたが、昇格試験に向けて不安はありませんでしたか?
八菜(以下、H):「スジェの中の誰が昇格してもおかしくない、という優劣つけがたい中での試験でしたから、昇格できないかもしれない、ということは焦りやプレッシャーにはなりませんでした。もちろん昇格できたら嬉しいとは思っていましたけど! むしろ、コリフェからスジェを目指した昨年の試験の方が緊張していました。なぜかというと、スジェはコールドを踊りながらソリストに近いパートも受け持たせてもらえる、つまり幅広い挑戦ができるポジションだったからです」
― 晴れてスジェとして過ごせた1年間は、さぞ充実したものだったのでしょうね。
H:「はい。『バヤデール』の時は1幕で巫女を、2幕ではガムザッティを踊ってから、群舞に加わったり、まさにフルコースで踊りました。ソリストとしての緊張感から群舞の連帯感まで一度に味わえて、楽しかったし達成感もありました」
― ソリストとしてスポットライトの中に立つ時の気持ちはいかがでしたか?
H:「ソリストだからこその"光の受け取り方"があることを舞台の上で学びました。顔の角度を少し変えるだけで、ずいぶん違うんです」
― プルミエールダンスーズに昇格すると、楽屋もグレードアップするんですよね!?
H:「はい。いままでは4人でひとつの楽屋を共有していたのが、ふたりでひとつの楽屋へ引っ越しできるんです。でも、今回は断わりました。大勢でわいわい楽しくやる方が好きだから」
― 昇格試験は、今回のプルミエールダンスーズまで。すでに技術や表現力は充分に認められたも同然、残す階段はエトワールへの一歩ですね! でもこれは芸術監督の判断に委ねられるので、芸術監督の感性との相性、ということになりますか?
H:「そういうことになると思います。互いの相性とか、時代が求めていることだとか、そういう背景も影響します。でも、私は肩書や階級が欲しくて踊っているのではありません。プルミエールになり、いよいよさまざまなキャラクターに取り組むことができるだけでも充分、わくわくしています」
― プライベートのお話も少し聞かせてください。八菜さんがパリでお気に入りのスポットは?
H:「個性的なお店があふれるマレ地区へは、友達とよく出かけます」
― 好きな食べ物は?
H:「好き嫌いなく何でも食べますが、中でも好きなのはこしあんを使った和菓子です。両親がパリに来た時などは、"とらや"でお菓子を買ってもらいます」
― では、来日した時に立ち寄るスポットは?
H:「いろいろあるけど、まずは渋谷のチャコットかな? パリの仲間にも"日本製のレッスンウエアは品質がいいね"と羨ましがられるんですよ!」
texte:YOSHIKO URANO



