個人事業主として独立、いまの資産をどう運用すればいい?【美しい投資術 vol.45】

フィガロジャポン2021年7月号から「美しい投資術」を連載する、個人投資家/資産運用アドバイザーの廣田里那さん。

美しい投資術45.jpg

今回の相談者は、看護師として勤めていたクリニックから昨年独立した33歳の女性。働き方が変わり、いまある資産をどう運用すればいいかご相談です。

今月の投資相談

個人事業主として独立、いまの資産をどう運用すればいい?

MAさん(33歳・未婚) フリーランス看護師
年収 約1,680万円 貯金 1,120万円

約1年前にフリーランスの看護師として独立しましたが、資産管理や投資について本格的に考えたことがありませんでした。最近になって、将来の安定を考えると、しっかりと資産形成をしておく必要があると感じるように。いまのところ収入に不安はありませんが、個人事業主なので変動する可能性もあります。毎月どれくらい貯蓄や投資に回せるのか、明確ではありません。資産運用に関しては、過去に親戚のすすめもあって、つみたてNISAを活用していましたが、新NISAに変わってから設定し直していないので活用したいです。また、税制優遇制度をうまく活用できていない気がします。税金や節税対策についての知識もまだ十分ではなく、確定申告の負担を減らしながら効率的に資産を増やせる方法を知りたいです。

1カ月の収支

収入▶約¥1,400,000
支出▶約¥753,000※経費含む

  • ▼固定費
    約¥113,000
  • 居住費(賃貸)
     ¥90,000
  • 光熱費
    ¥10,000
  • 通信費
    ¥10,000
  • 医療保険
    ¥3,000
  • ▼変動費
    約¥640,000
  • 食費
    ¥40,000
  • 交際費
    ¥50,000
  • 交通費
    ¥55000
  • 趣味・娯楽
    ¥ 60,000
  • 日用品
    ¥10,000
  • 衣服・美容
    ¥180,000
  • →仕事に関連する、美容医療の施術体験や化粧品購入の比重が大きい。
  • 教養・教育
    ¥130,000
  • →講習などスキルアップが欠かせない。
  • その他
    ¥ 100,000
  • ▼貯蓄
  • →金額は決めておらず、毎月の余剰金が預金に

資産運用のご提案

総資産 約1,630万円 (2025年2月現在)



A 現金預金 1,120万円 ➔880万円。
※約半年分の生活費+経費600万円を残し、毎年NISAの成長投資枠で運用する。

B つみたてNISA(S&P500+全世界) 約260万円(時価)

C 積立保険 約250万円(払込完了、7年後受け取り)

▼新規ご提案

D NISAつみたて投資枠(S&P500) 月5万円

E NISA成長投資枠(全世界株式) 年240万円

F iDeCo(S&P500) 月5万円


例:参考銘柄
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド
楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド


フリーランスとして安定した収入を得ており、資産運用に対する意識も高いMAさん。独立後の忙しい日々の中で、しっかりと将来を見据えて行動しようとしている姿勢は素晴らしいです。まず必要なのは「資産管理の見直し」と「流動性の確保」だと感じました。

フリーランスという働き方を踏まえ、大きなリスクを取らずに確実に資産を増やすステップを考えましょう。そのためには、手元資金の確保と投資戦略の整理が重要です。急な支出に備え、生活費+経費の半年分(600万円程度)は現金で確保し、余剰資金を投資に回すことをおすすめします。NISAの非課税枠(年間360万円)を活用し、低リスクの投資を意識して長期運用を行うのが良いでしょう。

選択肢が多くて迷うとのことですが、流動性の高い投資を中心に考えるのがベストです。たとえば、全世界株や米国株のインデックスファンドを中心に積立投資を続け、年利5~7%程度を目標とした長期運用を想定するのが無難です。短期間で大きな利益を狙うのではなく、安定した資産形成を目指すことが大切です。

また、節税効果が高いiDeCoや小規模企業共済は、老後資金の確保に適しています。ただし、iDeCoは60歳まで引き出せず、小規模企業共済は加入期間が20年未満の場合に元本割れする可能性があるため、ライフプランとセットでよく検討してくださいね。

 運用とセットで考えたい「節税」のポイント
会社員も個人事業主も、収入が増えるほど税負担も増加します。節税の鍵は控除の活用です。誰でもすぐにできるのは、iDeCoやふるさと納税で所得控除を増やすこと。iDeCoは掛金が全額控除され、運用益も非課税。ふるさと納税は住民税の前払いになり、実質2,000円で特産品を受け取れます。副業や個人事業をしている場合は、仕事に関する費用を経費として計上するのも有効です。さらに、NISAや小規模企業共済を利用すれば、節税しながら資産形成も可能。確定申告を適切に行い、払いすぎた税金を取り戻すことも重要です。

・NISA

運用益が非課税となる投資制度です。短期・長期の運用が可能で、株式や投資信託など幅広い商品に投資できます。資産形成に有効ですが、元本割れのリスクもあります。

・iDeCo
掛金が所得控除の対象となり、運用益も非課税の年金制度です。原則60歳まで引き出せませんが、老後資金準備には最適です。

・生命保険
万が一の死亡保障に備えるための制度です。積立型は貯蓄性があり、資産形成にも利用できます。保険料控除が受けられますが満期前に解約すると元本割れする場合があります。

・中小企業共済/小規模企業共済
フリーランスや中小企業の経営者向けの積立制度です。掛金は全額所得控除の対象となり、退職金準備に役立ちます。途中解約すると元本割れのリスクがあります。

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この記事や情報は、特定の銘柄への投資を推奨または勧誘するものではなく、あくまで参考情報であり、将来の成果を示唆、あるいは保証するものではありません。
投資には信用リスク、価格変動リスク、為替変動リスク、カントリーリスクなどが存在します、商品を購入または投資する際には、各金融機関の提供情報を必ず確認し、自己責任でご判断ください。
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text: Yoko Sueyoshi

個人投資家/資産運用アドバイザー。1990年、パリ生まれ。現地高校卒業後、お茶の水女子大学に進学し、東京に移住。日系商社に勤めた後、通訳、金融会社を経て、個人投資家に。

instagram:@lina_saint.germain

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