フィガロジャポン2021年7月号から「美しい投資術」を連載する、個人投資家/資産運用アドバイザーの廣田里那さん。
今回の相談者は、5年間で現在の資産を1億円まで増やすと同時に、家のリフォームが夢という55歳のスタイリスト。現在の運用内容を見直したいというご相談です。
今月の投資相談
あと5年で資産を1億円に、家のリフォームもしたい。
EKさん(55歳・既婚・子ども1人) スタイリスト
年収 約600万円 貯金 2,000万円
フリーランスのスタイリストとして働いており、夫はあと2年で定年、子どもは社会人になったので、自分の老後資金をどう形成するか悩んでいます。個人資産は現金約2,000万円と投資運用資産約2,200万円で、月20万円を投資に回す余裕があります。漠然とですが60歳までに1億円の資産を築けると安心かなと思っています。コロナ禍で時間ができたことをきっかけに、投資の情報収集をスタート。現在は、iDeCo、投資信託、ロボット投資、仮想通貨などで運用していますが、運用の具体的な方針や商品選びに迷いがあります。2025年からは新NISAを活用しながら効率的かつリスクを抑えた運用方法を模索中です。それと同時に、夢である自宅のリフォーム(1,000万規模)をする資金も捻出できるものでしょうか。
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例:参考銘柄
大和-i FreenEXT FANG+インデックス
SBI-SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)
auAM Nifty50インド株ファンド
SBI-SBI-フランクリン・テンプルトン・インド株式インデックス・ファンド
すでに個人資産を約4,200万円保有されているEKさん。一般的には、ゆとりある老後には十分な資産だと考えることもできますが、余裕があるに越したことはありません。もし、現在の個人資産を全額元手に60歳までの5年で1億円を達成するとしたら、年率約22%という非常に高い運用利回りが必要です。ただ、損失の可能性も高くなりますのでおすすめできません。現実的なシミュレーションとしては、年5%の利回りで運用することです。というのも、長期的に見た場合、米国市場などの主要市場は年平均5~7%程度のリターンを示していることが多いからです。たとえば、初期投資4,200万円に加えて月20万円を投資して利回り5%で運用できたとしたら、5年後には約6,200万円、10年後には約9,900万円の資産形成を見込めます。とはいえ初期投資額が多いため、抵抗がある場合は、運用期間を延ばしたり、毎月の積立額を増やしたりする方法が現実的だと思います。
具体的な投資商品としては、成長を期待できるテクノロジー株(FANG+)や新興国株への投資を検討されると良いでしょう。安定した運用を求める場合は、ゴールドの積立を取り入れることも一手です。リフォームについては、老後資金への影響を最小限に抑えることを前提に、資産運用の方針を見直しつつ、ライフプラン全体を再構築することをおすすめします。
FANG+は、米国の主要テクノロジー企業群を指し、Meta(旧Facebook)、Amazon、Apple、Netflix、Google(Alphabet)に加え、Microsoft、Tesla、NVIDIAなどを含みます。これらは市場規模や革新性で大きな影響力を持つ企業です。FANG+指数はこれら企業の株価を基に構成された株式指数で、テクノロジー分野全体のパフォーマンスを測る指標として活用されます。成長性や革新性から投資家に人気があり、世界経済への影響も大きい特徴があります。
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個人投資家/資産運用アドバイザー。1990年、パリ生まれ。現地高校卒業後、お茶の水女子大学に進学し、東京に移住。日系商社に勤めた後、通訳、金融会社を経て、個人投資家に。
instagram:@lina_saint.germain