美しい投資術 Vol.29 投資先を整理して、60歳以降は配当金で生活するには?

フィガロジャポン2021年7月号から「美しい投資術」を連載している、個人投資家/資産運用アドバイザーの廣田里那さん。

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今回の相談者は、本格的に株式投資をしている50代の女性。60歳以降は配当金で生活するために、現在の金融資産を見直したいという相談です。


今月の資産相談

株の投資先を整理して、60歳以降、配当金で生活可能?

Q子さん(54歳・未婚)
会社員

海外の大学を卒業後、帰国して日系企業に入社。外資系企業への転職を経て、現在は日系企業で勤めています。投資を始めた40歳頃は、小売業や食料品など身近な企業の株を購入しました。ただ、きちんと勉強していなかったので、数年前にあらためてセミナーに通い、本格的に株式投資をするように。現在は、商社やエネルギーなど日本株約24銘柄、ほかに300万円で購入して約2,600万円まで値上がりした仮想通貨を複数保有しています。60歳でリタイアし、高配当株の保有で年間1,000万円を得ながら生活するのが理想です。自宅以外の不動産はいずれ売却予定ですが、現在の金融資産をどう見直せばいいでしょうか?

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資産内容の見直しと配当に関するご提案

株で生活する方法には「売買」と「配当金」の2パターンあります。売買は株が安い時に買って高くなったら売り、その差の利益を狙います。一方、配当金とは、企業から株主に配る現金のことで、配当利回りと株主が保有する株数(株価)に応じて金額が決まります。

国内株式の平均配当利回りは約2%で、高配当利回りといわれる水準は4%です。Q子さんは、年間1,000万円の配当金生活をご希望とのこと、配当利回り4%の株の保有でシミュレーションしてみました。結論、年間1,000万円の配当金を得るには、元手が約3億円必要です。現在の収入と金融資産だけで考えると、60歳までに用意できそうな元手は約1億円、その場合の配当金は年間360万円なので目標には遠いかもしれません。いずれにしても配当金生活を目指すのであれば、配当利回り4%の条件で投資先を絞ることをおすすめします。投資先は管理しやすいよう個別株24銘柄から10銘柄程度に減らし、整理されてはいかがでしょうか。配当利回りと成長性の高さが魅力の米国株や、個別株よりリスク低めな高配当ETF(高配当銘柄で構成された指数に連動する投資信託の一種)に振り向けることも検討してみては。

仮想通貨もタイミングを見て、株に置き換えたほうが良さそうです。資産の整理イメージは、下図をご参考ください。

資産内容の見直しと配当に関するご提案

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*「フィガロジャポン」2023年11月号より抜粋

text: Yoko Sueyoshi

個人投資家/資産運用アドバイザー。1990年、パリ生まれ。現地高校卒業後、お茶の水女子大学に進学し、東京に移住。日系商社に勤めた後、通訳、金融会社を経て、個人投資家に。

instagram:@lina_saint.germain

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