パリで人気のブランド「MANOUSH(マヌーシュ)」が代官山にフラッグシップショップをオープン。これをお祝いして、デザイナーのフレデリック・トゥルー=ロワさんが来日した。
マヌーシュとは、フランス北西部で生活する移動民族「ジプシー」の意味。彼らのトランクに詰まっていそうなカラフルで自由でポエティックな服、これにエレガントなスパイスをふりかけた、チャーミングなマヌーシュはどうやって生まれるのか?デザイナーのフレデリックさんにインタビューした。
9月17日にオープンしたばかりの代官山、八幡通り沿いのショップで、フレデリック・トゥルー=ロワさんにインタビュー。
――マヌーシュの服は子ども服がそのまま大人になったようなノスタルジックな面がある一方で、シルエットなどは大人っぽい。眺めるだけでハッピーな気分になります。シックさが特徴のパリブランドとは一線を画しているように思いますが?
Frederique Trou-Roy(以下、FTR):確かに、最初は"変わった服"と受け取られていたようです(笑)。典型的なスタイルからはずれていて、難しい服だと。最初はアラブの人たちが気に入ってくれ、そこからパリの人たちに火が付いた感じです。
――"ジプシー"をブランドのテーマに選んだ理由を教えて下さい。
FTR:わたしの服は、ジプシーとか放浪の民のイメージをベースにオリエンタルな要素をプラスしています。ジプシーやアラブの人たちが昔から好きだったし、彼らの文化も好きなんです。
――子どもの頃から、そうした物語をよく読んでいたとか?
FTR:いいえ、身近だったんですよ。わたしはフランスの田舎で育って、近くにはロマと呼ばれる放浪の民が住んでいました。彼らからはきれいなヴィンテージドレスをはじめいろんなものを買い、わたしたちも彼らに不要になったものを売りました。交流があり、彼らはよき隣人だったのです。
――ほかにも、子どもの頃の思い出が服作りに影響を与えていることはありますか?
FTR:バカンスには、父がキャンピングカーでよくモロッコへ連れて行ってくれました。砂漠をはじめあちこちへ旅しました。大人になったいま、モロッコのスークで買ったものでアクセサリーを作ったりしています。この、わたしが着ているワンピースの裾飾りを見てください。これは、ベルベル族の結婚式のベルトからインスパイアされたものなんです。
――このショップには、ヴィンテージをリメイクしたウエディングドレスも並んでいると聞きましたが?
FTR:そうです。50年代から60年代にかけてのドレスが放っておかれているのをパリで見つけました。染め直したり、あえてシワ感を出したり、デザインを変えたりしました。
――全部で何着くらい?
FTR:60着ほど作り、売り上げの一部をかわいそうな動物たちを助ける団体に寄付しました。東京には8着、持ってきましたよ。
ローズ柄のモザイクが印象的な店内には、赤いソファやシャンデリアが。奥のラックに掛かったドレスがヴィンテージをリメイクしたウエディングドレス。各115,500円~
――フレデリックさんは昨日、来日されて、もう、今日の夜の飛行機で日本を発たれるとか。お忙しいですね。
FTR:パリへ戻って4日間滞在した後、香港へ行きます。ふだんは、1年の間でパリとモロッコで半々くらいの生活です。このところ、モロッコにもフランス人の放浪者が増えています。ヒッピーとかサーファーとか......、放浪というのはある意味、とても現代的なライフスタイルなのかもしれませんね。
ウエアはもちろん、キラキラ&手作り感を感じる小物類もかわいい。
iPhoneケース(3G、3GS対応、各8,400円)
プードルの編みぐるみのボトルカバーやバッグなど楽しい小物が充実。フレデリックさん自らディスプレー用として持参した雑貨も飾られている。